東京科学大学MOT(旧:東工大MOT)の特徴や入試対策についてアガルートアカデミー国内MBA試験の飯野一講師が解説します。

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東京科学大学MOT(旧:東工大MOT)の特長

東京科学大学(旧:東京工業大学) 環境・社会理工学院 技術経営専門職学位課程は、出願時に実務経験3年以上を有する社会人向けのMOT(技術経営)です。

※2024年10月1日に東京工業大学は東京医科歯科大学と統合し、東京科学大学となりました。以降は,東京科学大学の学生として入学することになります。

MOTですので、イノベーション創出のリーダーとして科学・技術を活用し、自ら理論を構築して産業や社会の発展に貢献する実務家を養成することを目的としています。

特徴1 技術経営の最先端知識を体系的に学ぶことができる

特徴の1つ目は、技術経営に関する最先端の知識を体系的に学ぶことができる点です。

新規事業の企画立案や、戦略策定、組織設計、知的財産・標準化マネジメントなどの技術経営のリテラシーの修得だけでなく、論理的思考力やコミュニケーション力といった汎用的な能力を磨きます。

学内外の講師による講義を通じて、東京科学大学において実施されている先端技術開発の最前線や、企業経営や政策動向の最前線への理解を深めることができます。

特徴2 修士論文の作成指導に重点が置かれている

2つ目の特徴は、修士論文(プロジェクトレポート)の作成指導に重点が置かれている点です。

アカデミックな研究方法を用いて、実務上の課題を研究し、「自ら理論を構築して産業や社会の発展に貢献する実務家」を養成します。

アカデミックな方法とは、以下のプロセスを経て研究をすることです。

まず、先行研究を読み、先行研究を踏まえて、さらには先行研究にはない未知の領域に踏み込んだ仮説を設定します。

この自ら設定した仮説を、自分でデータを取得して分析します。

そして、仮説が成り立つかどうかを検証するのです。

この仮説・検証によって、自分で課題を設定して、その課題の解決法を見出すスキルが身に付くのです。

これができる実務家を東京工業大学では、「自ら理論を構築して産業や社会の発展に貢献する実務家」と呼んでいます。

東京科学大学MOT(旧:東工大MOT)の入試内容

入学試験は、1年に1回です。

入試内容は、筆答試験、 英語試験(外部英語テストのスコアシート提出による)、口頭試問(面接)、志望理由書、成績証明書となっています。

※2025年度入学者選抜では筆答試験を行いません。
参考:学生募集要項

東京科学大学MOT(旧:東工大MOT)の倍率

2021年度の東工大MOTの受験者が114名、合格者が45名で、倍率は2.53倍となっています。
2022年度は、受験者が114名、合格者が42名で倍率は2.71倍。
2023年度は、受験者が73名、合格者が41名で倍率は1.78倍でした。
2024年度は、受験者が118名、合格者が40名で倍率は2.95倍です。

東京科学大学MOT(旧:東工大MOT)の入試対策

入試対策ですが、志望理由書、筆答試験、英語(外部英語テストのスコアシート提出)、口頭試問(面接)の順に説明していきます。

志望理由書について

まず、志望理由書です。

志望理由書は、以下の3つに関して、それぞれ500字程度にまとめる必要があります。

1.なぜ本課程で学びたいのか。
2.これまで行った誇らしいと思う事柄
3.関心のある学習・研究テーマとその動機

それぞれ500字程度ですので、先行研究の調査などを緻密に行った上で作成するというレベルまでは求められていないと思います。

自分の仕事上の問題意識を落とし込むレベルでいいと思いますので、出願の2か月前に着手すればよいでしょう。

筆答試験について

筆答試験の過去問についてはこちらを参考にしてください。

参考までに、筆答試験のかわりに以前実施されていた小論文に関する対策を以下に記載します。

小論文の過去問を見ると、思考力に関する問題と、文章を読んだ上で企業経営やマーケティングなどについて解答する問題が出題されています。

思考力に関する問題とは、以下のような問題です。

専門職学位課程の学生 60 名を対象に、講義の受講状況を調べた。

・状況1. 科目 A の受講者は 24 名であった。
・状況2. 科目 B の受講者は 30 名であった。
・状況3. 科目 C の受講者は 22 名であった。
・状況4. 科目 A と B を受講している学生は 8 名であった。
・状況5. 科目 A と C を受講している学生は 10 名であった。
・状況6. 科目 B と C を受講している学生は 11 名であった。
・状況7. 科目 A、B、C のうち 1 科目だけ受講している学生は 39 名であった。

このとき、3 科目全てを受講している学生と全く受講していない学生がそれぞれ何名か求めよ。

文章を読んだ上で、企業経営やマーケティングについて解答する問題とは、以下のような問題です。

1.(長文の文章を読んだ上で)現状におけるS社の経営に関する問題と考えうるものについて可能な限り挙げ、その「問題の項目」、「要素」および「内容」を説明しなさい。

2.問題1で挙げた「要素」のうち、S社が事業を進めていくうえで重要と思われるものを3「要素」選び、そのすべてについて必要な対策を提案しなさい。

なお、各「要素」ごとの対策は 200~300 字程度にまとめなさい。

以上のような2種類の問題が出題されています。

思考力に関する問題に関しては、過去問を用いた演習をしておきましょう。

文章を読んだ上で、企業経営やマーケティングについて解答する問題に関しても、経営学に関する専門的で細かな知識が必要というわけではありません。

学部レベルの経営学の大枠での知識があれば十分対応可能です。

ですから、こちらも学部レベルの経営学の入門書を1冊読んだ上で、過去問を用いた演習をおこなっておけばいいと思います。

受験対策としては、試験日の3~4か月前に開始すれば十分でしょう。

英語について

英語は、TOEICやTOEFLのスコア提出が必要になります。

TOEICのスコアが何点あれば合格できるか、という点はアガルートでもわかりません。

参考までに、アガルートでの指導経験をもとに合格者のスコアを示してみます。

アガルートの指導を受け、東工大MOTに合格した方のTOEICスコアは、500くらいでした。

ですから、500くらいでも問題ないかもしれません。

しかし、万全を期すために、TOEIC800を目指してください。

500くらいでも合格できるかもしれませんが、安全というレベルに達するにはTOEIC800以上を確保しておいてください。

そのため、準備期間は人それぞれです。

TOEIC400くらいの方は、1年くらいの準備期間が必要かもしれませんし、TOEIC800の人はまったく準備する必要はないということになります。

面接(口頭試問)について

最後が面接です。

面接は志望理由書をもとに行われます。志望理由書に書いた「1.なぜ本課程で学びたいのか。」「2.これまで行った誇らしいと思う事柄」「3.関心のある学習・研究テーマとその動機」に関して、深堀りする質問をされます。

ですから、志望理由書に書いた点を中心に頭を整理しておくといいと思います。

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この記事の著者 飯野 一 講師

飯野 一 講師

ウインドミル・エデュケイションズ株式会社で代表取締役を務めながら受験指導をおこない、約20年間にわたる指導経験を有する国内MBA受験に精通したプロフェッショナル講師。

国内MBAに関する書籍を多数出版し、ベストセラーを生み出している国内MBA受験に関する人気作家としての側面も持つ。

国内MBA修了生としては珍しい学術論文の学会発表、学会誌掲載の実績を持つ。

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