MBA取得には修士論文が必要?修士論文が不要な国内MBAも紹介
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本コラムでは、国内MBAでは修士論文を書く必要があるのかについて説明します。
結論から申し上げると、修士論文を課している大学院もあれば、課していない大学院もあります。要は、大学院によるということになります。
では、どうして国内MBAでは修士論文を課す大学院があるのでしょうか?
一般的に認識されているアメリカのMBAでは修士論文は課されていません。
MBAに修士論文があるのは、日本独自の現象です。
そこで、国内MBAで修士論文を書くのはどんな意味があるのか。そして、そもそもの話として、国内MBAで書く修士論文とはどういうものなのか、について詳しく説明します。
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MBA取得には修士論文が必要?
国内MBAでは、修士論文は必須になっている大学院もありますが、必須になっていない大学院もあります。
よって、国内MBAにおける修士論文の提出が必要かどうかは大学院によるということになります。
MBAというとアメリカのMBAを想起する方が多いと思います。
具体的には、ハーバード大学ビジネス・スクール、スタンフォード大学経営大学院、ペンシルベニア大学ウォートン・スクールなどです。
これらアメリカの有名なMBAでは修士論文は課されていません。
ケース・メソッドによるディスカッション形式の授業が中心であり、修士論文作成のようなアカデミックな研究は行われていないのです。
日本のMBAは、アメリカのMBAとは異なり、修士論文を必須としている大学院もありますが、この違いが生じる原因は経営者人材のマーケットが機能しているか否かという点にあります。
アメリカでは経営者人材のマーケットが機能していますので、経営者という職業が成り立ちます。経営者として、何社も渡り歩く人が多いです。
ですから、企業経営のゼネラリスト養成のために、ケース・メソッドでディスカッション形式で学ぶ実践的な方法が歓迎されるのです。
一方で、日本は経営者人材のマーケットが機能していません。
企業の経営者には、新卒から入社して出世を重ねた生え抜きが就任するのが一般的です。
ということは企業経営のゼネラリストになっても、生え抜きの出世コースに乗っていないと経営者にはなれないのです。
そこで、日本のMBAが考えたことは、企業経営のゼネラリスト養成という視点に加えて、特定の職能(職種)のスペシャリスト養成もMBAの役割として担うことによって、日本独自のMBAを作り出そうとしたのです。
修士論文作成は、一つのテーマに関して、深く掘り下げるわけですから、スペシャリスト教育としては最適です。
そのため、日本のMBAでは修士論文を課しているのです。
MBA取得に修士論文が求められる理由は?
国内MBAで修士論文を課している理由は、グローバルに通用する普遍性を持つ企業経営の理論を学び、その理論を活用して自分の仕事上の課題解決につなげるためです。
日本は島国です。長い間、鎖国をしていた国でもあります。このような歴史的背景から、日本でしか通用しない考えや言葉があります。
例えば、「すみません」という言葉です。日本語の「すみません」という言葉は、文脈によって謝罪・感謝・挨拶などの意味に変化します。
「すみません」と言われた場合、日本人同士なら互いに事情を理解しているので問題はなく通用しますが、会話の相手が外国人だったらどうでしょうか。
「すみません」と言った場合に、その意味が謝罪なのか、感謝なのか、挨拶なのかはなかなか伝わらないと思います。
外国人は、同じ文脈を共有できていないので、伝わりません。要するに、「すみません」は、グローバルには通用しない日本独自の言葉なのです。
このような事例は、企業経営においても見られます。
「系列取引」という日本だけで見られる取引形態があります。自動車メーカーと部品メーカーの取引を事例に考えてみます。
欧米では、自動車メーカーと部品メーカーとの取引は、市場取引なので、自動車メーカーは最も安価な部品の値段を提示した会社と取引を行います。
ある日突然、超安価な部品メーカーが出現したら、自動車メーカーは取引先を変更します。これが市場取引です。
では、日本の取引形態はどうなっているのでしょうか?
日本では欧米で一般的な市場取引ではなく、仮に値段が高かったとしても、協働して仕事をする仲間であれば、取引を続けるのです。
経済的なメリットだけでなく、長期的で安定的な関係や協働が可能な会社と長期に渡って取引を行うのです。
この日本独自の取引形態を「系列取引」と呼んでいます。
日本の自動車メーカーが海外に進出した際に、日本独自の系列取引について外国人に説明したとしても理解してもらえない場合が多かったのです
(現在では、系列といえば。グローバルに通用しますが、日本企業が海外展開を開始した当時は理解されませんでした)。
経済的なメリットしか考えない欧米の社会で利益よりも長期的な関係性が重要だと言っても理解されなかったのです。
そこで、グローバルに通用する普遍性のある経営用語や概念を用いれば外国人にも、系列取引という概念を理解してもらうことができます。
系列取引をグローバルに通用する普遍性のある経営用語や概念で表現するならば、それは「TRUST(信頼)」となります。
信頼という概念は、企業経営に関してグローバルに通用する概念です。
「安定的で長期的な関係性=信頼」と言い換えることができるのです。
信頼という切り口から、系列取引を説明したならば、海外の人にも理解してもらえるのです。
長くなりましたが、いよいよ結論です。
日本でしか通用しない系列という取引形態を海外の人にも理解してもらうためには、グローバルに通用する普遍性を持つ企業経営の理論(経営用語や概念)である「信頼」という概念に置き換えて説明するのです。
そして、このグローバルに通用する普遍性を持つ企業経営の理論を学び、実務に活かせるレベルのスキルに磨き上げるためのトレーニングが修士論文作成なのです。
これが国内MBAでアカデミックな研究である修士論文が課せられている理由です。
修士論文が必要な国内MBAは?
先に説明した厳密なアカデミックな修士論文が課されている国内MBAは以下の大学院です。
- 大阪大学大学院経済学研究科 経営学専攻ビジネスコース
- 筑波大学大学院人文社会ビジネス科学学術院 経営学学位プログラム
- 東京都立大学大学院経営学研究科
- 東京科学大学大学院 技術経営専門職学位課程
- 一橋大学大学院経営管理研究科 金融戦略・経営財務プログラム
- 法政大学大学院経営学研究科
- 横浜国立大学大学院国際社会科学府 経営学専攻
- 立教大学大学院経営学研究科経営学専攻 リーダーシップ開発コース
上記の大学院ほどではないが、一定程度のアカデミックさを要する修士論文が課されている国内MBAは以下の大学院です。
- 慶應義塾大学大学院 経営管理研究科(MBA、Executive-MBA)
- 神戸大学大学院 経営学研究科
- 一橋大学大学院 経営管理研究科(経営分析プログラム、経営管理プログラム)
- 早稲田大学大学院 経営管理研究科
修士論文が不要な国内MBAはある?
先に説明したアカデミックな修士論文が課されていない国内MBAは以下の大学院です。
- 青山学院大学大学院 国際マネジメント研究科
- 中央大学大学院 戦略経営研究科
- 法政大学大学院 イノベーション・マネジメント研究科
- 明治大学大学院グローバル・ビジネス研究科
- 立教大学大学院 ビジネスデザイン研究科
アカデミックな修士論文が課されていなくとも、それに代わるものとして、新規事業および起業を開始するためのビジネス・プラン作成や、自社独自の課題解決を目的に作成される特定ビジネス課題解決型リサーチ・ペーパーが課されています。
ここで注意していただきたい点は、ビジネス・プラン作成や特定ビジネス課題解決型リサーチ・ペーパーの作成では、グローバルに通用する普遍性を持つ企業経営の理論を学び、実務に活かせるレベルのスキルに磨き上げるという点は満たしません。
この点に不満を感じる方は、以下の大学院においてもアカデミックな修士論文を選択することも可能ですので、入学後はビジネス・プラン作成や特定ビジネス課題解決型リサーチ・ペーパーではなく、アカデミックな修士論文を選択してください。
MBAの修士論文に関するよくある質問
修士論文が課されていないMBAは良くない?
修士論文が課されていない国内MBAの評価はどうなのか、という点について説明します。
先ほど説明した通り、日本では経営者という仕事のマーケットがありません。
ですから、日本の大手企業では、MBAでのケース・メソッドで企業経営について学んだとしても、すぐに経営者に近いポジションに就くことはありませんし、生え抜き優先で上層部に気に入られた人材が経営的なポジションに就くことが多く見られます。
このような状況下では、ケース・メソッドで企業経営に関して学んだとしても、それが直接的な武器となることはありません。
そんな日本で武器になるのが、特定の分野でのスペシャリストとしての知識やスキルです。
このスペシャリスト的な仕事で実績を残すことで、将来的には経営的なポジションに就く道が開かれる場合もあります。
上記の視点で考えると、日本の大企業で仕事をしている方にとっては、修士論文が課せられる国内MBAに行った方が、仕事で役立つ機会は多くなると言えます。
ですから、修士論文を課している大学院の方が評価は高くなります。
一方で、家業を継ぐ方、自分で起業する方の場合は、少し話が違ってきます。
これらの方は、将来、経営者になることが決まっています。ケース・メソッドで企業経営に関して学んだことが、すぐにあるいは将来的に役立つ機会が必ず訪れます。
このような方にとっては、修士論文が課せられていない大学院でも問題ないと思います。評価は変わりません。
ということで、修士論文が課されていない国内MBAをおススメするかどうかですが、これはご自身のキャリア計画に応じて変わってくるというのが結論となります。
MBAの修士論文はどんなテーマで書く?
修士論文のテーマですが、これは基本的にご自身の実務上の課題がテーマになります。
その上で、考えるべきことは、その実務上の課題を学術的な概念に昇華させて、それを研究することになります。
わかりにくいかもしれませんので、具体例で説明してみます。
先に紹介した「系列取引を海外の現地法人に浸透させて、海外でも日本同様の系列取引を実現するにはどうしたらいいのか」というのが、実務上の課題になります。
これを研究テーマにするには、系列取引という実務上の概念を、研究上の概念に置き換える必要があります。
系列取引を研究上の概念に置き換える場合、いくつかの概念がありますが、その一つに、先にも説明した「信頼」という経営概念があります。
「現地法人が現地において、取引先と信頼関係を築くにはどうすべきか」というのが研究テーマになります。
日本での信頼関係の形成と、海外でもその国では独自の信頼形成の形があるのかもしれません。それを明らかにするのが研究テーマになるのです。
以上のように、研究テーマは、自分の実務上の課題を起点に考えて、それを研究上の概念に置き換えて、学術的なテーマに昇華させた上で研究をおこなうことになります。
これによって、学術的にも実務的にも役立ち、グローバルにも通用する普遍性を持つ企業経営の理論を生み出すことができるのです。
まとめ
国内MBAで修士論文を課している理由は、グローバルに通用する普遍性を持つ企業経営の理論を学び、その理論を活用して自分の仕事上の課題解決につなげるためです。
国内MBAでは多くの大学院で修士論文が必須となっています。例えば、以下の大学院です。
- 大阪大学大学院経済学研究科 経営学専攻ビジネスコース
- 慶應義塾大学大学院 経営管理研究科(MBA、Executive-MBA)
- 神戸大学大学院 経営学研究科
- 筑波大学大学院人文社会ビジネス科学学術院 経営学学位プログラム
- 東京都立大学大学院経営学研究科
- 東京科学大学大学院 技術経営専門職学位課程
- 一橋大学大学院経営管理研究科
- 一橋大学大学院 経営管理研究科(金融戦略・経営財務プログラム、経営分析プログラム、経営管理プログラム)
- 法政大学大学院経営学研究科
- 横浜国立大学大学院国際社会科学府 経営学専攻
- 立教大学大学院経営学研究科経営学専攻 リーダーシップ開発コース
- 早稲田大学大学院 経営管理研究科
MBAにおいて修士論文が課せられているのは、日本独自の特徴です。それには大きな意味があります。
ぜひ、皆さんも国内MBAでは修士論文作成に力を入れることをおススメします。
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ウインドミル・エデュケイションズ株式会社で代表取締役を務めながら受験指導をおこない、約20年間にわたる指導経験を有する国内MBA受験に精通したプロフェッショナル講師。
国内MBAに関する書籍を多数出版し、ベストセラーを生み出している国内MBA受験に関する人気作家としての側面も持つ。
国内MBA修了生としては珍しい学術論文の学会発表、学会誌掲載の実績を持つ。
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