MBAの出願において大事な書類の一つが「研究計画書」です。

研究計画書の作成は付け焼刃ではできず、しっかり時間をかけることが必要です。

一方で、①研究テーマの設定、②先行研究の調査、そして③研究方法の決定までやることが多く、どこかのフェーズでスランプに陥ることが充分に考えられます。

今回はフェーズごとに、スランプに陥った時に頭が整理できるようなコラムを提供します。

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研究テーマが決まらない!

MBAの研究計画書を作成するためには、研究テーマを設定しなければいけません。

この研究テーマの設定で足踏みをする人も少なくありません。

ここで足踏みをしてしまった方は、もう一度研究計画書の意義と、自分がなぜMBAを取得したい、大学院に進学したいと感じたのかについて整理しましょう。

研究計画書を提出する意義のうちの一つに、「受験者の問題意識を知る」ためというものがあります。

すなわち、受験者がどのようなことに問題、課題を感じているかを確認するために、研究計画書の提出を求めているわけです。

また、自分がなぜ大学院で学びたいかと振り返った時に、各々何かしら自分の仕事や組織に課題を感じていたからではないでしょうか?

つまり、自分が感じる課題を言語化すればいいのです。

大学院側は受験者のそれを見たいのです。

試験管が受験者をどのように見ているのかについてこちらでも解説しているのでよければ見てみてください。

関連コラム:国内MBAの研究計画書とは?基本の書き方とポイント

実務経験がなければ研究計画書は書けないのか?

実務経験が少ない、就職していないと研究計画書が書けないのかというと、そんな事はありません。

仮に就業経験が無い場合でも、何かしらの組織にいた経験は皆さん必ずあります。

アルバイトでも学校での経験でも何でも良いです。

その時に感じていた組織の課題を解決するためには、という観点から設定すれば良いのです。

また、学部からそのまま進学を選択する学生は「卒論」で取り扱ったテーマをそのまま昇華させるという方法もあります。

この部分に関しては以下のコラムも参考にしてください。

関連コラム:【国内MBA】大学からの進学や実務経験のない既卒も出願できる大学院

先行研究の調査が進まない!

次に出てくる壁が、「先行研究」です。

そもそもなぜ先行研究の調査をしなければならないのでしょうか。

例えば、自分が研究しようとしているテーマについて既に、結果がでていることであれば、それはもう研究をする必要がありませんよね。

一方で、真っ白な状態で研究計画を作成しようとしても、手順から何から何まで独自で考え出すことは至難の技です。

ここで、先行研究の調査をする意味が理解できます。

先行研究はいわゆる先人の知恵です。

自分が設定したテーマについてあらゆる方向からヒントを与えてくれます。

研究手法やデータの解析方法など、先行研究から参考にできることは多いのです。

では、先行研究の調査はどのような形で進めればいいのでしょうか?

①実際の書店やネット書店で探す
②ネットで検索
③学術情報データベースで検索
④図書館で探す

大切なことは「何を調べたいか」を明確にしておくことです。

仮に研究テーマが明確ではない状況で文献にあたりだしても、何も発見は得られません。

「わからないことがわからない」という人はまだ先行研究の調査に進んではいけません。

一歩前にもどって、テーマを定めましょう。

テーマを定め、何を解き明かしたいかが理解できて初めて有意義な先行研究の調査となるのです。

先行研究の調査については以下のコラムも参考にしてください。

関連コラム:【国内MBA入試】研究計画書作成で必要な先行研究文献の探し方

研究方法が定まらない!

最後の壁が「研究方法の決定」です。

これは、上記の「先行研究の調査」の目的にもなります。

つまり、先行研究の調査をすることで研究方法を定めるのです。

自分が研究したいテーマに類似した先行研究はどのような方法を使ってその課題を解決したのか。

その方法は、自分の研究に取り入れることができるのか。

部分的なら取り入れることができるのか。

それとも完全に取り入れることはできないと気づけるのか。

取り入れることができないのであれば、やはり先行研究の調査をもう一度行うべきですし、部分的にしか取り入れられないのであれば、補完するものを見つけなければいけないので、やはり、先行研究の調査をもっと行わなければいけないのでしょう。

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最後に

いかがでしたでしょうか。

ここまでご覧になっておわかり頂けたかと思いますが、つまり

①研究テーマの設定
②先行研究の調査
③研究方法の決定

この3つは密接であり不可分に繋がっているのです。

逆にここまで定まっていれば研究計画書を書くことが出来ます。


ただ、上記3つが完璧にできていなければならない、ということはありません。
研究方法などは、大学教授から見ると正確さに欠けるものでもかまいません。

結局、研究計画書で最も重要な点は、「オリジナリティ」です。

仮に学術的に不十分な点があっても、それは問題ありません。

学術的なことは入学後に学べばいいのです。

入学前の研究計画書では、まだ研究をわかっていない素人である受験生が、素人なりに一生懸命考えたものであればいいのです。

そういった素人っぽさが、大胆な研究テーマに繋がったり、専門家では思い付かない素人ならではの発想だったりすることで評価されるのです。

ですから皆さんは、まずは自分なりに何を研究したいのかを先行研究を読みながら考え抜いてください。
その素人なりの考え抜いた研究計画書こそ合格する研究計画書なのです。

そういった意味で、予備校の経営学の講師と一緒に研究計画書を考えて作成することは避けてください。

最近は、一緒に研究計画書を考えながら作成しましょう、という予備校もありますが、こういった予備校からは、早稲田や一橋などの難易度が高いMBAにはほとんど合格者は出ていません。

あくまでも自分一人で考えたもの、それが素人ならではの創造性や発想が含まれていて、オリジナリティが高いという点で評価されるのです。

その証拠に、2023年のアガルートの合格実績は、早稲田MBAは41名合格、一橋MBA17名の合格です。

この実績が残せた理由は、あくまでも受講生が自分で考え、アガルートはアドバイスをするのではなく、受験生が作成したものを評価しただけです。

コメントも、「まだまだ先行研究の調査が不十分です」といった抽象的なことしかしていません。

あくまでも受講生自身が考える指導スタイルを採用しているのです。

そのために、オリジナリティの高い研究計画書ができて合格しているのです。

この点を理解した上で、自分だけのオリジナリティの高い研究計画書を作成してください。
専門的な妥当性よりも、素人ならではのオリジナリティが重要なのです。

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この記事の著者 飯野 一 講師

飯野 一 講師

ウインドミル・エデュケイションズ株式会社で代表取締役を務めながら受験指導をおこない、約20年間にわたる指導経験を有する国内MBA受験に精通したプロフェッショナル講師。

国内MBAに関する書籍を多数出版し、ベストセラーを生み出している国内MBA受験に関する人気作家としての側面も持つ。

国内MBA修了生としては珍しい学術論文の学会発表、学会誌掲載の実績を持つ。

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