長年、国内MBA受験に特化した予備校 『ウインドミル・エデュケイションズ』を経営し、多くの受講生を合格に導いた飯野一講師。
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これまで以上にパワーアップした飯野講師が、自身の早稲田MBA時代、ウインドミル・エデュケイションズ時代、そして現在の状況を踏まえ、深い知見をもとに、国内MBAに関する独自の見解をお伝えします。
国内MBAのメリット・デメリットやおすすめのビジネススクールまで惜しみなく大ボリュームで公開いたしますので、ぜひご覧ください!

まずは、飯野講師が、国内MBAに対する認識や考え方から時代を追って説明していきます。

特別コラム一覧

  1. 国内MBAの現在と過去
  2. 国内MBA予備校の現状と先行き
  3. 海外MBAとの比較&国内MBA履修形態の比較
  4. 国内MBAの難易度・倍率
  5. 国内MBAの評価と価値、活用方法
  6. 国内MBAの選び方
  7. 早稲田大学大学院経営管理研究科
  8. 慶應義塾大学大学院経営管理研究科
  9. 一橋大学大学院経営管理プログラム
  10. 国内MBAの未来

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国内MBAの過去と現在1 国内MBAの過去

国内MBAの過去と現在について説明したいと思います。
ここで言う過去とは、だいたい10年以上前の2005~2008年頃を想定しています。
10年以上前と現在では、まったく国内MBAに対する認識や考え方が異なっていますので、ここでは過去と現在の2つに分けて説明したいと思います。

では、まず2005~2008年頃の国内MBAについて、その人気度、どのようなMBAが人気があったのか?という点について説明します。

この時期の国内MBAというと人気があったのは全日制の国内MBAでした。
全日制のMBAは会社を辞める(休職する)形で進学するものですので、志願者の多くは国内MBAに進学して転職によるキャリアチェンジやキャリアアップを目指したのです。
特に人気があったのが日本で最も歴史のあるMBAである慶應義塾大学大学院経営管理研究科でした。次いで一橋大学大学院商学研究科経営学修士コース、早稲田大学大学院商学研究科が人気がある大学院でした。
多くの学生は国内MBAに進学するとキャリアアップやキャリアチェンジができると思って、会社を辞めたり休職したりしてリスクを取って進学したのでした。入試倍率は2~3倍と比較的高倍率で、英語や小論文の筆記試験が課せられていたため、それなりの受験勉強をして進学する方が多かったのです。

また、この時期は慶應義塾大学大学院経営管理研究科や橋大学大学院商学研究科経営学修士コースは留学生はそれほど多くなくほとんどが日本人の学生で占められていました。早稲田大学大学院商学研究科は留学生が多く約半数は留学生が在学し、半数が日本人という構成でした。

いずれにしても、この時期は日本人の多くが会社を辞める(休職する)という形で全日制の国内MBAに進学するという形が一般的でして、夜間や土曜日だけで卒業可能なパートタームの国内MBAというのは、まだそれほど一般的ではありませんでした。

国内MBAの過去と現在2 国内MBAの現在

では、現在の国内MBAはどうなのでしょうか?全日制が人気だった過去とは異なり、現在の主流は夜間の国内MBAです。全日制の人気は凋落し、夜間や土曜日だけの通学で卒業可能なパートタイムの国内MBAが人気の中心になったのです。

とは言っても夜間のMBAがすべて人気があるわけではありません。
人気があるのは一部の夜間のMBAだけでして、ほとんどの夜間のMBAは日本人だけをターゲットにしていては定員割れを起こしてしまう状況に陥っています。

では、人気のある夜間の国内MBAはどこかについて説明します。
人気があるとは倍率が高い(2倍~4倍くらい)国内MBAとします。
人気がある夜間の国内MBAは3つのカテゴリーに分けることができます。

・1. 学費の安い、国公立のMBA
2. 歴史があり大規模なMBAであるために卒業生が多く社会での認知度が高い大学院
・3. 国家資格である中小企業診断士の資格が取れる大学院

これらを詳しく見ていきたいと思います。

1つ目のカテゴリーは学費の安い国公立のMBAです。
このカテゴリーに属するのは筑波大学大学院人文社会ビジネス科学学術院、横浜国立大学大学院国際社会科学研究科、東京都立大学大学院経営学研究科、神戸大学大学院経営学研究科、一橋大学大学院経営管理研究科(経営管理プログラム)があります。

2つ目のカテゴリーは歴史があり大規模なMBAであるために卒業生が多く社会での認知度が高い大学院です。
認知度が高いということは、誰にでも知られているということであり、名前を言えば認識してもらえるという意味でのブランド力があるMBAと言えるかもしれません。このカテゴリーに属するのは慶應義塾大学大学院経営管理研究科(慶應のMBAは全日制であり夜間ではありませんが)と早稲田大学大学院経営管理研究科の2つの大学院です。
この原稿の筆者であるウインドミル・エデュケイションズの代表である飯野は早稲田大学のMBAを修了していますが、筆者はベンチャーキャピタルやマスコミ各社とは頻繁に接点を持ちますが、接点を持つ会社の皆さん、誰もが早稲田のMBAを存じておりまして非常に高く評価していただいております。

最後の3つ目のカテゴリーは国家資格である中小企業診断士の資格が取れる大学院です。
中小企業診断士は1次試験に合格しますと、2次試験の論述試験が待っています。大学院に進学しますと、この2次試験が免除になるのです。その免除を狙って大学院に進学する方が多いのです。この中小企業診断士資格が取れる大学院として法政大学大学院イノベーションマネジメント研究科、東洋大学大学院経営学研究科、兵庫県立大学大学院経営研究科などがあります。

以上が夜間の国内MBAで人気のある大学院です。
その他の大学院は日本人には人気がなく、日本人だけをターゲットとしていては定員割れを起こしている状況です。実際に筆者が国内MBA予備校を経営していて、受講の問い合わせが来るのは、先に紹介しました3つのカテゴリーに属する大学院のみでして、その他の大学院に関する問い合わせが来ることはほぼありません。

では、多くの定員割れを起こしている夜間の国内MBAはどうやって定員割れを防止し経営を成り立たせているのでしょうか?それはアジア系の留学生を取り込んでいるのです。
ウインドミル・エデュケイションズの受講生の話を聞くと、学生の半数以上が留学生という大学院もあるということです。このように日本人対象では経営が成り立たない夜間のMBAは留学生を取り込むことでなんとかある程度の入試倍率を維持して、定員を死守しているという状況なのです。

以上が現在の国内MBAの状況です。
このような状況ですので、筆者が2019年まで教室経営していたウインドミル・エデュケイションズの受講生はほとんどが早稲田大学大学院経営管理研究科や神戸大学大学院経営学研究科、一橋大学大学院経営管理研究科(経営管理プログラム)といった先の3つのカテゴリーに属する大学院を受験する方だけを対象とした予備校になってしまっているという状況でした。

国内MBAの過去と現在3 国内MBAの人気の変化が起きた理由

10年以上前の全日制の国内MBA人気が凋落し、夜間の一部の国内MBAに人気が集中した理由として、情報の非対称性の崩壊が挙げられます。

情報の非対称性とは、情報の発信者である大学側と情報の受け手である受験生との間に存在する情報格差のことです。
要するに大学側は国内MBAに関する情報はたくさん保有していますが、受験生は大学側ほどの情報を保有していません。この情報格差のことを情報の非対称性と言います。

特に情報の非対称性が大きかったのが、国内MBA修了後のキャリアチェンジやキャリアアップの可能性に関してです。
過去は国内MBAに進学すればキャリアチェンジやキャリアアップができると信じて、会社を辞めたり休職してまで、国内MBAに進学する人が多かったのです。
しかし、現実はそんなに甘くないのです。会社を辞めたり休職してわざわざ2年間勉強してもキャリアチェンジやキャリアアップができる人はほとんどいないというのが現実でした。この現実を受験生が知ってしまったのです。
それによって従来は会社を辞めてまで国内MBAに進学する人がいたのですが、わざわざ辞めてまで国内MBAに進学する人がいなくなってしまったのです。そこで辞めずに進学できるリスクの少ない夜間の国内MBAに人気がシフトしていったのです。

実際に筆者が経営していたウインドミル・エデュケイションズの受講生も会社を辞めてまで進学して、キャリアチェンジやキャリアアップを成功させた人は一握りの方だけでした。

国内MBAの過去と現在4 凋落した全日制の国内MBAの現在

過去には人気のあった全日制の国内MBAは夜間の国内MBAにとって代わられました。
では、全日制の国内MBAの現在はどうなっているのでしょうか?

全日制で一番人気の慶應義塾大学大学院経営管理研究科は、2つの対応策を実施しています。

一つはEMBA(エグゼクティブMBA)の開講です。これは大手企業の実務経験15年以上の幹部候補だけを集めてビジネスエリート教育を実施するプログラムです。

もう一つは夜間の人気のないMBA同様に留学生や大学生を取り込んでいます。
ウインドミル・エデュケイションズの受講生の話を聞くと、受験会場では留学生と大学生が6割くらいいたのではないか、という話をするくらい留学生と大学生の数が増えているようです。

しかし、この留学生や大学生の取り込みは問題を引き起こす可能性があります。
その問題の一つはディスカッション時のコミュニケーションです。留学生の多くが日本語が堪能とは言えないレベルで入学しています。ですから、日本語でディスカッションがおこなわれる国内MBAでしっかりしたディスカッションがおこなえるかどうか疑問なのです。不自然で意思疎通ができないレベルの留学生も実際は存在しますので、ディスカッションの質の低下を引き起こす原因になります。
また、大学生が多くなるというもの問題を引き起こします。MBAというのはビジネス教育です。
ビジネス教育において、まったくの実務経験がない人を入学させて、ディスカッションの質が維持できるのか、という問題もあるのです。
慶應義塾大学大学院経営管理研究科は上記の対応で受験倍率は3倍前後と高い状態を維持していますが、留学生や大学生を除いた場合にどのくらいの倍率になるのか、というのは発表されていません。
社会人経験のある日本人を対象に考えると、ほぼ全入の状態かもしれません。この点は大学側が公表していないので把握は出来ていません。

全日制の他2校の早稲田大学大学院商学研究科(現在は経営管理研究科)、一橋大学大学院商学研究科(現在は経営管理研究科)はどのようになっているのでしょうか?
早稲田大学大学院商学研究科は全日制の凋落が始まる前に夜間のコースを早期に立ち上げて、力の入れ方を全日制から夜間にシフトさせて、夜間の国内MBAをメインとする大学院になって全日制の凋落を問題としない体制に移行しています。

一橋大学大学院商学研究科は早稲田大学にはかなり遅れをとりましたが、2018年度から名前を一橋大学大学院経営管理研究科と変更して、早稲田同様に夜間に力を入れる形に移行して全日制の凋落が問題とならない体制に移行しました。

このように過去に全盛を誇った全日制は現在はかなり衰退して、夜間の国内MBAに力を入れる形になっているのです。

次の章では、このような国内MBAの変化に対して、その対策をおこなう国内MBA予備校の現状について説明したいと思います。

【飯野一講師の特別コラム2】国内MBA予備校の現状と先行き

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この記事の著者 飯野 一 講師

飯野 一 講師

ウインドミル・エデュケイションズ株式会社で代表取締役を務めながら受験指導をおこない、約20年間にわたる指導経験を有する国内MBA受験に精通したプロフェッショナル講師。

国内MBAに関する書籍を多数出版し、ベストセラーを生み出している国内MBA受験に関する人気作家としての側面も持つ。

国内MBA修了生としては珍しい学術論文の学会発表、学会誌掲載の実績を持つ。

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