今回は、ドイツ語技能検定試験準1級の試験内容や対策、勉強方法について解説します。

多くの方がドイツ語を学んできて基礎的な文法を身につけ、上級レベルへのステップアップを目指していることでしょう。

とはいえ、問題のレベルや難易度について不安をお持ちになるようです。

ドイツ語技能検定試験準1級の合格を目指している方はぜひ参考にしてください。

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ドイツ語技能検定試験準1級とは?レベルは?

公益財団法人ドイツ語学文学振興会が示している、ドイツ語技能検定試験準1級の合格に必要な能力は次のとおりです。

  • ドイツ語圏の国々における生活に対応できる標準的なドイツ語を十分に身につけている
  • 新聞などの比較的複雑な記事や論述文などを読むことができる
  • 自分の体験などについて詳しく話し、社会的・実用的なテーマについて口頭で自分の考えを述べることができる
  • 比較的長い文章の要点を聞き取り、短いドイツ語の文章を正しく書くことができる
  • 対象は、ドイツ語の授業を数年以上にわたって継続的に受講し、各自の活動領域においてドイツ語に習熟しているか、これと同じ程度の能力のある人
  • 語彙5000語

※参考:各級のレベルと内容 | 独検について | ドイツ語技能検定試験 Diplom Deutsch in Japan

ドイツ語技能検定試験準1級は、ドイツ語圏の国々における生活に対応できる標準的なドイツ語スキルが必要です。
また、準1級から口述試験が加わります。

ドイツ語技能検定試験準1級の合格率は?

ここで、過去の合格率について振り返ってみましょう。

年度 冬期試験のみ
受験者(人) 合格者(人) 合格率(%)
2017 683 206 30.16
2018 583 174 29.85
2019 538 157 29.18
2020 316 83 26.27
2021 385 101 26.23
2022 346 109 31.23
2023 356 97 27.25
2024 292 89 30.48

2024年ドイツ語技能試験準1級は、受験者292人に対し、合格者89人、合格率30.48%でした。

過去5年間の合格率を見ると、平均値は約28%です。
なお、1次試験合格者の約80%が2次試験に合格しており、1次試験突破の方が難しいといえるでしょう。

2007年までは準1級はなく、4級、3級、2級、1級の4つでした。

3級と2級の難易度の差が大きすぎるという意見があり、これまでの2級を準1級とし、新たに2級が新設されました。

とはいえ、3級の平均合格率が約56%、2級が約46%であることを踏まえると、まだまだ2級と準1級の間に大きな壁があります。

ドイツ語圏への留学経験やドイツ語会話のレッスンを受けるなど、ドイツ語での会話に抵抗がない方は、1級と併願してもよいでしょう。

※関連コラム:ドイツ語技能試験1級の難易度とは?合格率・試験対策・勉強方法を解説

試験の出題傾向と対策方法

まず、ドイツ語技能検定試験準1級の過去問題のサンプルをもとに、出題傾向や対策について解説します。

筆記試験の出題傾向と対策

筆記試験は、単語の穴埋め問題2問と、語順の問題1問、そして読解問題4問の計7問用意されており、解答時間は90分です。
また、選択問題だけでなく単語を記入する問題もあります。

2級までのようなアクセントや発音の問題は出題されません。その代わりに、言い換えの問題があります。

問題1:単語の穴埋め問題

最初に示された文章と同じ意味となるような単語を選択します。

「die Nase voll(うんざりする)」のような熟語や、選択肢に示された単語を理解していないと、まず解答できません。問題集に出てくるような熟語や単語は最低限覚えておきます。

問題2:単語(語形変化)の穴埋め問題

最初に示された文章と同じ意味となるように、名詞から動詞へ語形変化させて単語を記入します。

ただ動詞に変換するだけでなく、人称変化や過去分詞に正しく変化させる総合的な語彙量が問われています。

「empfehlen → empfohlen」のような特殊な変化もきっちりマスターしましょう。

問題1、問題2は、どちらも言い換えの問題です。
言い換え問題の対策として、普段から独独辞典を使用しておくと、同じ意味を持つさまざまな表現に触れられます。

問題3:語順の問題

示された3つの単語の語順を選択します。

参考書に出てくるような問題を押さえておくとともに、普段から新聞記事などドイツ語の文章を読んでおくとあまり難しくはありません。

問題4:文章の読解問題

文章を読んで、文中の空白に当てはまる単語(動詞や前置詞、副詞など)を選択する問題と、6つの選択肢の中から内容に合う文を選ぶ問題があります。

問題5:文章の読解問題

グラフや表について解説した文章を読み、3つの小問に答える問題です。
欠落部分を補う単語や、グラフから読み取れる数字、および内容に合致する文を選択します。

ここでは、図表に示された内容をドイツ語で説明する能力が問われています。

問題6:インタビューの穴埋め問題

インタビューのテキストにおいて、レポーターへの返事を、用意された選択肢から選び出します。

レポーターの質問が非常に短いため、決定疑問文なのか、あるいは補足疑問文なのかを仕分けて、レポーターが何を聴きたがっているのかを正しく理解できれば難しくはありません。

問題7:文章の読解問題

文章を読み、8つの選択肢の中から内容に合う文を4つ選びます。
文章を読んで正しい選択肢を探すのではなく、消去法であきらかに間違っている選択肢を探すとよいでしょう。

準1級の読解問題は、一段と文章が長くなっており、単語で引っかかっていると時間が足りなくなります。

文の途中でわからない単語があったとしても気にすることなく文章を読み進めて、文章の内容を把握するようにしましょう。
少しぐらい単語の意味はわからなくとも、文の前後でなんとなく理解できます。

1級になると、文の前後でなんとなく理解する能力がより重要となります。

また、辞書を用いることなく新聞記事などを読む習慣をつけておくと、読解問題は比較的楽に解答できます。

聞き取り試験の出題傾向と対策

聞き取り試験は、大きく分けて2問ですが、読み上げられるテキストが2級に比べて格段に長くなっています。
なお、試験時間は約35分です。

第1部:テキストの内容について答える問題

最初に約3分30秒のテキストが1回読み上げられ、内容に関する質問に対する答えを選択肢から選びます。
質問は1回、選択肢は2回読み上げられます。

なお、質問文は解答用紙に書かれているため、一度さっと目をとおしておきましょう。
何を聞き取れば良いのかのヒントとなります。

第2部:インタビューの内容に関する質問に答える問題

まず、選択肢を読む時間が3分与えられます。
選択肢から、インタビューの内容を想定し、キーワードにマーキングしておきましょう。

約3分のインタビューが2回読み上げられ、9つの選択肢の中から正しい内容を4つ選択します。

第1部、第2部とも読み上げられるテキストが長いものの、記憶力が試される問題ではありません。
以下の3点を意識すると、比較的容易に解答できます。

  • 選択肢や問題文を確認して、あらかじめテキストやインタビュー内容を予測する
  • 選択肢や質問に関連する部分に注意して聞く練習を行う
  • わからない単語は聞き飛ばして、内容の把握に努める

聞き取り試験の過去問の速度についていけない場合は、ドイツのニュース番組やドラマなどを毎日視聴して耳を慣らします。

口述試験の出題傾向と対策

口述試験の試験時間は約8分で、以下の4点が審査されます。

  • 発音とイントネーション
  • 文章構成能力
  • 描写能力
  • コミュニケーション能力

また、大別して自己紹介などの一般的な会話と、選択した写真の内容に関する説明や質疑応答に分かれています。
写真を見て自分なりのストーリーを作る練習をしておくとよいでしょう。

ドイツ語技能検定試験準1級の勉強方法

おしまいに、ドイツ語技能検定試験準1級の学習方法についてお話しします。

おおよその勉強時間

ドイツ語技能検定試験準1級の学習を独学で行う場合は、毎日1時間を3年以上続けるイメージです。

公益財団法人ドイツ語学文学振興会が示した準1級の能力標準では、ドイツ語の授業を数年以上にわたって継続的に受講し、各自の活動領域においてドイツ語に習熟しているか、これと同じ程度の能力のある人となっています。

大学や語学学校に通っている場合は、中級レベル以上の授業の受講に併せて、予習および復習を行いましょう。

独学での勉強方法

独学での口述試験対策には限界がありますので、語学学校や個人レッスン、あるいはインターネット上でドイツ語会話に特化して学ぶか、ドイツ語サークルやドイツ人のコミュニティーに参加するなどの工夫が必要です。

準1級の受験者は、ドイツ語の文法をほとんど理解しており、合格・不合格の差が出てくる部分は語彙量です。
問題集を1冊決めて、最低限必要となる熟語や単語をマスターしましょう。

単語や熟語を覚えることが苦手な方は、類語を集めて整理した単語・熟語カードを作るなど、自分に合った形で工夫してみます。

通信講座を利用した勉強方法

ドイツ語の通信講座を利用する場合は、講座のカリキュラムに沿って学習し、講座で習った熟語や単語をしっかりと覚えましょう。

独学での勉強方法と同様に、単語や熟語を覚えることが苦手な方は、自分が覚えやすい形で整理したカードを作るなどの工夫が必要です。

また、口述試験対策も実施している通信講座を受講の場合は、講座の中でドイツ語会話をマスターします。

口述試験対策が行われていない場合は、独学での勉強方法と同様に、何かしらの方法によりドイツ語で会話を行う機会を得ましょう。

ドイツ語感を養う

長文の読解力や聞き取り能力を向上させるために、毎日決まった時間、ドイツ語の文章を読み、かつニュースなどの番組を視聴します。

熟語や単語を覚えるといっても、準1級レベルになると記憶するだけでは限界があり、また使わない単語は時間とともに忘れてしまいます。

そこで重要になるのは、文章を読む習慣です。
ドイツ語の文章を毎日読むことで、単語を覚えるというより身につける感覚となります。

また、単語や知識を特定の分野に偏らせないために、政治や経済、スポーツ記事、社会問題、小説と様々な分野の文章に触れましょう。

毎日続けることでいわゆるドイツ語感が身につき、初めて見る単語でも前後の文脈や語感からおおよその意味が把握できるようになります。

ドイツ語準1級を目指す方へ

ドイツ語技能検定試験準1級の問題のレベルや難易度を見て、出題される問題の質がこれまでの級と大きく異なることに、驚かれた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

いわゆる上級レベルの入口となる準1級は、ドイツ語の総合的な運用能力が試されており、今まで習得してきたことをベースとして、さらなる飛躍が必要です。

しかしながら、気軽にドイツ語について話ができる仲間の少なさが、準1級レベルの悩みのひとつとなるとお聞きしています。

そこで、気軽に相談できるような窓口を用意しました。

アガルートでは、「ドイツ語検定について詳しく知りたい」、「学習方法に不安が残る」など、様々な質問に答える受講相談を行っています。

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