ドイツ語技能検定試験1級の難易度とは?合格率・試験対策・勉強方法を解説
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ドイツ語技能検定試験1級は、一体どのくらいのレベルを求められているのでしょうか。
5級からスタートしてドイツ語を学び続けてきた方はもちろん、ドイツ語圏から帰国してきて受験を考えている方もいらっしゃるでしょう。
いずれにしても、気になる点は試験内容と難易度です。
これから、ドイツ語技能検定試験1級の試験内容、対策・勉強方法についてお話しします。
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ドイツ語技能検定試験1級とは?難易度はどれくらい?
公益財団法人ドイツ語学文学振興会は、ドイツ語技能検定試験1級の合格に必要とする能力を以下のように示しています。
- 標準的なドイツ語を不自由なく使え、専門的なテーマに関して書かれた文章を理解し、それについて口頭で意見を述べることができる
- 複雑なテーマに関する話やインタビューの対話などの内容を正確に理解できる
- 複雑な日本語の文章をドイツ語に、ドイツ語の文章を日本語に訳すことができる
- 対象は、数年以上にわたって恒常的にドイツ語に接し、十分な運用能力を有する人
- 語彙制限なし
※参考:各級のレベルと内容 | 独検について | ドイツ語技能検定試験 Diplom Deutsch in Japan
ドイツ語技能検定試験1級は、標準的なドイツ語を不自由なく使え、専門的なテーマについて書かれた文章を理解する能力が必要です。
さらに、1級試験では、これまでの級にはない日本語の文章をドイツ語に、ドイツ語の文章を日本語に翻訳する問題が加わります。
ドイツ語技能検定試験1級の合格率は?
それでは、過去の合格率について見てみましょう。
冬期試験のみ | |||
受験者(人) | 合格者(人) | 合格率(%) | |
2017年 | 238 | 24 | 10.08 |
2018年 | 217 | 27 | 12.44 |
2019年 | 219 | 45 | 20.55 |
2020年 | 146 | 23 | 15.75 |
2021年 | 159 | 27 | 16.98 |
2022年 | 159 | 21 | 13.21 |
2023年 | 154 | 15 | 9.74 |
2023年ドイツ語技能試験1級は、受験者154人に対し、合格者15人、合格率9.74%でした。
過去5年間の実績を見ると、合格率は9.74%から20.55%と実施年により振れ幅は大きく、平均は約15%となっています。
準1級の平均合格率約28%からすると、さらに厳しくなっています。
なお、2次試験の合格率は70%〜80%台であり、1次試験の突破が大きなハードルです。
ドイツ語会話の授業の受講経験がある、あるいはドイツ語圏で生活経験がある方は、準1級と併願をおすすめします。
※関連コラム:ドイツ語技能試験準1級のレベルとは?合格率・試験対策・勉強方法を解説
試験の出題傾向と対策方法
それでは、ドイツ語技能検定試験1級の出題傾向や対策について、過去問題のサンプルをベースに解説します。
筆記試験の出題傾向と対策
筆記試験は、文の言い換え問題1問、単語の穴埋め問題1問、読解問題4問、ドイツ語への翻訳1問の計7問用意されており、解答時間は120分です。
選択問題だけでなく、ドイツ語から日本語、日本語からドイツ語への記述式の翻訳問題もあります。
また、1級試験は、問題がドイツ語で書かれています。
しかし、ほとんどの場合定型文であるため、過去問などで一度触れておくと慌てることはありません。
問題1:文の言い換え問題
上段に示された文章の下線部と同じ意味となるように、文章を選択する問題です。
最初に示された文をきちんと読めるようであれば、難しくはありませんが、中には、「bei〜in der kreide stehen(〜に借金をしている)」のような熟語を理解していないと解けない問題もあります。
問題2:単語の穴埋め問題
文の欠落部分に当てはまる単語や文を選択します。
問題1と同様、文を理解できる問題と熟語を知っておかないとまず答えられない問題が混在しています。
問題集に出てくるような熟語は最低限マスターしておきましょう。
問題3:文章の読解問題
文章を読み、3つの小問に答える問題です。
文の言い換えや、内容に合致する文の選択、および日本語への翻訳があります。
問題4:インタビューの穴埋め問題
インタビューのテキストにおいて、レポーターへの回答の欠落した部分に当てはまる文を、用意された選択肢から選び出します。
8つの空白に8つの選択肢が用意されており、インタビューの内容やレポーターが何を知りたがっているのかを理解できれば容易に解答可能です。
問題5:文章の読解問題
文章を読み、9つの選択肢の中から内容に合う文を4つ選びます。
問題6:文章の読解問題
文章を読み、5つの小問に答えます。なお、質問内容は以下のとおりです。
- 欠落部分を補う単語の選択
- 欠落部分を補う文章の選択(2問)
- 最適な文の言い換えの選択
- 文章に適したタイトルの選択
いずれの読解問題も、とにかく正しくかつ速く読める能力を問われています。
単語を追うのではなく、少しぐらいわからない単語があったとしても読み飛ばして、全体の文意をつかむようにしましょう。
また、普段から辞書を使うことなくドイツ語の文章を読む習慣をつけ、わからない単語があっても前後の文章で文意を理解する読み方をしておくと、1級の試験問題への抵抗感を減らせます。
問題7:ドイツ語への翻訳問題
比較的長めかつ複雑な日本語の文章を、ドイツ語に翻訳する問題です。
問題文を直訳するのではなく、自分なりの日本語に整理したうえで翻訳するとよいでしょう。
また、動詞などを正しく活用させ、かつ正確に単語を綴れるように、日頃からドイツ語で日記を書くなど習慣づけておきます。
聞き取り試験の出題傾向と対策
聞き取り試験は、大きく分けて2問あり、試験時間は約40分です。
また、筆記試験と同様に問題がドイツ語で書かれています。
しかしながら、問題文はほぼ定型であり、過去問などで一度触れておくとよいでしょう。
第1部:インタビューの内容を答える問題
最初に小問題の5つの質問に目を通す時間が、2分与えられます。
そのあと約5分インタビューが読み上げられ、続いて質問と4つの選択肢が読み上げられ、順次解答します。
なお、インタビューから選択肢まで1回繰り返されるため、2回目で再確認や不明点を解消するとよいでしょう。
第2部:テキストの内容に関する質問に答える問題
まず、選択肢を読む時間が3分与えられます。
それから、約4分のテキストが2回読み上げられ、9つの選択肢の中から正しい内容を4つ選択します。
第1部、第2部いずれも、質問や選択肢を読む時間が与えられており、あらかじめインタビューの内容を想定し、キーワードに注意して聞くようにしましょう。
読み上げられるテキストを覚えるのではなく、インタビューやテキストの内容について、メモを残しながら自分の中でストーリーを組み立てる作業を行います。
その際、わからない単語はそのまま放置しておき、自分で組み立てた前後のストーリーで補うとよいでしょう。
また、「2回目で確認すれば大丈夫」くらいの気持ちが大切です。
口述試験の出題傾向と対策
口述試験の試験時間は約13分であり、審査されるポイントは以下の4点です。
- 発音とイントネーション
- 文章構成能力
- テーマに即して意見を述べる能力
- コミュニケーション能力
また、大別して自己紹介など一般的な会話と、テーマの内容に関する説明や質疑応答に分かれています。
なお、入室後に4つのテーマが提示され、その中からひとつ選択します。
意見は、「結論」→「理由」の順に述べるようにしましょう。
問題点や理由を述べる際も、いきなり話し始めるのではなく、「Es gibt zwei Probleme. Erstens〜. Zweitens〜.」のように、論点を整理しながら説明します。
口述試験対策として、あらかじめ定型文を身につけておくことも、ひとつの方法です。
ドイツ語技能検定試験1級の勉強方法
最後に、ドイツ語技能検定試験1級の学習方法についてまとめてみました。
おおよその勉強時間
独学でドイツ語を学ぶ場合は、毎日1時間の学習を、4年以上続けるイメージです。
公益財団法人ドイツ語学文学振興会が示したレベル標準において、対象は、数年以上にわたって恒常的にドイツ語に接し、十分な運用能力を有する人となっています。
大学や語学学校に通っている場合は、該当するレベルの授業を受講し、かつ予習、復習をしっかり行います。
なお、既に準1級に合格されている方は、通訳などのお仕事を始めるとよいでしょう。
仕事を通じてドイツ語能力を向上させるやり方も、ひとつの学習方法です。
独学での勉強方法
翻訳対策、口述試験対策については、語学学校や個人レッスン、もしくはインターネット上で学ぶか、ドイツ語サークルやドイツ人のコミュニティーに参加しましょう。
1級の受験に際し、合格・不合格の差異が生じる部分は、単語や熟語などの語彙量です。
過去問や参考書に出てくるような熟語や単語は最低限覚えます。
通信講座を利用した勉強方法
ドイツ語の通信講座を利用する場合は、講座のカリキュラムに沿って学習し、少なくとも講座で習った熟語や単語はマスターしておきます。
通信講座で口述試験対策を行なっている場合は、講座の中でドイツ語会話をしっかり習得しましょう。
口述試験対策が行われていない場合は、独学での勉強方法と同様に、ドイツ語会話を実践できる環境を整えなければなりません。
可能なかぎりドイツ語に触れる
1級のレベルになると、とにかく多くの時間を割いてドイツ語に触れなければなりません。
ドイツ語圏で生活された方が、日本に戻ってきてドイツ語技能検定試験を受験される場合、さほど難しくないと感じられます。
それは、単語や熟語の記憶力が優れているからでしょうか。そうではありません。
職場や学校で一日中ドイツ語に囲まれて生活し、時にはドイツ語による意思疎通がうまくいかなくて苦労しながら、自然と身についたものです。
1級のレベルでは、朝起きてドイツの新聞に目を通し、通勤通学時にドイツ語の小説を読み、寝る前にドイツのテレビ番組を視聴するように、ドイツ語に囲まれた生活を再現する工夫をしましょう。
その結果として、いわゆるドイツ語感が身につき、初めて見るような単語に出会った場合でも、なんとなく語形変化が浮かび、語感や前後の文章から文意を理解できるようになります。
独検1級を目指す方へ
ドイツ語技能検定試験1級の過去問や出題傾向を見て、ドイツ語の文字量や聞き取る文章の長さに圧倒される方が多いとお聞きしています。
とはいえ、ドイツ語検定の最上級レベルであり、かつ最大の難関であるため確かに難しいものの、その分チャレンジしがいがあります。
しかしながら、ドイツ語技能検定試験1級の受験者は非常に少なく、試験が難しいだけでなく、気軽に相談できる仲間を見つけることも難しいのではないでしょうか。
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