今回は、ドイツ語技能検定試験3級の難易度や試験対策について見ていきます。

中には、ドイツ語技能検定試験3級とドイツ語技能検定試験4級の併願をお考えの方もいらっしゃるでしょう

とはいえ、併願の場合は、「ちょっと背伸びをしすぎているかな」と感じる方も少なくありません。

初めて受験する方、併願する方に向けてドイツ語技能検定試験3級の試験概要について解説ます。

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ドイツ語技能検定試験3級とは?

ドイツ語技能検定試験3級に求められる能力レベルは、公益財団法人ドイツ語学文学振興会により以下のように定められています。

  • ドイツ語の初級文法全般にわたる知識を前提に、簡単な会話や文章が理解できる。
  • 基本的なドイツ語を理解し、ほとんどの身近な場面に対応できる。
  • 簡単な内容のコラムや記事などの文章を読むことができる。
  • 短い文章の内容を聞き、簡単な質問に答え、重要な語句や数字を書き取ることができる。
  • 対象は、ドイツ語の授業を約120時間(90分授業で80回)以上受講しているか、これと同じ程度の学習経験のある人。
  • 語彙2000語。

※参考:各級のレベルと内容 | 独検について | ドイツ語技能検定試験 Diplom Deutsch in Japan

ドイツ語技能検定試験3級で求められているレベルは、初級文法の完全な理解と日常的に頻出する単語ならびに会話の理解です。

ドイツ語技能検定試験3級の合格率は?

ここで、過去の合格率について見てみましょう。

  夏期試験 冬期試験
受験者(人) 合格者(人) 合格率(%) 受験者(人) 合格者(人) 合格率(%)
2019 1325 684 51.62 1865 1087 58.28
2020 中止 1087 696 64.03
2021 954 583 61.11 1214 573 47.20
2022 981 614 62.59 1059 634 59.87
2023 921 605 65.69 1,143 460 40.24
2024 877 341 38.88

2024年ドイツ語技能試験3級の夏季試験は、受験者877人に対し、合格者341人、合格率38.88%でした。

過去6年間の実績を振り返ると、最高64.03%、最小38.88%と試験により振れ幅が大きく、平均では約54%です。

4級の合格率がおおむね70%であることを踏まえると、少し厳しめになっています。

ドイツ語技能検定試験3級では、4級で求められている文法の確実な理解が必須となります。

数年にわたりドイツ語を学んできて、4級の過去問を比較的楽に回答できるようであれば、3級との併願を考えてみてはいかがでしょうか。

試験の出題傾向と対策方法

ここでは、過去問題のサンプルからドイツ語技能検定試験3級の出題傾向および試験対策についてお話しします。

筆記試験の出題傾向と対策

筆記試験は、アクセントや文法問題5問と、読解問題3問の計8問です。
なお、選択問題だけで構成されています。

問題1:単語のアクセント、発音の問題

単語のアクセント箇所や発音、および簡単な会話文における強調箇所を選択します。

正しい単語のアクセントや発音を身につけるために、単語の音を耳で確認し、発音する習慣をつけましょう。

また、外来語の「-ar」や「-ion」など、アクセントの基本パターンを覚えておくと、初めて見る単語が出題されても容易に回答を導けます。

問題2:前置詞の選択問題

短い文章における正しい前置詞を選択する問題です。

「an」、「in」など時を表す前置詞の使い分けや、「denken+an」など動詞と結びつく前置詞の理解が問われています。

問題集に出てくるような前置詞の使い分けは覚えておきましょう

問題3:動詞・助動詞にまつわる問題

動詞の正しい変化形を選択する問題です。

ドイツ語技能検定試験3級からは、現在形の活用のみならず、過去分詞、zu+不定詞、助動詞との組み合わせと多岐にわたっており、幅広い理解が求められます。

問題4:成句、関係代名詞、接続詞、疑問代名詞に関する問題

成句、関係代名詞、接続詞、疑問代名詞を選択する問題です。

関係代名詞をマスターするとともに、「nicht nur 〜,als auch〜」などの初歩的な成句は最低限覚えておきましょう

また、疑問代名詞の選択では、動詞が3格目的語、あるいは4格目的語のどちらを必要とするのかまで問われます。

問題5:語彙力を問われる問題

文章に適切な動詞や前置詞、副詞、名詞、あるいは疑問代名詞などを選択する問題です。

ここでは、総合的な語彙力を問われます。「leiden an 〜」、「sich befinden」など、単語や熟語やドイツ語表現を身につけておかないと、まず答えられません。

覚えることも大事ですが、とにかくたくさんのドイツ語の文章を読み、多様な熟語や表現に出会うようにしましょう。

問題6:メールの読解問題

メールを読んで、3つの設問に回答します。設問内容は、文や語句の言い換え、内容理解です。

問題7:日常会話の穴埋め問題

日常会話文において、欠落部分の文を用意された選択肢から選び出します。
会話のシチュエーションや内容の正しい理解が問われています。

問題8:文章の読解問題

文章を読み、8つの選択肢の中から内容に合う文を選びます。

なお、選択肢は日本語で書かれています。文章を読んで正しい選択肢を探すよりも、選択肢の内容が文章に一致しているかどうか、間違っているならばどの部分が誤っているか意識して答えるとよいでしょう。

読解の問題は、単語量と正確に読める能力が問われます。毎日ドイツ語のニュースを読む習慣をつけましょう。

また、問題8の読解問題は毎年出題されるテーマが異なるため、社会問題、健康問題、旅行、料理、スポーツなど幅広いジャンルの記事に日頃から触れていると、比較的楽に文章を読めます。

聞き取り試験の出題傾向と対策

聞き取り試験は、大きく分けて3問で構成されています。

第1部:会話の内容を聞き取る問題

アポイントメントや店舗などにおける会話が、約20秒、2回読み上げられたのち、会話内容にまつわる質問の解答を選択肢から選びます。

なお、質問はドイツ語で書かれています。

第2部:会話の内容を答える問題

日常的な会話が約20秒読み上げられたあとに、ドイツ語で質問されます。質問に対する回答を3つのイラストの中から選択します。

会話内容のみならず、質問も聞き取る必要があるものの、質問は非常に短く単純です。

第3部:重要な語句の聞き取り問題

家族紹介などの会話が、約70秒読み上げられます。

次に、文章中にある重要な語句に関する質問が読み上げられ、正しい回答を記入します。

重要な語句に関する質問は2回読み上げられますが、初めの文章は1回しか読み上げられません。
聞き逃すと解答できなくなるため、メモをしっかりとりましょう。

また、解答に際して、数字だけでなく語句を記入しなければならず、単語を正しく書けることも要求されます。

聞き取り試験のコツは、とにかく慌てないことです。

あらかじめ選択肢を確認して、会話の内容を予想し、かつ選択肢にまつわる部分に注意して聞くようにすると、重要になるキーワードを落ち着いて聞き取れます。

ドイツ語技能検定試験3級の勉強方法

つづいて、ドイツ語技能検定試験3級の学習方法について簡単に解説します。

おおよその勉強時間

公益財団法人ドイツ語学文学振興会による能力標準では、90分授業で80回以上のドイツ語授業の受講か、同等程度の学習経験のある人とされています。

大学や語学学校に通っている場合は、予習・復習をしっかり行い授業で教わった内容の理解で十分といえるでしょう。

大学で授業のペースが週2回の場合、1年半(45週)通うと90分授業を90回受講したこととなります。

ご自宅のみのドイツ語学習で同等の時間数を得るには、毎日1時間の学習を、1年半から2年続けるイメージです。

独学での勉強方法

ドイツ語の初級文法全般の、ほぼ完全に近い理解が求められているため、問題集1冊をひたすら繰り返すことが一番の近道です。

また、3級からは、単語を正しく書けることが必要となります。

正しく綴れるようになるために、ドイツ語で文章を書く習慣を取り入れましょう

例えば、問題集の長文問題をただ解くのではなく、文章を書いてから回答するようにすると効果的です。

通信講座を利用した勉強方法

ドイツ語の通信講座を利用する場合も独学と同様に、講座のテキストを何度も復習します。

また、ドイツ語を正しく書けるようになるために、講座のテキストをただ解くのではなく、問題文を書いて答えるようにするとよいでしょう。

独学ならびに通信講座いずれの場合も、読解、聞き取り対策として、ドイツの新聞のリード文を毎日読むことや、ニュースや天気予報の視聴をおすすめします

まとめ

ドイツ語技能検定試験の合格率の比較からも、3級と4級の間にドイツ語を学び始めて最初の壁が立ちはだかっているといえるでしょう。

しかしながら、急に問題が難しくなった、レベルが上がったというわけではありません。

3級とはいえ、4級と同じ初級文法です。より幅広く、より正確な理解が求められていると捉えるべきでしょう。

3級と4級の間にある壁を乗り越え、そしてドイツ語技能検定試験3級に合格するためにも、疑問やお悩みを気軽に相談してはいかがでしょうか。

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