第三種電気主任技術者（以下、電験三種）は、独占業務を有する国家資格。

就職や転職に役立つほか、独立開業も目指せる資格であるため、「電験三種は食いっぱぐれがない」という意見も見受けられます。

電験三種の取得を検討している方は、資格を活かした働き方について知りたいと考えているのではないでしょうか。

本コラムでは、電験三種は食いっぱぐれがない資格であるかどうかについて解説します。

電験三種の資格を活かせる仕事も紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。

電験三種は食いっぱぐれがない資格？

結論から述べると、電験三種は食いっぱぐれない資格であると言えます。

電験三種は、電気設備の保安および監督業務を独占する「業務独占資格」です。

電験三種の資格保有者しか行えない業務が存在するため、一定の需要が確保されています。

また、資格保有者の人数に対し、電気主任技術者の監督を必要とする設備は増加傾向にあるため、将来的に人手が不足すると言われています。

これらの背景により、電験三種資格保有者の需要は、今後も増加していくと予想されるでしょう。

一方で、電験三種資格を取得すれば、必ず仕事を得られるとは限りません。

電験三種の知識を活かして活躍するためには、資格取得後に実務経験を積むことが重要です。

資格取得によって得た知識と、実践的なスキルを組み合わせれば、食いっぱぐれない資格保有者を目指せるでしょう。

そもそも電験三種ってどのような資格？

電験三種とは「第三種電気主任技術者」の略称で、発電所や変電所、および工場やビルなどに設置されている電気設備の保守・監督を行うための国家資格です。

電気主任技術者資格は、電気工作物の規模によって第一種から第三種までに区分されており、電験三種は電圧5万ボルト未満、かつ出力5,000kW未満の電気工作物を取り扱う際に必要です。

電気設備の保守・監督業務は、電気主任技術者の独占業務であり、無資格者が行うことはできません。

そのため、電験三種は需要が高く、仕事に役立つ資格であると言われています。

電験三種を活かせる仕事5選！

電験三種の資格を活かせる主な仕事は、以下の5つ。

• ビル施設管理（ビルメンテナンス）
• 電気工事士
• 電気技術者
• 太陽光発電の設計施工メンテナンス
• 発電所運転管理

それぞれについて、詳しく解説します。

ビル施設管理（ビルメンテナンス）

電験三種の資格を活かせる仕事として、ビル施設管理（以下、ビルメンテナンス）があげられます。

ビルメンテナンスの主な仕事は、建物の電力設備・空調設備・給排水設備などの調整・運転・管理を行うことです。

電力設備の運転および保守業務においては、エレベーターをはじめとする器具の動作に必要な電力を供給するために、配電盤の操作を行います。

また、電圧計・電力計・電流計などの計器を監視し、設備の動作確認を行うことも、ビルメンテナンス従事者の仕事です。

さらに、施設利用者からの要望に応じて空調機を調節したり、照明器具や電気設備の簡単な修理を行ったりする場合もあります。

参考：ビル施設管理 – 職業詳細 | job tag（職業情報提供サイト（日本版O-NET））

電気工事士

電験三種は、電気工事士の仕事でも活かせます。

電気工事士の主な仕事は、屋内外電気設備の設計および施工です。

具体的には、変電設備や分電盤の設置および配線に加え、放送通信設備・インターホン・防災防犯設備をはじめとするさまざまな機器の取り付けや、電話や通信回線を収める配管・避雷針の工事などを行います。

また、空調設備の管理として、冷暖房用機器の操作を行ったり、ポンプや水槽をはじめとする給排水設備の点検や、排水処理設備の維持管理を行う場合もあるでしょう。

これらの作業は、建設作業と並行して行われるケースが多く、電気工事士は図面の指示にもとづいて作業を行う必要があります。

また、作業完了後に試験を行い、試験成績書を作成することも、電気工事士の仕事です。

参考：電気工事士 – 職業詳細 | job tag（職業情報提供サイト（日本版O-NET））

電気技術者

電験三種は、電気技術者の仕事にも役立つと考えられます。

電気技術者の主な仕事は、電気設備や機器を安全に運転するための保守業務や、管理および更新工事などです。

また、電気設備および機器類の技術開発や改良などに携わる場合もあります。

電気技術者は、電気に関する専門的な知識を活かし、工場・発電所・鉄道会社などでこれらの業務を行います。

設備の保守管理に加え、施工時における工事の監督などを行う場合もあり、活躍の場は多岐にわたるでしょう。

参考：電気技術者 – 職業詳細 | job tag（職業情報提供サイト（日本版O-NET））

太陽光発電の設計施工メンテナンス

太陽光発電の設計施工メンテナンスは、電験三種の知識を活かせる仕事のひとつです。

太陽光発電設備を設置する際は、システムの設計や工程管理などの作業が必要です。

太陽光発電の設計施工メンテナンス従事者は、関係法規および法令を遵守し、設置者の目的に合った形で太陽光発電設備を設置するために、電気設計や構造設計を行います。

また、太陽光発電設備の設置後には、定期点検や監視などのメンテナンス作業にも携わります。

参考：太陽光発電の設計施工 – 職業詳細 | job tag（職業情報提供サイト（日本版O-NET））

発電所運転管理

電験三種の知識は、発電所運転管理にも役立つと考えられます。

発電所運転管理者の仕事は、各種発電所における発電設備の運転および保守管理を行い、安定した電力供給を維持することです。

発電設備の運転を行う際は、運転責任者の指揮下において、起動・停止操作を行います。

また、発電出力の調整や、各種計器類の監視および制御に加え、発電所内の機器の動作確認なども、発電所運転管理者の仕事です。

さらに、保守業務においては、発電所内の設備点検を行い、異常の有無を確認します。

発電所には、火力・水力・原子力に加え、地熱・太陽光・風力・バイオマスなどの種類があるため、発電所に応じた対応が求められるでしょう。

参考：発電所運転管理 – 職業詳細 | job tag（職業情報提供サイト（日本版O-NET））

電験三種は未経験からでもなれる？

電験三種の試験には受験資格がないため、未経験でも合格を目指せます。

ただし、電験三種試験は難易度が高く、例年の合格率は約10％で推移しています。

また、試験の出題範囲が広く、専門的な知識が求められるため、誰でも合格できるという訳ではありません。

独学で一度にすべての試験に合格することは難しいため、科目合格制度を活用することがおすすめです。

初学者の方が電験三種試験の合格を目指す場合は、最低でも約1,000時間の勉強時間を確保しておきましょう。

最短で合格を目指すならアガルート！

本コラムでは、電験三種が食いっぱぐれない資格であるかどうかについて解説しました。

電験三種の資格を取得すれば、ビル施設管理や電気工事士などの職種で活躍できる可能性があります。

また、電験三種の業界は将来的な人手不足が予想されているため、食いっぱぐれない資格を取りたいと考えている方は、特におすすめの資格であると言えるでしょう。

一方で、電験三種試験は難易度が高く、独学で合格を目指す場合は長い時間がかかります。

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