電験三種の難易度は?他資格の合格率と比較!合格に必要な勉強時間も解説
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国家資格であり、様々な施設の電気設備の保安監督が行える電験三種は、人気の高い資格です。
国家資格の中でも難易度が高く、試験範囲も広い電験三種。
電験三種取得を目指す方で、次のような疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。
「電験三種の合格率はどのくらい?」
「電験三種の合格率が低い理由を知りたい」
「電源三種に合格するにはどれくらい勉強すればいい?」
このコラムでは電験三種の難易度を、過去のデータや他の国家資格と比較しながら徹底解説します。
合格率の低い理由・合格に必要な勉強時間・効率よく合格する方法についてもまとめましたので、電源三種の受験を考えている方は参考にしてください。
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電験三種の試験の難易度は?
電験三種の試験は、2019年(令和元年)〜2023年(令和5年下期)の合格率が9.3%〜21.2%と低く、難易度が高い資格です。
電験三種の試験は、4科目すべて合格する必要があるため、試験範囲が広く難易度が高い資格となっています。
参考:試験実施状況の推移(第三種電気主任技術者試験) | ECEE 一般財団法人電気技術者試験センター
実際に過去の合格率の推移を見てみましょう。
電験三種試験の合格率とは?
過去5回分の合格率は以下の通りです。
受験者 | 合格者 | 合格率 | |
---|---|---|---|
令和5年 (下期) | 24,567人 | 5,211人 | 21.2% |
令和5年 (上期) | 28,168人 | 4,683人 | 16.6% |
令和4年 (上期・下期合計) | 62,571人 | 7,307人 | 11.7% |
令和3年 | 37,765人 | 4,357人 | 11.5% |
令和2年 | 39,010人 | 3,836人 | 9.8% |
過去10年間の合格率は以下の通りです。
受験者 | 合格者 | 合格率 | |
---|---|---|---|
令和元年 | 41,543人 | 3,879人 | 9.3% |
平成30年 | 42,976人 | 3,918人 | 9.1% |
平成29年 | 45,720人 | 3,698人 | 8.1% |
平成28年 | 46,552人 | 3,980人 | 8.5% |
平成27年 | 45,311人 | 3,502人 | 7.7% |
平成26年 | 48,681人 | 4,102人 | 8.4% |
平成25年 | 49,575人 | 4,322人 | 8.7% |
平成24年 | 49,452人 | 2,895人 | 5.8% |
平成23年 | 48,864人 | 2,674人 | 5.4% |
平成22年 | 50,794人 | 3,639人 | 7.1% |
近年の合格率は、過去の合格率よりも上昇しています。
この合格率の上昇の背景には、2022年度の試験制度変更により試験回数が1回から2回に変更されたことがあります。
また2023年のCBT方式導入によって、受験者が試験日時及び試験会場を選択できるようになったことも、合格率アップに繋がっているのでしょう。
独学で電験三種試験の合格は難しい?
電験三種は科目ごとの試験範囲が広く、難易度も高いので独学で合格するのは難しいでしょう。
もちろん独学で合格することは不可能ではありませんが、実務経験者や理系出身者ではない初学者の方は相当な勉強量と勉強方法の工夫が必要になります。
電験三種の試験科目は理論・電力・機械・法規の4科目で、資格取得には4科目すべてに合格する必要があります。
合格ラインに達するためには、要点を抑えつつも網羅的に学ばなくてはなりません。
市販の電験三種のテキスト・参考書は数多く出版されていますが、自分の学力・習得スピードに応じたものを自力で見つけるのは難しいことです。
また科目の学習する順序・各科目の項目の優先順位なども、独学では手探りとなるため学習効率が下がりがちです。
初学者が電験三種取得を独学で目指す場合、1年以上の学習期間が必要になる可能性が高く、長期間、モチベーションを維持するのが難しくなります。
効率的に合格するなら通信講座がおすすめ
最短で効率的に合格を狙うなら、通信講座を受けた方が良いでしょう。
通信講座ならプロ講師の講義で、中学数学の基礎レベルから学び直すことが可能。
数学や電気に苦手意識のある方も安心です。1年間で4科目に合格する方も珍しくありません。
もちろん、自分の学びたい分野だけ学ぶこともできるので、学習経験や実務経験のある方は既習部分を飛ばすこともできます。
電験三種の科目別の難易度は?
過去5年間の電験三種の科目別合格率の平均は、理論21.3%・電力23.2%・機械20.9%・法規20.8%と、どの科目も難易度は高めですが、特に難易度が高いのは法規と機械です。
最も難易度が高いのが法規20.8%、次いで僅差ですが機械20.9%が続きます。
電力・機械・法規の学習ベースとなる理論は難易度としては3番目ですが、一番始めに学ぶ科目なので難しいと感じる方が多いようです。
最も難易度が低いのは電力23.2%ですが、年によっては合格率が20%を下回っているので、難易度はやや高めと言えます。
過去5回の科目別の難易度を見てみましょう。
科目 | 試験日 | 受験者 | 合格者 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
理論 | 令和5年上期 | 20,994人 | 5,588人 | 26.6% |
令和4年下期 | 20,712人 | 5,102人 | 24.6% | |
令和4年上期 | 28,427人 | 6,554人 | 23.1% | |
令和3年 | 29,263人 | 3,030人 | 10.4% | |
令和2年 | 31,936人 | 7,867人 | 24.6% | |
令和元年 | 33,939人 | 6,239人 | 18.4% | |
電力 | 令和5年上期 | 18,411 人 | 4,685人 | 25.4% |
令和4年下期 | 16,984人 | 3,540人 | 20.8% | |
令和4年上期 | 23,215人 | 5,610人 | 24.2% | |
令和3年 | 29,295人 | 9,561人 | 32.6% | |
令和2年 | 29,424人 | 5,200人 | 17.7% | |
令和元年 | 30,920人 | 5,646人 | 18.3% | |
機械 | 令和5年上期 | 19,024人 | 4,673人 | 24.6% |
令和4年下期 | 20,433人 | 5,807人 | 28.4% | |
令和4年上期 | 24,184人 | 2,727人 | 11.3% | |
令和3年 | 27,923人 | 6,365人 | 22.8% | |
令和2年 | 26,636人 | 3,039人 | 11.4% | |
令和元年 | 29,975人 | 7,989人 | 26.7% | |
法規 | 令和5年上期 | 20,489人 | 5,899人 | 28.8% |
令和4年下期 | 19,346人 | 3,566人 | 18.4% | |
令和4年上期 | 23,752人 | 3,499人 | 14.7% | |
令和3年 | 28,045人 | 6,761人 | 24.1% | |
令和2年 | 30,828人 | 6,573人 | 21.3% | |
令和元年 | 33,079人 | 5,858人 | 令和2年令和2年 |
次に難易度順に各科目の特徴を見ていきましょう。
電験三種の法規試験の特徴とは?
法規は、電気設備の技術基準・電気工事士法・電気事業法・電気工事士法など法令を網羅的に覚えた上で、穴埋め文章問題・正誤判定問題・計算問題など、さまざまな出題形式に対応しなくてはなりません。
習得した知識を使った応用力が求められるため難易度が高くなっています。
電験三種の機械試験の特徴とは?
機械は、理論の知識を応用して学ぶ上に、変圧器・直流機・誘導機・同期機など幅広い分野の理解が求められます。
日常生活で触れることのない発電及び電気を使う機械の学習は、背景知識がイメージしづらく、習得に時間がかかる科目となっています。
電験三種の理論試験の特徴とは?
他の三科目の学習のベースとなる科目です。
電験三種を勉強するにあたって、まずは理論から学びましょう。
理論の試験問題の8割以上が計算問題となります。
電気理論・電子理論・電気計測と電子計測に関する知識を利用した計算問題なので、中学〜高校レベルの数学の理解が必須です。
電験三種の電力試験の特徴とは?
電気供給の一連の流れとなる電気系統に関する基礎問題が中心で、計算問題も4割程度となります。
理論科目をしっかり習得していれば、スムーズに学習が進むでしょう。
ただし、合格率としては決して高くはないので、時間をかけて電力系統の知識を網羅的に習得する必要があります。
電験三種の試験は他の試験よりも難しい?
電験三種は他の国家資格と比較して難易度が高いと言われています。
次に挙げる経済産業省所管の6つの資格と比較してみましょう。
- 弁理士
- 計量士
- エネルギー管理士
- 電気工業士
- 中小企業診断士
- 高圧ガス製造保安責任者
下表は各資格の直近の合格率をまとめたものです。
資格名 | 合格率 |
---|---|
電験三種 | 21.2% |
弁理士 | 6.1% |
測量士 | 10.3% |
エネルギー管理士 | 67.1% |
電気工事士 (二種) | 上期:73.2% 下期:68.8% |
中小企業診断士 | 5.5% |
高圧ガス製造保安責任者 (ガス主任技術者 丙種) | 22.7% |
各資格の合格率から難易度順にランキングすると下表のようになります。
順位 | 資格名(合格率) |
---|---|
第1位 | 中小企業診断士(5.5%) |
第2位 | 弁理士(6.1%) |
第3位 | 測量士(10.3%) |
第4位 | 電験三種(21.2%) |
第5位 | 高圧ガス製造保安責任者(ガス主任技術者 丙種:22.7%) |
第6位 | 電気工事士第一種(60.6%) |
第7位 | エネルギー管理士(67.1%) |
第8位 | 電気工事士第二種(上期73.2%、下期68.8%) |
五大国家資格に含まれる中小企業診断士・弁理士は、この中では最難関資格と言えるでしょう。
第3位の測量士も国家資格の中ではトップクラスの難易度です。
上位の資格の合格率が低いため、難易度はやや高い程度に感じてしまいますが、合格率が10%を超えたのはここ数年のみです。
過去10年間の合格率は一桁続きですので、難易度が高い資格であることは間違いないでしょう。
電験三種の合格率が低い4つの理由
各教科の試験範囲が広く、さまざまな分野から出題される電験三種。
ここでは合格率が低い4つの理由を解説します。
- 幅広い専門知識を勉強する必要がある
- 計算問題が多い
- 受験資格がなく受験者が多い
- 一発合格を狙っている人が少ない
幅広い専門知識を勉強する必要がある
理論・電力・機械・法規の4科目すべてが、専門性が高い分野のため、覚える内容が多いため合格率が低くなっています。
また電験三種の試験問題は高度な技術知識が求められます。
各科目の合格レベルに到達するためには、重点を抑えた上で、網羅的に学ばなくてはなりません。
電気回路・電磁気学・電力変換など幅広い専門知識を習得し、本試験問題に対応できる実践力を身につけるには長期間の学習期間が必要となります。
計算問題が多い
電験三種の試験は計算問題が多く、暗記だけでは合格できないことも、合格率が低い要因です。
科目によって割合は違いますが、計算問題が必ず出題されます。
特に計算問題の割合が多いのが、全科目の学習の基礎となる「理論」です。
計算問題の割合が例年8割超となっていますので、計算問題の成否が合否を左右する科目です。
電気の基礎・電力・電気機械器具・電気法規などの専門知識を用いた、中学〜高校の数学レベルの計算問題を解かなくてはなりません。
また計算問題を解くために、オームの法則やキルヒホッフの法則など公式の復習も必須となります。
中学〜高校の理科・物理・数学の見直しが必要になるため、これらの教科に苦手意識のある方は挫折しやすいでしょう。
受験資格がなく受験者が多い
電験三種の試験は、学歴や受験資格がなく誰でも受験できるのも、合格率が低くなっている原因と考えられます。
電験三種の試験範囲は非常に広く、様々な分野から出題されるため、多くの勉強時間が必要です。
そのため、勉強が不十分な人も試験に臨んでいる人も多くなるため、合格率が低くなっています。
電気回路の解析や電力の計算などの、数学的なスキルが不十分なまま「とりあえず受けてみる」人も少なくありません。
一発合格を狙っている人が少ない
電験三種は科目別合格制度が導入されており、一発で合格を狙っている人が少ないことから、全体の合格率が低くなっています。
科目別合格制度とは、一部の科目だけ合格した場合は「科目合格」となり、申請することで最初の試験から最大で連続5回まで当該科目の試験が免除となります。
電験三種の試験は年2回実施されますので、3年間で4科目に合格すれば最終合格となります。
ただし、この期間を過ぎてしまうと再度受験する必要があるのでご注意ください。
科目合格制度を利用して、数回に分けて資格取得を目指している人が多いため、合格率が低くなっています。
電験三種の合格に必要な勉強時間は?
電験三種の合格に必要とされている勉強時間の目安は1,000時間です。
これは、あくまでも目安ですので、初学者の方で電気関連の基礎知識がまったくない方の場合は1000時間以上の勉強時間が必要なこともあります。
また、実務経験のある方や学習経験者でしたら500時間程度の学習時間で合格することも可能です。
これまでの学習経験・実務経験・科目ごとの習熟度・学習ペースによって、必要な勉強時間は異なりますが、1000時間を目安として学習期間を算出してみましょう。
1日3時間、休日も含めて勉強した場合、約333日の学習期間となります。
また、勉強時間を平日4時間、土日各5時間に増やすと、学習期間を約167日(5か月半)に短縮することができます。
勉強時間が取れないなら科目別合格制度を利用
まとまった勉強時間が取れない場合は、科目別合格制度を利用することで無理なく自分のペースで合格できます。
一度に4科目の合格を目指すよりも、精神的な余裕があるため、モチベーションも保ちやすいでしょう。
科目別合格制度を利用すれば、一部科目のみ合格した場合、該当科目が最大5回まで連続して免除されます。
電験三種の試験は年2回ですので、合格した科目の合格は2年間有効です。
仕事や学校などで忙しい方も、合格までの学習スケジュールを段階的に進めることができるでしょう。
以下は科目別合格制度を利用した2年間の学習スケジュール例です。
- 最初の1年で理論・電力を250時間ずつ勉強して、残りの1年で機械と法規を250時間ずつ勉強する(勉強時間:毎日1時間40分程度)
- 最初の1年で理論・機械・法規を250時間ずつ勉強して、次の1年で不合格だった科目+電力250時間を勉強する(勉強時間:最初の1年は毎日2時間10分程度、残りの1年は1時間程度)
参考:第三種電気主任技術者試験
電験三種の試験に合格するための3つの方法
電験三種の試験を合格するには、限られた時間で効率的に学力をつけるため、学習方法に工夫が必要です。
電験三種の試験に合格するための3つのポイントを紹介します。
- スケジュールを立てて勉強する
- 通信講座を受ける
- 科目別合格制度を利用する
スケジュールを立てて勉強する
電源三種の試験日は上期7月初旬〜、下期は2月初旬~ですので、試験日の1年前から学習をスタートすることをおすすめします。
先にも述べたように電験三種取得にかかる勉強時間は1,000時間が目安となります。
しかし上記のスケジュールは、毎日3時間程勉強した場合です。
電験三種の目指す方の多くの方が、仕事や学校で忙しい中で勉強することになります。
勉強時間は個人によって異なるので、余裕のあるスケジュールを立てましょう。
通信講座を受ける
学習計画・教材選択・学習相談などをすべてプロに任せて、効率的に学びたいなら通信講座が良いでしょう。
通信講座を利用することで、試験頻出事項に絞って学べる質の高い教材や、プロ講師の学習サポートの提供が受けられます。
電験三種の学習のベースとなる基礎的な電気数学や四則演算から丁寧に学べるので、初学者の方、文系出身の方も安心です。
PCやスマホがあれば勉強できるので、通勤・通学時間や家事の合間を学習時間に充てられるのも通信講座の強み。
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専門知識を持った講師による学習相談も行っているので、数学や暗記学習が苦手な方も安心です。
科目別合格制度を活用する
最初から全科目合格を目指すのではなく、科目別合格制度を活用して、科目を絞って学習すると良いでしょう。
1年以上の学習期間になるので、長期間コツコツと勉強したい方におすすめ。
電源三種の試験では電気回路理論・電気機器に関する基本的な原理・電気安全規制などの専門知識を網羅的に理解し、応用する能力が求められます。
仕事や学校と両立しながら、4科目の学習を進めるのは難しいです。
特定の科目に集中して学べるので、漫然と4科目並行で学ぶよりも学習効率は上がります。
ただし、合格した科目の試験が免除されるのは、合格後の2年間ですので、3年以内に4科目合格することを目指しましょう。
まとめ
電源三種は国家資格の中でも難易度が高く、過去10年間の合格率は10.1%。中小企業診断士・弁理士・測量士に次ぐ難関資格なので、独学での合格は難しいでしょう。
電源三種の合格に必要な勉強時間の目安は1,000時間。受験者の学習・実務経験や学習スピードによって学習期間は異なりますが、数か月〜2年程度の学習継続が必要となります。
短期間で効率的に合格を目指すなら、独学より通信講座を使って勉強することをおすすめします。
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