第三種電気主任技術者（以下：電験三種）は電気設備の保安・監督業務を行うための国家資格で、需要が高い資格です。

これから電験三種を目指す方は、「どれくらい稼げるのか？」と「電験三種を取得するメリット」が気になりますよね。

このコラムでは、電験三種の年収・電験三種の資格手当の相場・電験三種取得後に年収アップする方法・電験三種を取得するメリットについて解説します。

電験三種で就ける業種ごとの年収や、1000万円稼ぐ方法についても触れていますので、ぜひご参考になさってください。

電験三種の年収は？

令和5年職業情報提供サイト「jobtag」によると、電験三種の平均年収は432.9万〜644.5万円です。

令和4年分 民間給与実態統計調査によると日本の平均給与は458万円ですので、電験三種の年収は平均よりもためだと言えるでしょう。

また、ハローワーク求人統計データを基に換算された電験三種の平均月収は、23.6〜33.1万円となりました。

平均年収・月収に幅があるのは、業種によって年収・月収が異なるためです。

なお、電験三種取得者の年収は、年齢が上がるにつれて、年収も上がる傾向があります。

これは、電験三種の担う業務は、知識と実務経験が重要視されることを示しています。

電験三種は工場・ビル・発電所・変電所・工場の電気設備の保安監督業務を行える資格なので、幅広い業種で働くことができます。

電験三種は市場価値の高い、汎用性の高い資格と言えるでしょう。

参考：ビル施設管理 – 職業詳細 | job tag（職業情報提供サイト（日本版O-NET））
電気技術者 – 職業詳細 | job tag（職業情報提供サイト（日本版O-NET））
太陽光発電の設計・施工 – 職業詳細 | job tag（職業情報提供サイト（日本版O-NET））

【業種別】電験三種の平均年収を紹介

電験三種の資格取得者の多い、以下の業種の業務内容・平均年収を解説します。

• ビル施設管理（ビルメンテナンス）
• 電気工事士
• 電気技術者
• 太陽光発電の設計・施工・メンテナンス
• 発電所運転管理

気になる平均月額給料（平均月収）についても触れていますので、ご参照ください。

ビル施設管理（ビルメンテナンス）の年収

令和5年職業情報提供サイト「jobtag」によると、ビルメンの通称で知られるビル施設管理（ビルメンテナンス）の年収は、432.9万円です。

またハローワーク求人統計データを基に想定された平均月収は23.6万円でした。

主な業務内容は、オフィスや商業ビルの電力・空調・給排水設備などの運転・調整や管理です。

具体的には、配電盤などの操作、電力計、電圧計、電流計などの監視、冷暖房用機械の運転、給排水設備の点検などを行います。

また、利用者からの要望や苦情に対応したり、定期的な点検を行ったりして、作業内容を報告書に記録することもビルメンの仕事です。

電気工事士の年収

令和5年職業情報提供サイト「jobtag」によると電気工事士の平均年収は506.8万円です。

なお、ハローワーク求人統計データを基にした平均月収は26.4万円でした。

電気工事士の主な業務内容は、電力会社から送電された電気を変圧する変電設備の設置から始まり、建物内の電気配線や各階への幹線の敷設、分電盤の取り付け、コンセントや照明器具の設置など、電気を利用するための設備工事を行うことです。

この他、情報伝達設備や防災・防犯設備、通信回線の配管、避雷針の設置なども担当します。

また、作業完了後に試験を行い、試験成績書を作成することも電気工事士の職務となります。

電気技術者の年収

令和5年職業情報提供サイト「jobtag」によると電気技術者の平均年収は、644.5万円と電験三種の関わる業種の中でも高い傾向にあります。

また、ハローワーク求人統計データより換算した平均月収は28.5万円でした。

電気技術者の業務内容は、電気設備や機器の開発、改良、管理、更新工事などとなります。

具体的には、発電所や工場で発電機や施設の設計、運転管理、材料の分析、試験などを行います。

また鉄道関連の現場では、受変電や架線、駅の照明などの設備の新設や改修、故障対応、保守管理を担います。

電気技術者の業務範囲は幅広く、施工や監督も含まれ、安全かつ効率的な電気供給を実現しています。

参考：電気技術者 – 職業詳細 | job tag（職業情報提供サイト（日本版O-NET））

太陽光発電の設計・施工・メンテナンスの年収

令和5年職業情報提供サイト「jobtag」によると、太陽光発電の設計・施工の平均年収は573.2万円です。ハローワーク求人統計データを基にした平均月収は33.1万円です。

また、同資料による太陽光発電のメンテナンスの平均年収・月収は、平均年収が515.2万円、平均月収は24.7万円です。

それでは、太陽光発電の設計・施工とメンテナンスのそれぞれの業務内容を見ていきましょう。

太陽光発電の設計では、設置者のニーズに合わせて最適な性能の案選税を備えた発電所を計画し、基準や法令に準拠した設計を行います。

太陽光発電の施工は、設計通りに建設を進めるために日程や工程、安全、予算を管理する業務です。設計変更が必要な場合は柔軟に対応します。

設計・施工共に設置者の目的と予算に応じつつ、長期間の稼働を考慮して安全性と耐久性を最優先に取り組みます。

太陽光発電のメンテナンスの主な業務は、太陽光発電設備の定期点検や監視です。

設備の稼働状況を確認し、不具合を防止する重要な役割を担っています。

具体的には、パネルや架台、電気設備の状態を確認し、パワーコンディショナ接続箱の動作をチェックします。

また、遠隔監視で売電状況をリアルタイムで確認し、停止やトラブル時には駆けつけて対応します。

作業内容は設置場所や周辺環境によって異なり、洗浄や雑草対策、フェンスの設置、修理なども行います。

参考：太陽光発電の設計・施工 – 職業詳細 | job tag（職業情報提供サイト（日本版O-NET）
太陽光発電のメンテナンス – 職業詳細 | job tag（職業情報提供サイト（日本版O-NET）

発電所運転管理の年収

令和5年職業情報提供サイト「jobtag」によると、発電所運転管理の平均年収は634.6万円。

ハローワーク求人統計データを基にした平均月収は25.3万円です。

発電所運転管理の主な業務内容は、火力・水力・地熱・原子力・太陽光・風力・バイオマスなど各種の発電所で運転と保守を行うことです。

運転担当は、中央制御室で運転責任者の指揮のもと、発電設備を操作し、出力を調整します。

また、各種計器類を監視し、発電所内の機器の動作を確認する作業も担います。

一方、保守担当は設備を点検し、必要に応じて消耗品・部品を交換します。以上があれば運転責任者に報告し、安定した電力供給を維持することに務めます。

参考：発電所運転管理 – 職業詳細 | job tag（職業情報提供サイト（日本版O-NET））

電験三種の資格手当はどのくらい？

電験三種の資格手当は企業によって異なりますが、一般的に電気関係の仕事に従事する場合は月額3000〜10000円程度の手当が支給されることがあります。

ただし、これはあくまで目安であり、実際の支給額は勤務先や業種、地域によって異なります。

具体的な金額を知りたい場合は、直接雇用先の人事部や担当者に確認すると良いでしょう。

電験三種は1,000万円稼げる？年収を上げる3つの方法を紹介

電験三種の資格を持つことで1000万円稼ぐことは十分可能です。

年収を上げて、1000万稼げる可能性がある方法を3つ紹介します。

• 独立する
• 他の資格を取得する
• マネジメント経験を積む

それぞれの方法について解説していきます。

独立する

独立開業することで1000万円を稼ぐ可能性はあります。

ただし、独立を成功させるには資金だけではなく、豊富な実務経験に基づく営業力や経営力も必要です。

実務経験を積み重ねることは、独立開業を成功させるための重要な要素。

実務経験は技術力や問題解決能力を養うと同時に、顧客との信頼関係を築く上でも不可欠です。

また、個人事業主として独立する場合、同業者との連携も大切です。

公益社団法人 日本電気技術者協会のような、情報交換や学びの場が提供される業界団体への加入が一般的となります。

参考：公益社団法人 日本電気技術者協会

他の資格を取得する

電験三種の上位資格である「第二種電気主任技術者試験（電験二種）」「第一種電気主任技術者試験（電験一種）」や、「一級電気施工管理技士」「 第一種電気工事士」のような他の電気関連の資格を取得し、自身の価値を上げることで年収1,000万円を目指せるでしょう。

上位資格は難易度が高く、段階的に取得していくこととなりますが、年収をほぼ確実にアップさせられます。

なお、上位資格は実務経験を積むことでも取得可能です。

時間はかかりますが、実務経験の中で上位資格に必要な知識や技術を身につけて、年収の向上を図ることもできます。

マネジメント経験を積む

電験三種で年収1000万円を目指すには、専門技術だけではなく、部下の育成や仕事を円滑に進められるマネジメント能力が必要です。

社員の育成、業務の効率化、組織の成長戦略など、マネジメント経験を積むことは、技術者としての市場価値を高めます。

電験三種の資格とマネジメント能力があることは、転職にも有利に働くでしょう。

また、独立して個人事業主となる場合、マネジメント能力はさらに重要になります。

業務が拡大し、社員を雇う必要が生じた際には、適切なマネジメントが独立開業の成功を左右します。

電験三種を取得する3つのメリット

電験三種を取得することで得られるメリットは以下の3つです。

• 需要が高くAIに代替されにくい
• 年齢を重ねても働きやすい
• キャリアアップが目指せる

ここでは、それぞれのメリットについて詳しく解説します。

需要が高くAIに代替されにくい

電験三種の仕事は、人手不足で今後も需要が伸びる、かつAIに代替されにくい仕事です。

日本国内では、多くの産業や施設において電気設備の維持管理が必要不可欠です。

しかし、この分野で働く人は慢性的に不足しています。

これは高齢化が進む中で、ベテラン技術者が引退し、新しい技術者の育成がおいついていかないことが大きな要因となっています。

企業は電気設備の安全性と効率性を確保するために、優れた技術者を求めており、その結果として、電験三種の資格を持つ人材には多くの求人が出されています。

また、電験三種の仕事がAIに代替されない理由は、その高度な専門知識と現場対応能力にあります。

AIはデータの分析や予測には優れていますが、現場の実際の作業や判断を行うには限界があります。

例えば、予期せぬトラブルや障害が発生した際、AIはあらかじめプログラムされた対応しかできませんが、電験三種の技術者はその場の状況に応じた柔軟な解決策を見出すことができるでしょう。

参考：電験三種とは？仕事内容・試験概要・合格率・取得するメリットを徹底解説！

年齢を重ねても働きやすい

電験三種の仕事は、年齢に関わらず、定年後でも働ける可能性が高く、体力的な負荷もそこまで大きくありません。

業務内容が電気設備の保守管理や点検、トラブルシューティングなどが中心なため、重いものを運んだり、長時間立ちっぱなしで作業をしたりすることは少ないです。

むしろ年齢とともに培った知識と経験が大いに役立つ職種と言えるでしょう。

また、電気主任技術者は、電気事業法に基づき高圧受電設備を取り扱う際に配置が義務付けられています。

この法的要件によって、電験三種の資格を持つ技術者は年齢を重ねても働きやすいでしょう。

キャリアアップが目指せる

資格を取得することで、資格手当をもらえたり、今よりいい条件の会社に転職できたりするなど、キャリアアップが目指せます。

多くの企業が電験三種取得者に、月額数千円〜1万円程度の資格手当を支給しています。

資格手当は基本給に加えて支給されるため、毎月の収入だけではなく、ボーナスにも影響を与えることがあります。

電験三種の資格は転職市場でも非常に有利に働きます。

多くの企業が電気設備の保守管理の専門知識を持つ人材を求めており、電験資格取得者はそのニーズに応えられる存在です。

そのため、現在の職場よりも良い条件の企業に転職するチャンスが増えます。

まとめ

電験三種の平均年収は432〜644万円ですが、独立開業や他の資格取得、マネジメント経験の積み重ねによって、年収1000万円を目指すことも可能です。

また、資格手当やキャリアアップの機会も多く、将来的に収入アップがしやすい資格と言えるでしょう。

電験三種は電気設備の保守管理の専門家として、多くの業種から必要とされている資格です。

経験を積むことでさらに評価が高まるので、年齢に関係なく長く働くことができます。

なお、電験三種の試験は合格率が9.3％〜16.6％と低く、独学が難しい試験です。

効率的に学び、最短で電験三種取得を目指すなら通信講座が良いでしょう。

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