転職でキャリアアップを狙って入学する人も増えているプログラミングスクール。

しかし、受講者の増加とともに「プログラミングスクールに通っても就職・転職できない」という声も聞かれるようになりました。

入学を検討しているものの、高額な受講料に見合う成果を得られないのでは、と迷っている方もいるでしょう。

この記事では、プログラミングスクールに通っても就職・転職できないと言われる理由や、就職・転職が難しい人の特徴、キャリアアップ成功のためにどのような対策があるかなどを解説します。

実は、就職・転職できない人には「共通した理由」があります。

自分にできる対策を適切に取ることで、キャリアアップ成功の確率は格段に上がるはずです。

「プログラミングスクールに通っても就職・転職できない」と言われる3つの理由

• 実務経験がないから
• 未経験のエンジニアは飽和状態だから
• ありきたりなポートフォリオで差別化できないから

「プログラミングスクールに通っても就職・転職できない」と言われるのには、主に3つの理由があります。

特に大きな原因は、プログラミングスクールの卒業生の中での差別化が難しい点。

全員が初心者からのスタート、似たカリキュラムを経て卒業してきているため、人事の目に留まるには自分ならではの強みをもう一押しする必要があるでしょう。

実務経験がないから

エンジニアやクリエイターとしての実務経験のなさは、就職・転職できないと言われる理由のひとつです。

プログラミングスクールではプログラミングのスキルは身につきますが、実務経験が積めるわけではありません。

実際の現場ではクライアントの要望などに沿って開発する能力が必要とされます。

しかし、スクールで学ぶだけでは「他人の要望に従って開発・修正を行う」という一連の工程を体験するのには不十分です。

結果として、「スキルはあるが即戦力にはならない」という中途半端な状態に陥る可能性もあります。

実際の仕事は「開発して終わり」ではないことを、学習段階で意識する必要があるでしょう。

未経験のエンジニアは飽和状態だから

未経験のエンジニアが市場に飽和状態であることは、就職・転職できないと言われる理由のひとつです。

社会のIT化に伴い、エンジニアやプログラマーに対する需要は高まりつつあります。

しかし、高い需要の実態は「人手不足を埋められる即戦力がほしい」というものが大半で、未経験のエンジニアにとって有利とはいえない状況です。

むしろ、社会的な需要の高まりからプログラミングに挑戦する人が増えてきたために未経験のエンジニアは今や供給過多となっているのが実情です。

今後は、単純に「プログラミングができる」というだけでは採用試験の突破は難しくなりつつあるといえるでしょう。

ありきたりなポートフォリオで差別化できないから

採用試験で提出するポートフォリオが差別化できないことは、就職・転職できないと言われるひとつの理由です。

プログラミングスクールでは授業で作成したサイトやアプリを「開発実績」としてポートフォリオに載せるよう指導されることがあります。

しかし、受講者全員が同じスキルを身につけて作成したポートフォリオは自然とどれも似通ったものになってしまい、スキルのアピールとしては少し弱くなってしまうと言わざるを得ません。

オリジナリティの高いポートフォリオを作成するためには、授業で作成したものだけでなく、授業外で個人制作したものや、実際に個人で獲得した案件を紹介するといった方法があります。

スクールによってはフリーランスとして活動する場合の案件の取り方などを指導してもらえることもあるため、サポートを活用しつつ実績を積むといいでしょう。

難易度は高めですが、「未経験」から頭ひとつ抜けたアピールポイントが手に入るはずです。

プログラミングスクールに通っても就職・転職できない人の特徴5選

• プログラミングスクールに通う目的が不明確な人
• 受け身で自発的に行動することができない人
• スクールに通えば良い求人を紹介してくれると思っている人
• キャリアや将来像の解像度が低い人
• 就職支援が整っていないスクールを選んだ人

プログラミングスクールに通っても就職・転職できない人には共通する5つの特徴があります。

特に「積極性に欠ける」「なんとなく」「自己分析が足りない」といった態度は問題です。

確かに、多くのスクールには就職・転職支援制度が充実していますが、就職活動はあくまで自分自身の意思で進めなくてはなりません。

最後に採用・不採用を決めるのは本人の就業に対する熱意や意欲であるということを忘れないようにしましょう。

プログラミングスクールに通う目的が不明確な人

プログラミングスクールに通う目的が明確でない人は、就職・転職が難しいです。

目標が明確な人と「なんとなく」で学習している人とでは、同じ進路を希望したとしても熱意の差は歴然。

人事や面接官が意欲の高い方を採用したいと考えることは言うまでもないでしょう。

「プログラミングを学んで何がしたいのか」は、スクール入学前にはっきりさせておくことが大切です。

エンジニア・クリエイター・デザイナーなど、希望進路がしっかり定まっていれば在学中にも自分が必要な知識を集中的に身につけ、受講料以上のスキルアップを成し遂げることも夢ではありません。

受け身で自発的に行動することができない人

受け身で自発的に行動することができない人は、就職・転職が難しいでしょう。

スクールは就職や転職を支援してくれますが、最終的には受講者本人が志望企業を選び、実際の採用試験を受けなくてはなりません。

就職支援の効果的な活用方法は、受講者自身が選んだ求人について対策方法を相談したり、志望企業に合わせた模擬面接をしてもらったりすることです。

就職・転職のために受講者自身が積極的に行動を起こしてこそ、スクール側の充実したサポート体制が活かされます。

スクールに通えば良い求人を紹介してくれると思っている人

スクールに通いさえすれば良い求人を紹介してくれると思っている人は、就職・転職できない可能性が高いです。

プログラミングスクールの中には複数の企業との間に独自のネットワークを持ち、表に出にくい優良な求人を斡旋してくれるスクールもあります。

しかし、本人に積極性が欠ける場合は、スクールとしても「紹介は難しい」と判断する可能性が高いでしょう。

さらに、就職活動に対する人任せな態度は面接官に見抜かれ、「就業後も意欲のない働き方をするのではないか」と思われてしまう恐れもあります。

スクールの支援はあくまでサポートであり、自分自身の意欲や積極性が問われているということを忘れないようにしましょう。

キャリアや将来像の解像度が低い人

プログラミングを学んだあとのキャリアや将来像の解像度が低い人は、就職・転職が難しいでしょう。

最近ではプログラミングというスキルの認知度が以前よりも上がるとともに、エンジニアやクリエイターの柔軟な働き方や高給という「イメージ」に注目が集まっています。

しかし、イメージは必ずしも実態を正確に表しているとは限りません。

「自由な働き方が選べそう」「稼げるスキルでかっこいい」などと曖昧な憧れやイメージだけでIT業界を志すのは挫折のもとです。

スクールを卒業してエンジニアとして就業できたとしても、実際の現場を知って「思っていたのと違った」と結局職場を去ることになる可能性もあるでしょう。

プログラミングは役立つスキルではありますが、挫折率も高く、難易度も高い分野です。

スクールに入学する際には「スキルを身につけて将来どうなりたいか」を明確にするとともに、単なる憧れで進路を選ぼうとしていないかをしっかり確認しましょう。

就職支援が整っていないスクールを選んだ人

就職支援が整っていないスクールを選んだ人は、就職・転職が難しいでしょう。

プログラミングスクールの中には提出書類の添削から模擬面接の対策まで総括的にサポートしてくれるスクールもある一方、就職支援が有料だったり、制度があまり充実していないスクールもあります。

特に、スキルアップや教養を身につけることをメインにしているスクールやカリキュラムでは、就職支援自体が用意されていないことも。

同じスクールの中でも選ぶコースによって就職支援の内容が変わる場合もあるため、申し込む前にどのようなサポートが受けられるのかをしっかり比較検討することが大切です。

プログラミングスクールを活用して就職・転職を成功させる4つの方法

• 実務経験が積めるプログラミングスクールを選ぶ
• 就職支援が充実しているプログラミングスクールを選ぶ
• ポートフォリオでオリジナリティを出す
• プログラミングスクール以外でも実績を積む

プログラミングスクールを最大限に活用して就職・転職を成功させるために、効果的な方法が4つあります。

特に、スクールのカリキュラム外の活動としてみずから開発実績を積むことはおすすめです。

実際にクライアントから案件を受注して作成した成果物は、授業で作る「お試し」のサイトやアプリよりも強力なアピールポイントになります。

実務経験が積める・スキルアップが狙える・コミュニケーション能力や仕事への意欲をアピールできるといいことづくめです。

実務経験が積めるプログラミングスクールを選ぶ

実務経験が積めるプログラミングスクールを選ぶことは、就職・転職を成功させるうえで重要です。

人材不足が深刻なIT業界では、「即戦力」の需要が高まっています。

「スキルがあって未経験」が供給過多状態にある中、実務経験は素晴らしいアピールポイントとなって人事の目に留まりやすくなるでしょう。

中には、チームを組んで実際の現場に近い環境でアプリを作成したり、現役エンジニアにサポートを受けながら開発ができるカリキュラムを用意しているスクールもあります。

「組織人」に必須のコミュニケーション力やより実践的なスキルが身につくことで、即戦力として活躍できる可能性が広がります。

エンジニアは在宅フリーランスも可能な職業として注目されていますが、「黙々と開発だけしていればいい」というわけではありません。

チームメイトやクライアントとしっかりやり取りできる力があり、現場で通用するスキルが身についていてこそ、企業に求められる一人前のエンジニアであるといえるでしょう。

就職支援が充実しているプログラミングスクールを選ぶ

就職支援が充実しているプログラミングスクールを選ぶことは、就職・転職を成功させるために重要です。

各スクールは受講者の目的によってカリキュラムやコースを設計しているため、「就職・転職を積極的にサポートする」ことを謳っているスクールをしっかり選びましょう。

中には、修了後の一定期間内に内定が出なかった場合に受講料を返金してくれる「転職保証」を取り入れるなど、就職・転職のためのリスキリングに特化したスクールもあります。

同じスクール内でも就職・転職向けのコースとスキルアップ向けのコースなどカリキュラムが分かれていることもあるため、どのスクール・コースに入学するかは事前にしっかり検討しましょう。

ポートフォリオでオリジナリティを出す

ポートフォリオのオリジナリティは、就職・転職の成功しやすさを左右します。

エンジニアやクリエイターのようなスキルありきの職業を志望する場合、自分の作品をまとめたポートフォリオは履歴書や職務経歴書と同じくらいの重要資料です。

しかし、「同じプログラミングスクールを卒業した未経験者」という条件が被っていると、ポートフォリオ自体も似通ったものになりがち。

授業で作ったものをとりあえず並べただけ……というありきたりな内容では他の応募者との差別化ができず、今ひとつアピール力に欠けます。

ポートフォリオには応募者の経験やスキルだけでなく、センスや閲覧者への配慮なども如実に表れます。

作品自体は授業での作成物しかなくても、こだわりポイント・デザインの意図・制作時に気をつけたことなど、オリジナリティを感じられる内容を盛り込んで差をつけましょう。

また、希望する進路に対して説得力のあるポートフォリオになっているかは必ずチェックしてください。

例えば、デザイナー志望なのにフォントや画像の配置が適当、エンジニア志望なのにデザイン面ばかりアピールしてもあまり効果がありません。

面接官にミスマッチな印象を与える可能性がありますので注意しましょう。

プログラミングスクール以外でも実績を積む

プログラミングスクールの外でも実績を積むことは、就職・転職の成功を後押ししてくれます。

授業外で実際にクライアントとやり取りをして受注した案件は、どんなに小さくても「実務経験」「開発実績」としてポートフォリオに載せることができます。

例えば、クラウドソーシングサイトやスキルマーケットなどには、経験の多寡を問わず受注できるプログラミングの案件がたくさん掲載されています。

いくつか挑戦して実績を積めば、ポートフォリオを充実させて就職・転職を有利に進めることができるでしょう。

さらに、クラウドソーシングサイト内で信頼と実績を積むことは、将来的にフリーランスとして活動する下地を作ることにも繋がります。

働き方の選択肢を増やすという意味でも挑戦して損はないでしょう。

まとめ

この記事では、プログラミングスクールに通っても就職・転職できないと言われている理由について、以下の内容で解説しました。

• スクールを卒業しただけでは実務経験が積めず、即戦力と見做されにくい。校外で実務経験を積む・ポートフォリオを工夫するなどの対策が必要。
• スクールに通えば良い就職先を紹介してもらえると思っているなど、人任せ・受け身な態度は就職で不利になる。また、自分の将来像や目標が明確になっていないと、職場とのミスマッチが起きやすくなる。
• 就職・転職を成功させるには、就職支援が充実しているスクールを選ぶほか、カリキュラム内で実務経験を積めるスクールを選んだり、クラウドソーシングサイトなどで開発実績を作るなどの対策が効果的。

キャリアアップを目標にプログラミングスクールに入学する人は多くいますが、カリキュラムさえ修了すれば実際の現場で求められる人材になれるわけではありません。

実際にはスタートラインが同じ「未経験」の受講生が市場には溢れており、経験者が即戦力として優遇されやすいことは言うまでもないでしょう。

就職支援を活用して積極的に求人に応募する・初心者でも受注できる案件に挑戦して実績を作るなど、意欲があれば有効な対策はたくさんあります。

自分だけのオリジナリティやブランディングをどのように行うかが就職・転職成功の鍵となるでしょう。