「統計検定4級」は、一般財団法人である統計質保証推進協会が実施している「統計検定」の中の1つです。

難易度は最も易しく、高度な数学は含まれないので、これから統計学について学び始めたい人の最初のステップにおすすめの資格です。

この記事では統計検定4級について、試験の概要や学習方法を解説します。

統計検定4級とは?

統計検定4級は、5等級ある「統計検定」の資格の中で最も難易度が低い入門者向けの試験に当たります。

統計検定とは、一般財団法人である統計質保証推進協会が実施している検定で、統計に関する知識や活用力を評価する検定試験です。

統計検定4級では、主にデータや表・グラフの読解についての基礎知識と活用力が問われます。

難しい数学の内容は含まれないので、文系出身者や高校生など、これからデータ活用について学び始めたい人の最初のステップに適した資格です。

また、本資格の学習では基本的なデータの読解力を身につけることができます。

正規分布、中央値と平均値の違い、下限値と最小値の違いなど、データを取り扱う上で重要な概念を学べるため、正しいデータの読み取り方が身につき、業務や日常生活に活かすことができます。

統計検定には受検資格が定められていないため、4級を飛ばして上級の資格からスタートすることも可能です。

4級の難易度が低いように感じる場合は、自分のレベルにあった級から受験すると良いでしょう。

求められる数学知識

統計検定4級は統計学のエッセンスを学ぶ入門向けの資格であるため、試験の内容に高度な数学的知識は含まれません。

必要な数学の範囲は「中学入学レベル」とされており、基本的な四則計算や割合の計算ができれば解答できる問題が出題されます。

数字が細かくやや手間のかかる計算問題が出題されることもありますが、電卓の持ち込みが認められているため、計算自体がネックになることはほとんどありません。

統計検定4級はこんな人におすすめ!

以下のような人は、統計検定4級からのチャレンジがおすすめです。

  • データの読み取り方の基本を身に付けたい人
  • 統計学に興味があるけれど、数学に苦手意識のある人
  • データサイエンティストを目指しており、統計学の基礎概念を学びたい人

特に高校生や文系出身者で、これからデータの読解力を身につけたい人の第一歩に向いています。

統計検定4級は簡単な計算が多く、数学の学習にかかるウェイトが大きくないため、統計学の基礎的な概念や用語を理解することに集中できます。

そのため、「データの読み取り方の基本を身につける」ことに注力するのに適した資格です。

いっぽう、高校数学の知識が既に身についている場合は、統計学の基本事項をより広くカバーしている統計検定3級からの受験もおすすめです。

統計検定4級の試験内容

名称統計検定4級
受験日程通年
出題形式CBT
(4~5肢選択問題)
受験料一般:5000円(税別)
学生:3500円(税別)
問題数30問程度
試験時間60分
合格点正答率60%

統計検定4級試験は、試験会場のパソコン上で表示される4〜5択の選択肢の中から回答を選ぶ形式の試験です。

本試験では電卓の持ち込みが認められています(関数電卓等は不可)。

計算問題では小数点や割合を含む問題が出題され、手計算ではやや手間がかかるため、スムーズな回答のために必ず電卓を持参するようにしましょう。

出題される問題数は30問程度で、結果は試験終了後すぐにレポートとして確認することができます。

試験時間は60分で、1問あたり約2分程度の計算になります。

複雑な計算は少なく、データ内容の読解や基本概念を問う問題が中心となるため、落ち着いて回答すれば時間が不足することはほとんどありません。

出題の傾向

統計検定4級試験では統計学の基本的な用語を問う知識問題と、データ読解に関する計算問題が出題されます。

主な出題内容は下記の通りです。

  • 統計的問題解決の方法
  • データの収集(データの種類、標本調査)
  • 統計グラフ
  • データの集計
  • データの要約
  • クロス集計表
  • 時系列データの基本的な見方
  • 確率の基礎

統計検定 CBT「統計検定4級」 出題範囲表より抜粋

いずれも統計学の基本的な概念についての理解を問われます。

ひねりのある問題は少ないですが、用語の意味や他の用語との関連についての問題が多く出題されるため、統計学の基本用語についてはよく理解しておく必要があります。

統計検定4級の難易度・合格率

統計検定4級試験は統計学の入門向け資格であるため、難易度は易しくなっています。

数学の基礎力がある人なら、公式問題集を一通り勉強するだけでも合格圏内に入ることができるでしょう。

なお、紙媒体を利用した従来の試験(PBT方式試験)が終了して全てCBT方式の受験に移行したことに伴い、2021年以降の合格率は公表されていません

以下では参考までに、2021年までに公表された過去5年の合格率を見ていきます。

申込者数受験者数合格者数合格率
2021年17214710772.8%
2020年(試験中止)
2019年49142223756.2%
2018年36931917755.5%
2017年37934023569.1%

年によってばらつきはありますが、受験者のおよそ6割が合格しています。

4級を受験せず3級から受験を開始する人も多いため受験者数は少ないですが、合格は比較的容易な試験です。

統計検定4級で出題される例題

統計検定4級で出題される問題については、過去問が公開されています。

参考:統計検定公式HP:過去問に挑戦 

例年多く出題される傾向があるのは、以下のような問題です。

  1. グラフや表のデータが示され、そこから読み取れる内容を回答する問題
  2. 与えられたデータをもとに計算する問題
  3. 与えられた数値やデータを示すのに適切なグラフを選択する問題

1では折線グラフやヒストグラムのような図表が与えられ、そこに示されている内容を示す適切な文章を選択する問題が出題されます。

論理的に読み解けば回答可能な問題ですが、グラフの種類や問題の前提によって複数のパターンが出題されることもあります。

例題

2019年11月試験問題

2では、表やグラフなどから数値を読み取り、平均値や中央値、割合や確率などを計算する問題が出題されます。

それぞれの用語の定義を理解した上で適切な数値を用いて計算を行うことが必要です。

1との複合問題となっていることもあり、統計検定4級の中では比較的難易度が高い問題と言えるでしょう。

例題)

2019年6月試験問題

3では、表や文章題として与えられた数値をグラフ化する上で、最適なグラフの種類を選択する問題が出題されます。

例えば、時系列に並んだデータなら折れ線グラフ、割合を比較するなら円グラフ、といったように、データの構造によってどのような示し方が適しているかを理解しておく必要があります。

例題)

2019年11月試験問題

全体を通じて、単純な計算や暗記問題というよりは、文章やデータをみて内容を読み解く力を問われる傾向が強いです。

 統計検定4級の勉強方法

統計検定4級は、公式の対応テキストと問題集が出版されていますので、まずはこれらを用いて出題範囲の内容を一通り学ぶことをおすすめします。

また、先ほど紹介したように、統計検定公式サイトには過去問も掲載されています。

統計検定公式HP:過去問に挑戦

統計検定で初めて統計学を学ぶ場合は、まず公式テキストを用いて基礎的な用語や概念について一通り押さえましょう。

特に、平均値と中央値のような混同しやすい定義に気をつけつつ、それらの意味や計算方法を理解します。

公式テキストは中学生からの読者を想定して書かれており、統計検定4級の内容が分かりやすく解説されています。

練習問題も付属しているため、理解度を確認しながら学習を進めることが可能です。

基本的な用語や定義についての理解が進んだら、過去問や公式の例題集に取り掛かります

まずはこちらの問題を解き、基本的な用語や計算問題で理解が不十分な部分がないかを把握しましょう。

わからない部分があれば都度公式テキストを確認し、知識の穴を埋めていきます。

なお、この過去問には解説がついていません。

解答のみしか掲載されていないので、わからなかった部分や理解が薄い部分は必ずテキストを確認し、やりっぱなしにならないように注意が必要です。

しっかりとした解説のある問題で知識を定着させたい場合は公式例題集がおすすめです。

こちらは問題に充実した解説がついているので、なぜその答えが正しいのか?といった部分まで理解しながら進めることが出来ます。

また、公式例題集は統計検定4級・3級の両方に対応。ゆくゆく統計検定3級の受験も考えている場合は、購入して損はない問題集だと思います。

過去問や問題集によって複数の問題を解き、傾向に慣れたら、ぜひ試験に挑戦してみてください。

合格に必要な勉強時間の目安

統計検定4級の学習は、完全な初学者で10~20時間程度、数学にある程度自信がある人で5〜10時間程度です。

試験内容は基礎的な用語の意味を問う問題や、データの読解、簡単な計算問題なので、学習時間の多くは用語の意味理解や問題演習が中心になります。

過去問や練習問題を解いて試験の出題傾向に慣れることが学習時間の多くを占める形になります。

まとめ

統計検定4級は、統計学やデータの取り扱いについての基礎的な能力を認定する試験です。

これから統計やデータ分析の学習を始める第一歩として最適な資格ですので、本記事を参考に、統計検定4級資格の取得から目指してみてはいかがでしょうか。