統計検定2級とは?難易度や必要な数学レベル、勉強法・参考書まで紹介!
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「統計検定2級」は、一般財団法人である統計質保証推進協会が実施している「統計検定」の中の1つで、一般的に「仕事で使える」と言われるレベルはこの2級からと言われています。
転職や業務での活用を考えている人は、まずは2級の取得が目標になります。
この記事では統計検定2級について、試験の概要や学習方法を解説します。
目次
統計検定2級とは?
統計検定とは、一般財団法人である統計質保証推進協会が実施している検定で、統計に関する知識や活用力を評価する検定試験です。
統計検定2級は、5等級ある「統計検定」の資格の中でも実践的な資格にあたり、本格的に機械学習やデータ分析を行う場合、統計検定2級相当の知識は必要不可欠となっています。
一般に、「仕事で使える」とみなされるレベルは統計検定2級からと言われています。
統計検定の資格取得を推奨している企業も、目安を2級としている場合が多いようです。
統計検定2級を取得していれば、データを読み解き、ビジネス上の問題解決に活かすことができる能力があると客観的に証明してくれます。
履歴書に記載する場合は、まずは2級の取得を目標にすると良いでしょう。
受験者の年齢分布も20代から40代が多くなっており、実務経験の豊富な層が多く受験していることが読み取れます。
参考: 受験者の年齢分布(PBT方式)
このことからも、実践的な統計学を学びたい人に適した資格といえます。
統計検定の資格取得を推奨している企業も、目安を2級としている場合が多いようです。
なお、統計検定には受検資格が定められていないため、3級・4級を取得していなくても統計検定2級を受験することができます。
求められる数学知識
統計検定2級では、大学基礎レベルの統計学の知識と問題解決力が問われます。
計算問題を解く上では高校数学までの知識で十分対応することができますが、定義や分析方法の仕組みを理解するためには大学基礎課程レベルの数学知識が必要になります。
基本的には公式を暗記するよりも、原理や性質を理解することが重要ですが、微分・積分・総和・確率の計算は問題を解く上で大前提となってきます。
高校数学レベルの計算は確実な理解が求められます。
統計検定2級の試験内容
資格 | 統計検定2級 |
受験方法 | CBT方式 |
試験日 | 任意 |
受験料 | 一般:7,000円(税込) 学生:5,000円(税込) |
出題形式 | 4~5肢選択問題 |
問題数 | 35問程度 |
試験時間 | 90分 |
合格点 | 100点満点で70 点以上 |
受験資格 | なし |
統計検定2級試験は、試験会場のパソコン上で表示される4〜5択の選択肢の中から回答を選ぶ形式の試験です。
統計検定2級では四則演算や百分率、平方根の計算ができる電卓を使うことができます(関数電卓は使用不可)。
計算問題も多く出題されるため、使い慣れた電卓を忘れず持参するようにしましょう。
出題される問題数は35問程度で、結果は試験終了後すぐにレポートとして確認することができます。
試験時間は90分で、1問あたり約2~3分程度の計算になります。
統計検定2級では複雑な計算問題もあり、難易度の高い設問に引っかかると時間が足りなくなってしまうこともあります。
すぐに解けない問題は一旦後に回し、解ける問題から確実に回答していきましょう。
統計検定2級の難易度・合格率
統計検定2級の難易度はやや高いと言えます。
基本的には試験範囲の公式テキストを学習すれば解答可能な問題ですが、全体の2割程度、相当な実力が要求される難問が出題されます。
統計検定2級では成績優秀者の表彰をおこなっているため、受験者の点数差をつけるための措置だと予想されます。
全体の出題傾向としては、「易問8割+難問2割」となっており、8割の問題については基礎が理解できていれば解ける問題なので、確実な解答が必要です。
なお、2021年の試験から紙媒体を利用した従来の試験(PBT方式試験)が終了して、全てCBT方式の受験に移行しました。
以下では、PBT方式とCBT方式それぞれの過去の合格率をまとめています。
PBT方式:Paper Based Testing、紙ベースで問題を解く試験形式
CBT方式:Computer Based Testing、コンピュータを利用して実施する試験方式
CBT方式 | 合格率 |
---|---|
2023年 | 49.1% |
2022年 | 49.9% |
2021年 | 48.0% |
2020年 | 50.2% |
2019年 | 52.8% |
2018年 | 52.7% |
PBT方式 | 申込者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|---|
2021年6月 | 979 | 731 | 249 | 34.1% |
2020年(試験中止) | ー | ー | ー | ー |
2019年11月 | 3,264 | 2,369 | 988 | 41.7% |
2019年6月 | 2,710 | 1,938 | 883 | 45.6% |
2018年11月 | 2,571 | 1,896 | 792 | 41.8% |
2018年6月 | 2,087 | 1,532 | 669 | 43.7% |
統計検定2級の過去数年の合格率を見ると、PBT方式で約40%、CBT方式で約50%を推移しています。
合格率からも統計検定2級は、比較的難易度の高い試験であることがわかります。
ちなみに、統計検定3級の合格率は約60%台となっています。
統計検定2級の例題
統計検定2級では、データを読み取る読解問題のほか、母集団の推定、検定 、標本の集め方の正誤問題、確率の計算問題などが出題されます。
例題1)
2021年6月試験問題
上記のようなデータの読解は毎年出題されています。
回帰分析の結果などが提示され、そこに示された正しい情報を選択肢から選びます。
基礎的な用語や概念を理解していれば容易に解答できるため、確実に正答しておきたい問題です。
例題2)
2021年6月試験問題
計算問題では、実際のデータ分析に即した状況を設定され、分散や確率などを求める問題が出題されます。
比較的難易度の低い問題から、難解な問題まで幅広く出題されるため、問題の見極めが重要になります。
統計検定2級の勉強時間
統計検定の2級合格には、各種検定手法の理解と高校数学レベルの計算スキルが必要です。
一般的に、合格に必要な勉強時間は50~60時間程度と言われています。
高度な数学に馴染みがある理系出身者や、統計検定3級を取得していて統計の基礎知識がある場合はより難易度は下がり、20-30時間の学習で合格することも可能です。
統計検定2級の勉強方法
まずは学習内容の全体像を掴むため、公式テキストを1周します。
その後、用語や概念を整理し、それぞれの解析法の特徴や、用いられる手法の関係を整理しましょう。
検定は沢山の種類があって混乱しますが、体系的に整理すると覚えやすいです。
それぞれの項目で複雑な数式が出てきますが、まずは式の意味を理解する前に「どのようなことを調べるために使う手法か」「計算結果から何がわかるのか」を把握しておくと理解がしやすくなります。
メインの文章に加え、欄外の付録にも重要な内容が記載されているため、可能な限り目を通すと良いでしょう。
公式テキストの内容を一通り理解できれば、統計検定2級に合格する力を身につけることができます。
公式テキストのみでは理解が不十分な部分については、併せて「統計学入門」や「やさしくわかる統計学のための数学」を読み、理解を深めます。
ある程度内容が理解できたら、過去問を解いていきます。
過去問は試験の傾向を掴むだけでなく、自信の理解度や苦手分野の把握に役立ちます。
一度にまとめて解くより、1回ずつ、解けなかった内容を潰すように参考書を確認しつつ解き進めていくと良いでしょう。
1冊解き終われば再度挑戦し、何度も繰り返すことで知識が定着します。
おすすめのテキスト・問題集など
統計検定の2級の学習に適した参考書やテキストを紹介します。
日本統計学会公式認定 統計検定2級対応 統計学基礎
統計検定の公式テキストです。
試験範囲を網羅しており、統計検定2級相当の知識が無駄なく解説されています。
特に、2級より先の級を目指す人にとっては、確実に基礎を身につけることができる参考書です。
難点として、数式の詳細な意味などが簡潔に記載されているため、理解が追いつかないことがあります。
この本だけでは難しいと感じる場合は、他の参考書で知識を補完すると良いでしょう。
より詳細な解説が記載されている「統計学入門」などがおすすめです。
日本統計学会公式認定 統計検定 2級 公式問題集
統計検定の過去問集です。1冊あたり3年分、計6回分の過去問が掲載されています。
一試験90分なので9時間あれば一周できる計算となります。
年度によって試験範囲が変わっていることもあるため、まずは新しいものを選ぶことをおすすめします。
統計学入門
「統計学入門」は通称「赤本」とも呼ばれる統計学の良書です。
理論について公式テキストよりも詳しく解説されており、公式テキストの補足として理解を深めるのに適しています。
この本をひと通り理解できれば、統計検定2級に問題なく合格できるでしょう。
もっとも、本書では「分散分析」など、統計検定2級の範囲を超える部分まで網羅されています。
2級合格を目的とする場合は、まずは公式テキストで試験範囲の内容を押さえたのち、補足的に読むことをおすすめします。
統計WEB 統計学の時間
統計検定2級の範囲の情報がまとめられたWEBサイトです。
スマートフォンからも閲覧できるので、テキストを持ち出せない出先など、隙間時間にも学習を進めることができます。
練習問題も掲載されており、知識の定着度合いも確認することができます。
参考書の内容が非常に難しく感じる場合は
なお、これらのテキストの内容が非常に難しく感じる場合は、まずは数学の基礎を固めることが重要です。
高校数学に自信のない方は「やさしくわかる統計学のための数学」がおすすめです。
「やさしくわかる統計学のための数学」は、統計学で用いられる数学について、難しい数式を使わず丁寧に解説している参考書です。
非常にわかりやすくまとまっているため、統計数学の基礎を着実に身につけることができます。
また、統計検定3級のテキストから入り、前提となる統計知識をおさらいするのも良いでしょう。
焦らず、基礎を固めることが統計検定2級合格への近道となります。
まとめ
統計検定2級は、高度な統計学の知識と活用のための理解度を認定する試験です。
実際のビジネスにも活かせる内容となっているため、統計学やデータ分析を活かした仕事を行う第一歩として最適です。
履歴書に記載できる価値がある資格ですので、本記事を参考に統計検定2級資格の取得を目指してみてはいかがでしょうか。
関連記事:データサイエンティストを目指す方におすすめの8資格
この記事の著者 アオミ ソウ
薬学系大学院の修士課程を主席卒業後、大手製薬企業で有機合成・データサイエンス関連業務に従事(専門は生物有機化学)。
現在は研究の傍ら、ライターとして記事の執筆・イラストの制作を行っている。
主な執筆分野はサイエンス(医療、生化学、情報科学)をはじめ、ガジェット、資格など。
保有資格
2018年 危険物取扱者甲種
2021年 データサイエンス数学ストラテジスト(上級)
2021年 応用情報技術者