2017年より、新しいAI資格であるG検定が開始されました。

G検定は「ディープラーニング」の分野を中心に、AIを事業活用するための知識を問う検定です。

この記事ではそんなG検定について、試験の難易度と合格率について解説します。

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G検定(ジェネラリスト検定)とは?

G検定の概要

名称G検定
認定団体JDLA 民間資格)
受験資格なし
出題形式多肢選択式
問題数200問程度
受験時間120分
試験日程2024年は全6回を予定
詳しくは開催スケジュールをご確認ください
受験料一般:13,200円
学生:5,500円

G検定は日本ディープラーニング協会(JDLA)が実施している検定で、「ジェネラリスト検定」とも呼ばれます。

AI分野の中でもディープラーニングに特化した資格で、「ジェネラリスト」という名称の通り、ディープラーニングに関連する広範な知識とスキルが問われます。

ディープラーニングを「どう使うのか」に着目し、AIをビジネスに活かすことに視点が置かれています。

G検定は比較的新しい資格ですが、ビジネスのAI活用への期待によって、G検定の知名度も高まっています。就職・転職活動、昇進など、今後のキャリア形成にも有用な資格です

2024年の試験は年6回開催予定となっており、自宅で受験することもできますので、気軽に受験しやすいのも特徴です。

関連コラム:G検定(ジェネラリスト検定)とは?【データサイエンティストに関わる資格】

G検定取得をおすすめしたい方

  • 人工知能、データ分析、機械学習、ディープラーニングなどのデータサイエンスに関するプロジェクトに携わる方
  • 上記の領域とビジネスを結びつけて、事業を開発・推進される方
  • 初めて人工知能やデータサイエンスを学ばれる方で、幅広く知識を身につけたい方
  • 転職・キャリアアップのために、有資格者であるという客観的な評価指標を活用したい方

G検定を受験するメリット

  • 人工知能プロジェクトに役に立つ知識を幅広く体系的に整理でき、様々な形で役に立てることができる
  • 人工知能やディープラーニング、機械学習にまつわる知識を持っていることを、資格を有することで客観的に証明できる
  • DLAのロゴマークを受領でき、それを名刺に載せることができる

G検定取得後はE検定でステップアップ

なお、JDLAが実施する資格では、E資格(エンジニア資格)もあります。

こちらは、ディープラーニングを実際に実装するエンジニア向けの資格です。

受験資格として、別途教育プログラムの受講が義務付けられています。

このE検定をG検定からのステップアップで受験する人が多いようです。

教育プログラムを受けているだけに、合格率は7割程度です。

G検定の合格率・合格者数からみる難易度

G検定が始まってから現在に至るまでの合格者数と合格率は公表されています。

2024年11月8日(金)・9日(土)に実施された2024年第6回G検定の合格率は73.39%

これまでのG検定で一番合格率の高かったのは2024年第5回試験の75.03%です。

開催年と回 合格者数 合格率

2024年

第6回 5,027人 73.39%
第5回 3,689人 75.03%
第4回 3,080人 74.40%
第3回 2,236人 73.46%
第2回 3,760人 68.03%
第1回 2,398人 72.87%

2023年

第5回 3,662人 68.71%
第4回 2,390人 72.23%
第3回 3,106人 68.75%
第2回 2,075人 67.99%
第1回 4,705人 65.80%
2022年 第3回 4,964人 66.17%
第2回 3,917人 62.22%
第1回 4,198人 62.10%
2021年 第3回 4,769人 64.45%
第2回 4,582人 61.50%
第1回 3,866人 63.77%
2020年 第3回 4,318人 59.56%
第2回 8,656人 68.96%
第1回 4,198人 66.66%
2019年 第3回 4,652人 70.70%
第2回 3,672人 71.40%
第1回 2,500人 72.76%
2018年 第2回 1,740人 64.93%
第1回 1,136人 57.14%
2017年 第1回 823人 56.84%
参照:一般社団法人日本ディープラーニング協会

回によるばらつきはありますが、ここ数年の合格率はおおむね65%~75%台で推移しています。

この値は他の資格試験や検定などと比べても高い水準です。

一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)の公式HPでもG検定の難易度について、「比較的取り組みやすい検定」と記載しています。

G検定の合格率は?難易度はどれくらい?

2024年11月開催の第6回のG検定受験者数は6,850名、そのうち合格者数は5,027名で、合格率は73.39%です。
近年の合格率は65〜70%程度なので、難易度としては、比較的取り組みやすい検定となっております。

引用:一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA)

しかし、合格率のみで単純に難易度を判断してしまうのは非常に危険です。

実際のところG検定は難易度の低い検定ではありません。

G検定の合格者数(年代・職種・業種別)

2024年第6回試験の合格者について、もう少し詳しく見てみましょう。

職種別、業種別の合格者数は以下のような分布となっています

年代別合格者数

年代合格者数全体の割合
10代470.93%
20代1,82036.20%
30代1,43928.63%
40代1,05420.97%
50代58911.72%
60代701.39%
70代10.02%
不明70.14%
総計5,027100.00%

年代別で見ると20代が1,820人で約36%、30代が1,439人が約28%と比較的多く、

20~30代がボリュームゾーンとなっており、全体の約60%を占めています。

職種別合格者数

職種合格者数全体の割合
営業・販売60912.11%
企画・調査・マーケティング58811.70%
経営・社業全般811.61%
経営企画1112.21%
研究・開発81216.15%
情報システム・システム企画91718.24%
生産・製造2725.41%
総務・経理・人事2254.48%
学生3286.52%
その他1,01920.27%
未回答651.29%
総計5,027100.00%

職種としては、研究開発や情報システム・システム企画といった専門性の高い職種が多くなっています。

合わせて全体の約35%もの割合です。

業種別合格者数

業種合格者数全体の割合
コンピュータ及び周辺機器製造または販売業1392.77%
サービス業3196.35%
ソフトウェア業63312.59%
医療・福祉業390.78%
運輸・通信業981.95%
卸売・小売業、飲食店721.43%
官公庁、公益団体821.63%
教育(学校、研究機関)160.32%
金融・保険業、不動産業4989.91%
建設業691.37%
情報処理・提供サービス業96719.24%
製造業93018.50%
調査業、広告業58011.54%
電気・ガス・熱供給・水道業851.69%
農業、林業、漁業、鉱業60.12%
大学院生521.03%
大学生1743.46%
専門学校生671.33%
高等専門学校生50.10%
高校生20.04%
中学生10.02%
無職、その他971.93%
不明961.91%
総計5,027100.00%

業種別に見ると、最も多い情報処理・提供サービス業では967人が合格しており、全体の約19%です。

また、ソフトウェア業や情報処理関連業などのプログラミング等に関わる業界や、実務でデータ分析の活用機会が多い製造業や金融・不動産業での合格者数合計すると全体の約60%となり、大多数を占めていることがわかります。

以上より、普段からプログラミングやデータ分析の経験があり、基礎知識を持った受験者が多いことが読み取れます。

関連記事:G検定の申し込み方法・スケジュールガイド

G検定の難易度が高いと言われる理由3選

上記の通り、G検定の合格率は65%~75%台で推移しており低くはありません

ですが、以下の3つの理由から、試験の難易度は比較的高いといえます。

  • 理由①:現役エンジニア受験者が合格率を引き上げている
  • 理由②:出題範囲が広く、深い専門知識を問われる
  • 理由③:問題数が非常に多い

理由①:合格者の多くがエンジニアで合格率が引き上げている

上でも述べた通り、合格者の多くが研究開発や情報システム等の職に携わっており、合格者全体の約45%を占めています。

すでに知識や経験を持った人が多く試験に臨んでいるのですから、合格率が試験の難易度よりも高くなっていると予想されます。

理由②:出題範囲が広く、深い知識を問われる

G検定のシラバスを細かく見ていくと、学習項目の多さに気が付くでしょう。

G検定では主にディープラーニングに関する内容が問われますが、これは機械学習の中の一分野です

実際の試験では、他の機械学習技術との相違点や、前提となる数学や統計学、法令といった内容もカバーする必要があります。

例えば、G検定の試験範囲には「機械学習の具体的手法」「ディープラーニングの手法」が項目分けされています。

他にも、「ディープラーニングの 社会実装に向けて」の項ではAIプロジェクトの進め方や、データ収集に関連する法律、倫理などの知識が問われます。

参考:G検定の試験範囲(シラバス)と例題

専門用語も多いため、AI分野を始めて学ぶ方は理解に時間がかかるかもしれません。

理由③:問題数が非常に多い

G検定の試験時間は120分で、多肢選択式の知識問題が200問程度出題されます。

200問が出題されたとして、単純計算すると1問あたり36秒で回答しなければなりません。あまり深く考えている時間はありませんので、素早く回答できるように、内容をしっかりと頭に入れておく必要があります。

類似のデータサイエンス関連資格との難易度を比較

G検定と近しいデータサイエンス関連資格に、統計検定のDS分野や、AI実装検定などがあります

G検定を基準に、それぞれの資格の難易度を比較しました。

表の下に記載されているものほど難しい資格となっています。

資格名難易度
AI実装検定 B級易しい
統計検定 DS基礎易しい
G検定普通
AI実装検定 A級難しい
E資格難しい
AWS 機械学習専門認定資格難しい

AI実装検定B級や統計検定、DS基礎は、機械学習やデータサイエンスの入門資格です。

初学者がG検定を受験する前の知識習得に向いています。

E資格はG検定と同じJDLAが実施しており、G検定よりも上位に位置付けられているA資格です。

国内のAI関連資格としては認知度・難易度ともに最も高い部類となっているため、データサイエンス関連で仕事に活用するためには、この資格の取得が目標になります。

AWS認定 機械学習は、Amazonが提供するAmazon Web Service に関連する資格で、その名の通りAI開発やデータサイエンスに携わる人に向けた資格。

E資格と同程度のレベルの機械学習の基礎知識に加え、Amazonのクラウドコンピューティングサービスに関連する知識も問われるのが特徴です。

AI実装検定はこれらの資格の中ではやや耳馴染みが薄いかもしれません。

AI実装検定は2020年に始まった、新しいAI系の民間資格です。

B、A、S級の3資格があり、最も難易度の低いB級はAIの知識が全くない初心者向けの位置付けとなっています。

想定勉強時間も5時間と短いため、機械学習に触れてみたい方が気軽に挑戦することができます。

中間の難易度となるA級はG検定よりは範囲が広く、E資格の前提知識となるレベルです。

G検定取得後、E資格にステップアップする際の知識定着に向いています。

G検定の合格目安は正答率70%程度!155問以上の正解を目指そう

G検定では合格者数などのデータは公開されていますが、合格ライン、合格基準とされる得点は公開されていません。

ですが、受験者全体の平均得点率は公開されており、例えば2021年第2回のG検定の各分野につき以下のような得点率であることがわかっています。

  1. 人工知能に関する問題:78%
  2. 機械学習の具体的手法:65%
  3. ディープラーニングの概要:66%
  4. ディープラーニングの手法:62%
  5. ディープラーニングの社会実装に向けて: 67%
  6. 数理・統計:56%

各分野の出題割合までは公開されていませんが、平均では60~70%ほどの得点率となっており、合格ラインも70%ほどではないかと言われています。

各分野の出題割合は公開されていませんが、平均して60~70%ほどの得点率となること、この回の合格率が61.5%であることから、合格ラインは70%程度と予想されます。

G検定の勉強の始め方

まず前提として、日本ディープラーニング協会のWebサイトに掲載されている、G検定の「学習のシラバス」と「例題」を確認し、具体的な試験問題のイメージをしてください。

次に、自分はどれくらいの学習が必要なのかを推測してみてください。

そして、受験日から逆算して、具体的な学習計画を立て学習を進めてください。

勉強を始める際は、まず、出題のパターンに慣れておいた方がよいでしょう。

テキストを読む時は、「その内容を自分の言葉で他人に説明できるレベルまで」 、「理解した!」と実感できるまで繰り返し同じ章を読み直してください。

問題集を解く時は、同じ問題を繰り返し解きましょう。

短い試験時間で全問解けるよう、「自分の名前を答える」のと同じくらいすらすらと正しい選択肢を選べる習熟度を目指してください。

なお、人工知能など、データサイエンスの領域を初めて学ぶ初学者の方にとって、完全に独学で合格まで到達することにハードルを感じるかもしれません。

その場合は、G検定対策の講座を受講したほうが効率的です。

一度講義を受けてから参考書等で勉強を続けたほうが学力がぐんと上昇しますし、モチベーションも維持しやすくなります。

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G検定のテキストには、日本ディープラーニング協会よる公式テキストもありますが、内容が不十分です。

最新のシラバスに完全対応しており、図や事例を用いたわかりやすい解説となっていますので、初めてG検定の学習をする方も安心です。

模擬試験は、本試験と合わせた難易度で最新の出題傾向を反映、解説も充実しているので、余裕をもって合格できるだけの実力が身につきます。

なお、G検定に特化した本ではないものの、G検定に有用な読み物として目を通しておいたほうがいいものもあります。

例えば、「人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの」は特に入門者でも読みやすくおすすめです。

時間に余裕がある場合は、興味をもった領域だけでも読んでみてください。

まとめ

本コラムでは、G検定について、試験の難易度と合格率について解説しました。

G検定がどんな試験なのかしっかりと把握して、受験に臨んでください。

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