データサイエンスとは?基本情報と統計学・情報工学との違いをわかりやすく説明します
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ここ数年、機械学習やビッグデータ解析など、「データサイエンス」についての注目が高まっています。
そんなデータサイエンスとは、どのような研究分野なのか。
データサイエンティストに求められるのはどんな役割で、なぜ注目されるようになったのか。
このページでは、データサイエンスに興味がある方、はじめて学ぶ方に向けて、データサイエンスとは何かを詳しく説明します。
データサイエンティストを目指している方はぜひご覧ください。
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データサイエンスとは?
データサイエンスとは、統計学に情報工学などの手法を組み合わせて、大規模なデータセットから問題解決に必要な知見を引き出す研究分野です。
歴史的には統計学の一分野として扱われていましたが、コンピューターの発展に伴い、プログラミングによる大量のデータの前処理が可能になったために独立した位置付けとなったのがデータサイエンスです。
従来の統計学では取り扱えなかった膨大なデータの解析や、画像などの定性的なデータを対象とすることができる点が特徴です。
データサイエンスについて学ぶ上では、統計学とプログラミングの知識が欠かせません。
データサイエンティストがデータから課題解決の洞察を得るためには、仮説を構築した上で、データを収集し、必要なアルゴリズムや予測モデルの検証や実装をおこなった上で分析を行う必要があります。
いずれも中心となるデータの解析には統計学の知識が、解析に必要なデータの前処理やモデルの実装にはプログラミングのスキルが必要となってくるのです。
また、得られたデータをわかりやすく図表にまとめるためにはデータビジュアライゼーションについての知識も重要です。
このように、データサイエンスは幅広い分野が複合した学問だといえるでしょう。
データサイエンスと統計学との違い
データサイエンスは、依然統計学の応用分野の一つとして扱われることもありますが、その違いは大きく分けて2つあります。
1つめが、データエンジニアリングです。
統計学に対し、データサイエンスを特徴づけるのはプログラミングに代表されるデータエンジニアリング技術です。
プログラミングによるデータ処理を行うことによって、従来の統計学よりさらに膨大で複雑なデータが解析できるようになりました。
2つめが、定性的データの取り扱いです。
従来の統計学では、数字に変換可能な定量的なデータ(金額や年齢、性別など)の取り扱いに重点を置いており、数字で測れない定性的データ(画像や文章など)の解析は困難でした。
一方データサイエンスは、プログラミングによって定性的なデータも構造化し、形式を統一することができるため、定量的データのみならず定性的データも分析することが可能になりました。
データサイエンスと情報工学と統計学との違い
情報工学は、主にコンピューターサイエンスに注目した学問です。
コンピュータがどのように作られ、どのように動いているのか、ハードウェア・ソフトウェアについて数学や物理の観点から研究します。
特にソフトウェアに注目すると、プログラミングや数学などの情報処理に関する幅広い分野を取り扱うのが情報工学です。
データサイエンスと情報工学、統計学の違いは、以下の図のような形で表せるでしょう。
データサイエンスは、情報工学と統計学の両分野にまたがる学問と言えます。
そのほかにも、データの可視化などの複数の分野を含む、総合的な学問分野です。
データサイエンスの身近な活用例
データサイエンスは身近な様々な分野に応用されています。
例えば、以下のような事例が挙げられます。
- 会員の閲覧履歴や購買パターンを分析し、売上向上につながるキャンペーンを実施する
- 機器の稼働率や気象条件などからトラブルを予測し、設備の稼働ロスを防ぐ
- 気候や土壌条件などから作物の生育を予測し、農作業を最適化してコスト削減する
- 位置情報から通勤経路・交通状況を分析し、災害時の対応を検討する
- 検査画像データを解析し、医師(人間)が診断できなかった病気を発見する
そのほかにもビッグデータを活用した事例は年々増えています。
データサイエンスは、大きなデータの中に埋もれていた情報を見つけ出し、問題を解決する方法を考案するための重要な手法です。
データサイエンスに必要なスキル・知識
データサイエンスには、大きく分けて3つのスキルが求められます。
①統計学
統計学は、データサイエンスで最も重要なスキルといえるでしょう。
データに対する考察を得るには統計処理手法の知識が欠かせません。
また、統計学は進歩が著しい学問でもあるため、最新の手法を常にキャッチアップすることが求められます。
②情報工学
データサイエンスで膨大なデータを取り扱うには、プログラミングによる高速な処理や加工・解析に必要なアルゴリズムの作成が必要です。
また、膨大なデータを格納するためのデータベースについての理解も求められます。
③データビジュアライゼーション(データ視覚化)
解析のみでなく、データを図表などの形で可視化し、伝える能力は非常に重要です。
優れたデータや高い統計技術があっても、見た目がわかりにくいままであれば、どんな発見や提案も納得してもらうことはできません。
また、データから有用な情報を抽出するためには解析を始める前の仮説設定が必須です。
すなわち、これらの領域のスキル・知識以外にも、解析する対象についての周辺知識も求められます。
データサイエンスは、従来の研究分野の総合力と実践力が試される
このように、データサイエンスは多くの研究分野の集合体として成り立っています。
上記で挙げた統計学、情報工学、データビジュアライゼーションも、さらに細かく分けると数学や社会科学、プログラミング、物理学、デザインなどの幅広い分野にまたがっています。
加えて、解析する対象についての知識も必要になる点もポイントです。
幅広い分野の専門知識が要求されることから、従来の研究分野の総合力と実践力が試される学問といえるでしょう。
しかし、必ずしも一人のデータサイエンティストが全ての分野に精通する必要はありません。
データサイエンスの分野では、異なるプロファイルや専門性を持つ人たちでチームを作り、チームとして様々な問題解決にあたることが重要と言われています。
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データサイエンスに注目が集まる2つの理由
近年、データサイエンスに注目が集まっている大きな要因は2つあります。
1.ビッグデータが蓄積されやすくなった
一番根本になる要因は、インターネットやIoTデバイスが普及したことで、膨大な量のデータを蓄積することができるようになった点です。
購買データや交通、アクセス履歴など、現代では社会全体のいたるところにデータが溢れており、その種類や頻度は多岐に渡っています。
そして、それらのデータを取り扱う情報技術の向上や、ストレージやデータベースの運用コスト低下により、蓄積されるデータは定量的・定性的かを問わず爆発的に増加しました。
2.これまで解析できなかったデータに価値が見出された
従来の情報技術では、数字として扱える定量的データ以外を取り扱うのは困難でした。
すなわち、社会にあったデータのうち、活用できていたのはごく一部に限られていたのです。
ですが、近年の情報工学の発展により、これまで対応できていなかっデータをデータサイエンスの中で扱えるようになりました。
これらのデータを分析をすることで、従来の情報活用では得られなかった発見を見出し、大きな利益を生み出せるのではと期待されています。
データを活用できる領域はますます拡大しており、マーケティングや研究開発にとどまらず、データ分析の結果を基に会社の方針を定める「データドリブン経営」なども注目されています。
データサイエンスに求められる役割
データサイエンスが活躍する領域は非常に多岐にわたっており、小売・広告・製造・物流・エネルギー・医療・金融・教育・エンターテインメントなど、あらゆる分野にまたがっています。
ですが、分野を問わず求められる役割はいずれも共通しています。
それは、「適切な分析設計」による「事業利益への貢献」です。
データが多いということは、解析の仕方によって得られる情報もそれだけ膨大になります。
中には、分析の設計を誤ったことにより、誤った解釈をしてしまう場合も多々あります。
例えば、広告による売上向上効果を分析している場面を考えてみましょう。
この場合、単に広告を見た人数と購入者割合という情報の分析では意味がありません。正しく「広告の効果」を評価したい場合、少なくとも広告を見た/見ないグループ間での比較が必要になります。
これは極端な例ですが、実際の場面では、より複雑な条件の中から適切な分析設計をしなくてはなりません。
なんのために分析するのか、そのために何を比較するのか、といった方針を正しく立て、データを解析することがデータサイエンティストにことが求められることです。
また、「目的と手段を混同しない」ことはデータ分析において重要です。
単にデータを収集・分析するのではなく、データを活用して利益につながる知見を見出し、ビジネスの拡大という最終目的に貢献することがデータサイエンスの一番重要な役割と言えるでしょう。
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薬学系大学院の修士課程を主席卒業後、大手製薬企業で有機合成・データサイエンス関連業務に従事(専門は生物有機化学)。
現在は研究の傍ら、ライターとして記事の執筆・イラストの制作を行っている。
主な執筆分野はサイエンス(医療、生化学、情報科学)をはじめ、ガジェット、資格など。
保有資格
2018年 危険物取扱者甲種
2021年 データサイエンス数学ストラテジスト(上級)
2021年 応用情報技術者