2021年11月16日に行われた今年最後のG検定、昨日やっと合格発表がされましたね。皆さん、結果はどうにあれ、お疲れ様でした!

今回もG検定試験の結果を分析し、皆さんと共有したいと思います。これからG検定の受験を検討される方に役に立てられたら嬉しいです。例えば、この分野苦手な方が比較的多そうので、学習計画を建てる段階で、そこに多めに時間をかけて行こう、ですとか。

前回、2021年第2回(2021#2と略記)のG検定試験の後に、このような振り返りをしました。↓ こちらからです

前回のG検定振り返り投稿でも書いたように、2021年4月にディープラーニング 協会(JDLA)がシラバスを改定した後に、2021#2と今回の2021#3は最初の2つの試験です。シラバスで強化されているところは新鮮に試験に反映されています。

そして、前回(2021#2)から、それまでは合否のみ情報を得られたのに対し、今度は「出題分野ごとの得点率」も受験者に知らせられるようになりました。この情報を知れば、自分の弱点やこれからもっと勉強しなければいけない点を把握できて、知識を増やすモチベーションになりますね!

ちなみに、「G検定とは何か」をまだきちんと理解されていない方がいましたら、ここで一言でいうと、G検定(公式名:ジェネラリスト検定)は、一般社団法人日本ディープラーニング協会(JDLA; Japan Deep Learning Association;) が実施している資格試験です。その目的は、人工知能(AI)やデータサイエンスをビジネスに活用できる基礎知識を有しているかどうかを認定することです。

もっと詳しい説明は、公式サイト、及び以下の記事に目を通してください!

JDLA公式: https://www.jdla.org/business/certificate/
https://www.agaroot.jp/datascience/column/deep-learning-for-general/

https://www.sbbit.jp/article/cont1/67994

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2021#3のG検定試験、出題傾向は以前とどう変わった?

大まかな感触は、試験直後のまとめたこちらをお読みになってください!!

もちろん講師も日頃、講座の制作や執筆業務を行っているので、新しいシラバスの特徴を正確に把握するために受験しています。

前回の試験(2021#2)はシラバス改定直後というのもあって、結構変化がありました。

一方で、今回(2021#3)は前回とは傾向が大きく変わらないと感じました。つまりJDLA様の出題意図が前回とほぼ同じですね。「こんな用語聞いたことが一度もない!」のような問題が多少あったように感じた方もいたかもしれませんが、個人的には、最近の試験に関しては、斬新・奇抜な用語や「こんなのは知らなくてもいいじゃないか」のような話題が少なくなっています。

今回も「実務で使える知識を確認したい」などの協会側の人材育成における「姿勢」を十分に窺えて、改めて、良問の多い有意義な試験だと再認識できました。

また、いっそう、「ディープラーニングの社会実装」やそのための「法律・倫理のガイドライン」に力を入れています。

最先端の技術も出るが、データの扱い方や機械学習やニューラルネットワークの基礎もそれなりに出題され良いですね。時間と共に変わらない堅実な知識を定着することが技術開発に不可欠な土台で大切にすべきと思います。個人的に試験のPart2とPart3にもっと重みを置いてもいいのでは、とも思っています。

得点率の公開に変化

2021#2回目の試験から、合否の情報のみならず、初めて、「出題分野ごとの得点率」も受験者に知らせるようになりました。

G検定受験後に、下図のような結果がメールで送られてきます(受験後2週間程度)。試験の出題分野はこのように区切られています。

情報提供に同意した受講者(匿名)です。この方の結果は以下の分析には含まれていません。

まず前回の結果(受験2回目)

つぎに今回の結果(受験3回目)

2021#3では、カテゴリがもう1つ増えました!

元々「ディープラーニングの社会実装に向けて」1つだったのが、今度はそこから「法律・倫理・社会問題」だけ取り出されて、今は、Part5「ディープラーニングの社会実装に向けて」と Part7 「法律・倫理・社会問題」 がありますね。

受験者にはやや混乱の要素になる可能性もなくはないけれど、確かに「データの扱い方」や「分析プロジェクトの進め方」やハードな「法規制」の内容とは切り離す気持ちがわからなくもないです。

皆さんの得点率の分布はどんな感じ?

さて今回も、合格発表日の翌日から、出題分野ごとの特徴とSNSから見た受験者の感触(主に合格通知情報の様子)を分析してみました。

以下でお見せするTwitterの分析は、分野ごとの得点率に関与する内容を提供してくれた方の情報を可視化したものです。

「受験者の方々はどういう試験問題を特に難しく感じているのか」の感覚を知りたいですよね …

収集したデータの該当期間は、11/19に合格発表が開始してからから翌朝の8:00ころまでです。そのデータの中からさらに、「分野ごとの得点率に関与する内容」を提供してくれた投稿のみ抽出し、可視化してみました。

以下で見せる分布は、合計63名の得点率を表したものです。意図的にしたわけではないけれど、データを収集して分析したら前回と同じ数63になりました笑

【注意】

  • グラフの横軸は「得点」ではなく「得点率」
  • 63名は十分なデータとはいえないし、当然(結果が悪く公表しない方など)バイアスがあり、よって、この分析結果は受験者全体の様子を正しく反映しているとは言えない。とはいえ、出題分野間の難易度のラフな相対評価にはなると思う
  • グラフの横軸の細かさはその分野の出題数を反映

【分析結果・簡単な考察】

分野1・分野2

人工知能の定義や歴史などの純粋な暗記を中心とする分野1と機械学習の基礎理解や個別のアルゴリズムを 問う分野2に関しては、「しっかり学習すれば点数を取りやすい」分野だけあって、比較的高得点に偏っている分布となっており、この分布は前回のと似ていますね。

1つのデータだけ、得点率が計算に合わないものがありました。謎ですが、いったん気にしないようにしましょう。

ディープラーニングの仕組みやもっとも有名な応用技術が問われる分野3とディープラーニングの最新の研究分野が問われる分野4は、70-80%台が多く見られ、分野1,2に比べて難易度が高く感じられたのでしょう。

これらの分野で問われる内容は、難しい概念を正しく、ある程度深く理解してあることを要求している論理的なものが多いです。

また、分野4は横軸の某の数からでもわかるように、問内容が多いです。

これらも前回の試験と大きく分布が変わっていなさそうけれど、分野4だけはもうすしだけ高い方にシフトしている気がしなくもないです。

分野5と分野7は、比較的馴染みの薄い、実務プロジェクトの進め方や法律関連のことなど、相変わらずこれらは難しいと仰っている方が多いようですね。分布は中心にピークを持つ形をとっています。試験勉強の段階からこの分野に苦手意識を持つ方も多いと聞いております。それでも、講座や参考書で特に力を入れて対策し、可能の限りこの苦手分野を克服することで、満点をとることは難しくても、合否が危うくなるほどの低い点数を免れます

分野5と7を合わせると相当の設問数になっており、「いかに社会に悪い影響を与えずに、技術をビジネスに正しく応用できるか」に注目した出題を増やすと言うアプローチは、データ利活用人材を育成する上でとてもいいことですね。

分野6(数学・統計学)は出題数が少なく、分布ほどのものは得られていませんが、満点の方も比較的多く、全然問題なくできる方と、元から数学・統計学に苦手意識をもっている方に分かれている気がします。前回の分布よりも両極端です。

いかがでしたか?

あくまでもTwitterという限られたプラットフォーム上のさらに限られた一部の声から分析したものなので、英語で言うと “take it with a grain of salt”. ☺︎

次回のブログ記事では、2021#3の試験で出題された、斬新な用語を少しずつ解説しようと思います。

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この記事の著者 ヤン ジャクリン

ヤン ジャクリン

2015年 東京大学大学院 理学系研究科物理学専攻 修了(理学博士)
2015年 高エネルギー加速器研究機構 素粒子原子核研究所(博士研究員)
2017年 株式会社GRI(現職) 講師 兼 分析官
2019年 Tableau Desktop Certified Associate 資格取得

・英検1級
・TOEFL IBT試験満点

北京生まれ、米国東海岸出身(米国籍)、小学高学年より茨城県育ち。

万物の質量の源となるヒッグス粒子の性質を解明し、加速器実験による新粒子発見に関する研究を行い、国際・国内学会発表20件以上、査読論文5件以上。
10年以上に渡り、幅広い年齢層の学習指導を学習塾や大学などで実施(5科目、英会話、受験指導、素粒子物理など)。
現在は、株式会社GRIにて、データ分析官(データ前処理、可視化分析、マーケティング施策の分析 他)
公開講座および法人研修を多数開設。

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