企業の法務部では法律系の資格を有していなくとも、働くことができます

しかし、資格があれば就職を有利に進められるケースがあります。

今回のコラムでは、資格なしでも法務部で働ける理由をお伝えした上で、法務部におすすめの資格をご紹介します。

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資格なしでも法務部で働ける

法務部では、資格の有無よりも基本的に「実務経験」が重視される傾向にあります。
ですので資格がなくとも働くことは可能です。

法務部で働く場合「企業法務」を担当します。

企業法務とは、企業活動を行う際に関わる、すべての法律事務のこと。
民法や会社法、労働法、独占禁止法など、幅広い法律分野の知識を活かし、企業活動における法的トラブルに対応したり、未然に防止したりする役割を果たしています。

さらに近年では、法律的な視点から経営者をサポートする「戦略法務」としての側面も、企業法務にはあります。

法務部は専門性の高い部署であるため、「資格が無ければ働けないのだろうか」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。

しかし、心配は不要です。
実際に有資格者の割合は少なく、多くの法務部員は無資格で働いています。

資格が全く意味がないというわけではありませんが、資格がなくとも法務部に就職することは可能です。

法務部へ就職するのにおすすめの6つの資格

ここからは、法務部に就職するのにおすすめの資格を紹介します。

  • 弁護士
  • 司法書士
  • 弁理士
  • 行政書士
  • 知的財産管理技能士
  • ビジネス実務法務検定

資格がなくとも法務部で働けるといっても、資格があれば当然、評価は高くなるのはいうまでもありません。

資格は知識があることを証明するものだからです。

弁護士

弁護士は企業法務と非常に相性がいい資格です。

弁護士になるには、司法試験に合格し、その後1年間の司法修習を終え、司法修習生考試(いわゆる二回試験)に合格する必要があります。

企業活動にかかわる法律は毎年のように改正がありますし、近年では、コンプライアンスの実現も企業には求められているため、弁護士を雇用する企業は増加しています。

日本弁護士連合会の「弁護士白書2021年版」によると、2011年から2021年の間で、日本企業の企業内弁護士は「約5倍」に増えていることが分かっているのです。

弁護士資格があると、司法書士や行政書士、弁理士等が担当する業務も担当できます。

汎用性の高い弁護士資格は、法務部の就職に大きな強みとなるでしょう。

このように、弁護士の需要は増えているのですが、法務部においては弁護士だけではまかないきれないのが実情です。

現に、法務部門に「弁護士がいる」と回答した企業は、2015年辞典で12.50%に過ぎません。
経済産業省 日本企業の法務部門の実態②より)

これはつまり、無資格者や他の法律系資格保有者にも、法務部で働けるチャンスが十分あると言えるでしょう。

※関連コラム:【2023最新】司法試験の難易度・合格率をアガルート講師がお答えします

司法書士

司法書士は企業法務との相性がよく、一定の評価をされる資格です。

一般的に法務部があるのは、いわゆる「大企業」です。

そこでは「弁護士」が優先される傾向にあります。
そして、それらの弁護士は「紛争」を前提として、法務部で勤務しています。

しかし、日本の99%は「中小企業」です。
中小企業の大半は自社で弁護士を抱えるほど、頻繁に紛争トラブルは発生しません。

つまり、弁護士を雇用する労力やコストを考慮すると、弁護士を雇うメリットはそこまで大きくないわけです。

中小企業が企業法務に求めるのは、実際に発生した紛争トラブルの対処ではなく、「未然に法的トラブルを防止すること」。

紛争性のない法務事務手続きを担当するのに、一定の法律知識を有する「司法書士資格」は、就職の際に有利になるでしょう。

司法書士になるには、国家試験である「司法書士試験」に合格する必要があります。
司法書士試験は「筆記試験」と「口述試験」の2つに分けられ、筆記試験に合格した人が口述試験に進む流れとなります。

※関連コラム:司法書士の難易度とは?合格率・偏差値・試験内容を他資格と比べてわかる司法書士試験の難しさ

弁理士

「知的財産の専門家」である弁理士は、企業法務との相性がよく、一定の評価を受けます

特許や実用新案・著作権などを特許庁に出願して登録するのが、弁理士の主な業務です。

「知財戦略」に力を注ぐ企業が拡大している背景から、弁理士資格があれば、法務部の就職は有利になります。

また、弁理士の業務は国内案件だけにとどまらず、海外案件にも広がりをみせています

実際に、日本国特許庁を受理官庁とした特許協力条約に基づく国際出願(PCT国際出願)の件数は、2011年から2019年まで増加傾向にあります。

国際化が進み、国外での知財戦略を重視する企業が増えています。

企業法務において知財の知識を有する「弁理士」のニーズは、今後さらに高まるでしょう。

弁理士になるためには、年1回開催される「弁理士試験」に合格する必要があります。

弁理士試験は「短答式」と「論文式」、「口述試験」の3つに分かれ、短答式に合格した者が論文式に進み、論文式に合格した者のみが口述試験を受験する流れです。

受験資格に制限はなく、学歴や年齢を問わず、どなたでも受験可能。弁理士試験に合格し、実務修習を修了すれば、弁理士となる資格が付与されます。

※関連コラム:弁理士の難易度や合格率を紹介!8士業の難易度ランキングも掲載!

行政書士

行政書士は官公庁へ提出する書類の作成や、許認可申請の代理業務、法律相談業務を行うことができる国家資格です。

企業活動の大半は「契約」によって進みますが、そこで重要となるのが「契約書」です。
契約書には取引のルールが記載されているため、作成時のミスは許されません。

企業法務では、契約書作成業務がメインの仕事となります。

書類作成に関して高い専門性を持つ「行政書士資格」は、企業法務において役立つでしょう。

行政書士になるには、「行政書士試験」に合格する必要があります。試験は年に1度実施され、学歴や年齢・国籍等にかかわらず、誰でも挑戦可能です。

行政書士は法律系の資格として一定の評価は得られるものの、上述した3資格より評価がされにくい点には注意が必要です。

※関連コラム:行政書士の難易度とは?合格率・他資格比較・偏差値で例えるとわかる行政書士試験の難しさ

知的財産管理技能士

知的財産管理技能士は企業における著作権・商標・特許などの知的財産の管理や活用をするスペシャリストです。
2008年より国家資格となった比較的新しい資格です。

仕事内容は弁理士に近く、法務部と比較的相性のいい資格となります。

知的財産管理技能士になるためには「知的財産管理技能検定」に合格しなければなりません。

試験は難易度の高い順から1〜3級まであり、法務部で評価されるためには「2級以上」の取得がおすすめです。

なお、何級から受検しても問題ありませんが、1級および2級を受験する場合、知的財産に関する実務経験が必要となるので、注意が必要です。

実務経験がない方は、3級から順番にステップアップしていきましょう。

※関連コラム:知的財産管理技能検定とは?受験資格・科目・合格率・難易度・合格基準等を解説

ビジネス実務法務検定

ビジネス実務法務検定は、東京商工会議所が主催している検定試験です。

ビジネスに不可欠なコンプライアンス能力や法令遵守能力など、あらゆる職種に通じる法律知識を体系的に習得できる資格となります。

コンプライアンスに違反した企業は刑事責任を問われる可能性があり、そうなると社会的評判は大きく低下します。

いったん企業イメージが下がると、回復するのは簡単なことではありません。
コンプライアンスの遵守は、企業が社会的な信頼を得るために欠かせないのです。

このようなコンプライアンス能力のベースとなる、実務的な法律知識を習得できる「ビジネス実務法務検定」は、法務部と比較的相性の良い資格の1つとなります。

ビジネス実務法務検定は1〜3級に分かれており、2級と3級は年に2回、1級は年に1回実施されています。

受験資格に制限はなく、誰でも受験可能です。

まとめ

法務部は資格がなくとも就職できますが、資格が無意味なわけではありません

むしろ、資格がある方が就職を有利に進められますし、仕事もスムーズにこなせるでしょう。

就職活動や就業後の仕事を円滑に進めるためにも、資格の取得を検討してみてはいかがでしょうか。

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