土地家屋調査士の資格を目指している人にとって、将来性は非常に気になるところではないでしょうか。

結論から言うと、土地家屋調査士は将来性のある資格です。

このコラムでは、土地家屋調査士の資格の将来性やリアルな現状、長く活躍し続けるためのポイントを解説します。

土地家屋調査士の資格の魅力を再確認できることでしょう。

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土地家屋調査士の超リアルな現状とは?

全国に16,000人以上いる土地家屋調査士ですが、「かなり稼げる」といった評判と同時に、「やめとけ」「仕事がない」といった口コミもよく見かけます。

実際のところはどうなのか、土地家屋調査士の超リアルな現状を仕事内容・年収・試験の難易度等を通して見ていきましょう。

土地家屋調査士の仕事内容

土地家屋調査士は、調査や測量・登記申請手続きの代理が主な仕事となります。

一連の流れを簡単に説明すると以下の通りです。

  1. 現場調査として、登記記録の情報と現地の共通点や差異などを確認
  2. 登記する図面に必要な数値を測量し、境界の確認のための精密測量を行い境界を確定。
  3. 申請書や添付書類などの書類を作成
  4. 登記申請の準備が整い次第、管轄の法務局へ提出
  5. 完了した登記書類を依頼者へお渡し

土地家屋調査士はやめとけと言われる理由は?

土地家屋調査士は屋外で対応することも多く、暑い夏や寒い冬も外で作業しなければなりません。

また個人の依頼が多い場合は平日の夜や土日の立会いを希望されることもありますし、繁忙期は早朝から深夜まで勤務しなければならないことも。

オフィスワークだけやりたい、土日はしっかり休みたいといった方には、土地家屋調査士は向きません。

土地家屋調査士の平均年収

土地家屋調査士の平均年収は600万円前後と言われています。

年令別の年収の目安は以下の通りです。

年代年収
20代500万円前後
30代600万円前後
40代700万円前後
50代850万円前後

エリアとしては東京や大阪など人口が多い都市では年収が高い傾向にあります。

これは人口が多いほど不動産の取引件数が増えるため、仕事も多くなることが要因です。

また独立開業する場合は1000万以上の年収を得ている人も少なくありません。

土地家屋調査士試験の合格率・難易度

土地家屋調査士試験の合格率は、例年9~10%となります。

令和5年の土地家屋調査士試験の合格率は9.66%、受験者数は4,429人、合格者数は428人でした。

計算や作図が必要なこと、法律初学者には民法が難しいと感じる人が多いことから、土地家屋調査士試験の難易度は高いと言われています。

土地家屋調査士は年収が高く将来性や需要のある魅力的な仕事ですが、その分試験は難しく、なれる人は一握りの人のみと言えるでしょう。

土地家屋調査士に将来性や需要がある理由

土地家屋調査士は将来性があると言える主な理由としては、以下の4つが挙げられます。

  • 独占業務があるため、仕事が無くなることはない
  • AIで代替できない仕事である
  • 相続をきっかけにした分筆や売却が今後増加する
  • 世代交代が近づいている

それぞれの理由について詳しく見ていきます。

①独占業務があるため、仕事が無くなることはない

不動産の登記には「大きさや形状」といった「表示に関する登記」と「権利に関する登記」があります。

「権利に関する登記」の部分は司法書士の業務範囲ですが、その他に弁護士でも可能となっています。
一方で、「表示に関する登記」は土地家屋調査士にしか出来ない独占業務です。

土地や建物の大きさや形状を正確に調査するには高度な技術が必要であり、他の職種では代行が出来ないため、将来性が高いといえます。

不動産は大きさや形状が大切で、「表示に関する登記」はその多くが法律で義務付けられています。

今の不動産に関する法体系が続く限り仕事が無くなることはなく、土地家屋調査士の需要が減ることはありません。

②AIで代替できない仕事である

技術がいかに進んだとしても、AIで置き換えることが出来ない仕事はたくさんあります。

不動産の調査や測量にもテクノロジーは武器にはなるでしょうが、完全な代替は不可能です。

例えば、不動産の調査にはドローンなどの最新のアイテムが活用出来ますが、それから判断するのは「人の目」でしか出来ません。

つまり、人が入らなければならないのです。

そして、土地家屋調査士の業務の中で重要なものの一つに「境界立会い」があります。

この業務は、技術がいかに進歩してもAIでの代替は不可能で、やはり人を介さなければなりません。

この先もAIに代替できないという点においても、将来性があると言えます。

③相続をきっかけにした分筆や売却が今後増加する

世代が変われば相続が発生しますが、高齢化が進む昨今、その動きはますます増えて行くことでしょう。

特に2022年以降、団塊の世代が後期高齢者となり始めることから、今後多くの相続が発生し、それをきっかけに分筆や売却が増えることが予想されます。

そして、その手続きには土地家屋調査士が不可欠なので、土地家屋調査士の仕事は増加することが予測されるのです。

④世代交代が近づいている

土地家屋調査士の年代構成

出典:土地家屋調査士白書2022

土地家屋調査士業界においては、世代交代が徐々に始まっています。

土地家屋調査士は独立開業できる士業であるため、一般の会社員のような定年退職制度はありません。

元気であればいつまででも仕事を続けられるわけです。

しかし一方で、土地家屋調査士の業務は体力勝負の側面が多くあります。

やはり高齢になるほど、継続することは厳しくなってくるでしょう。

「日本土地家屋調査士会連合会」によると、土地家屋調査士で一番多い年齢層は60代で、全体の24.2%です。

そして70代は22.5%、80代以上も4.5%となっています(令和3年4月1日時点)。

つまり、60代以上が半数を占めているのです。

こうした方たちが、今後徐々に引退していくことは想像に難くありません。

仕事そのものはなくならないわけですから、新規に参入した人たちにも多くのチャンスがあるわけです。

長く活躍する土地家屋調査士でいるために大事なポイント

次に、土地家屋調査士として長く活躍するためのポイントを挙げてみましょう。

①最新の測量に関する知識・技術を仕入れていく

技術の進歩とともに測量のやり方も変わりつつあります。

テクノロジーは不動産の世界にも大きな革新をもたらしました。

特に最近、ドローン測量が登場したことで、広範囲の土地の測量が早く正確に行えるようになりました。

最新の技術は測量の質をも変えていきます。

土地家屋調査士として長く活躍するためにも、最新の測量について知見を得て、その技術を学ぶことが大切です。

②地域の特性に精通する

土地家屋調査士が行う測量においては、行政が所有する道路との境が重要になります。

しかも、その道路の扱いは行政によって様々です。

備え付けられている書類も違いますし、確定するまでの手順も違います。

また、その地域に特有の歴史などから、特別な配慮が必要であったりもします。

よって、対象地の特性に精通することが大切となります。

③筆界特定やADRなど、新しい制度に対応できるようにしていく

土地の境界や判定に関して、筆界特定やADRなどの新しい制度が始まっています。(筆界特定はH17年から、ADRはH18年から新たに始まった制度)

先に述べた相続に伴う分筆や売却にあたり、境界紛争が多く発生することも予見されます。

よって、これらの制度に対応できる能力・資格を身に付けておくことで、ますます活躍の場が広がると考えられます。

④土地家屋調査士の業務に関連する資格の取得

土地家屋調査士の隣接資格として、「司法書士」や「測量士」等が挙げられます。

これらの資格を取得すると、業務上多くのメリットがあります。

例えば、司法書士の資格があれば、不動産登記の全てを取り扱うことができます。

表示に関する登記だけでなく、権利に関する登記までワンストップで提供できるので、業務の幅が圧倒的に広がります。

また、測量士の資格を取れば、測量に関する詳細な知見を得ることができるため、業務の質を向上させることができます。

また、測量業の登録をすれば、公共測量に従事することもできます。

関連資格も併せて取得することにより、事業の可能性は大きくなりますので、ぜひ検討されてみてはいかがでしょうか。

土地家屋調査士と相性のいい資格や、独立開業に関しては、下記の記事をご参照ください。

関連コラム:土地家屋調査士とのダブルライセンスにおすすめの6資格を紹介

関連コラム:独立した土地家屋調査士の年収は?開業の流れや成功するためのポイントも解説

まとめ

本コラムでは、土地家屋調査士の超リアルな現状と、今後の将来性や需要がある仕事なのかについて解説いたしました。

まとめると以下の通りです。

  • 土地家屋調査士は、一般の会社員よりも年収が高く将来性のある仕事
  • オフィスワークがしたい人、土日はしっかり休みたい人には向かない
  • 土地家屋調査士が将来性のある理由としては「独占業務がある」「AIで代替できない」「相続をきっかけにした分筆や売却が今後増加する」「世代交代が近づいている」の4つ
  • 土地家屋調査士として長く活躍するには「最新の知識・技術を仕入れる」「地域の特性に精通する」「新しい制度に対応する」「ダブルライセンスを取得する」等が挙げられる

土地家屋調査士は法的に見ても、高齢化などの社会情勢を見ても、将来性のある資格です。

確かに、将来も長く活躍するためには習得し続けなければいけないノウハウなども多いことでしょう。

しかし、先に挙げたポイントに気をつけていれば、遠い先を見越しても非常に有利な資格です。

しかも、仕事はますます増えることが予想されます。

土地家屋調査士は社会的にも非常に重要な仕事。

ぜひ資格を取得して、豊かな将来のために役立てましょう。

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