賃貸管理業務に特化した国家資格である、賃貸不動産経営管理士試験が今年も11月17日(日)に実施されます。

現在受験申込受付中ですが、受験しようか迷っている方も多いのではないでしょうか?

「賃貸不動産経営管理士ってどんな資格?」「宅建士と何が違うの?」「試験は今後難しくなるの?」など皆さんが気になる疑問を、試験実施団体である一般社団法人賃貸不動産経営管理士協議会事務局の結城 淳さんにインタビューしました!

賃貸不動産経営管理士とはどんな資格?

賃貸不動産経営管理士とは、賃貸不動産管理業務における専門的な知識とスキルを持ち、賃貸物件の管理や運営を円滑に行うための資格です。

入居者管理、クレーム処理、修繕管理など、賃貸住宅管理にまつわる様々な業務を一手に引き受ける専門家と言えるでしょう。

令和3年(2021年)6月に賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(以下、賃貸住宅管理業法)が施行され、賃貸住宅管理業者においては、業務管理者を1名以上配置することが義務化されました。

この業務管理者の要件に賃貸不動産経営管理士が定められたことで、この資格の重要性がさらに増し、賃貸不動産経営管理士資格保有者のニーズが高まっています。

賃貸不動産経営管理士試験とは?

賃貸不動産経営管理士試験は、賃貸住宅の管理に関する知識・技能・倫理観を持ち、適正な管理業務を行う事ができる専門家に必要とされる知識を問う試験です。

例年、11月に実施され、合格率は30%前後となっています。

令和6年(2024年)は、11月17日(日)の13時から15時の120分間で実施されます。

試験は全国38地域で行われ、受験料は12,000円で、8月1日から申し込みが始まりました。

WEBもしくは願書で申し込むことができ、願書は一般社団法人賃貸不動産経営管理士協議会のホームページで請求できます。大きな書店では願書を置いていることもあります。

試験問題には、管理受託契約に関すること、建物の維持保全に関すること、賃貸管理業法に関することなどが出題されます。

なお、「賃貸不動産経営管理士講習」(5問免除講習)という講習を受けると、試験範囲の5問が免除されます。

宅地建物取引士(以下、宅建士)でも、同様の5問免除講習がありますが、宅建士は実務経験がないと受講できないのに対し、賃貸不動産経営管理士の免除講習は誰でも受けられます。

この講習は試験範囲を体系的に学びたい方にも最適です。また、宅建士と異なり試験時間の短縮もありません。

この免除は2年間有効で、仮に今年不合格でも翌年再挑戦できます。

講習を受けることで、試験に対する余裕が生まれ、安心感が得られるでしょう。

参考:賃貸不動産経営管理士試験実施概況(過去10年間)

宅地建物取引との違いは?

賃貸不動産経営管理士と宅建士では、取り扱う業務が異なります。

宅建士は、不動産の売買や仲介業務における重要事項説明や賃貸借契約書の作成など、いわば入居の入り口部分の業務を行う資格です。

一方、賃貸不動産経営管理士は、入居後から退去までの業務を行う資格です。具体的には物件の管理、入居者管理、修繕対応、退去時の原状回復などですね。

宅建士と賃貸不動産経営管理士のダブルライセンスになれば、不動産業のスタートからゴールまで対応することができると言えるでしょう。

賃貸不動産経営管理士と宅建士では、賃貸借契約など試験範囲が重なる部分も多いです。

宅建士試験の勉強をされている方であれば、賃貸不動産経営管理士試験の勉強もスムーズに進むと思うので、ぜひダブル受験も検討してほしいですね。

賃貸不動産経営管理士試験は今後どうなる?

賃貸不動産経営管理士試験は、今後大きく難易度が変わることはないと思います。

まだ国家資格になって間もないので決められた合格率というのはないのですが、他の不動産系の国家資格の合格率を見ても、一定のラインがありますよね。

あのくらいの水準は目指さなければならないかと考えていますが、実際にどうなるかはわからないですね。

今は過渡期なので、受験するか悩んでいる方はぜひお早めに受験いただければと思います。

賃貸不動産経営管理士の将来性は

賃貸管理業は景気にあまり左右されない安定した業界なので、その専門職である賃貸不動産経営管理士も将来性は非常に高いと言えるでしょう。

賃貸管理業は単純な不動産の取引や契約締結行為ではなく、オーナーや入居者の要望にいかに応え、円滑な賃貸経営または安心な住環境を実現するか試行錯誤するコンサルティング業の側面もあるため、AIに取って代わられづらいと言われていて、長く活躍できる仕事でもあります。

少子高齢化に伴い、空き家問題や賃貸物件の高齢者対応など、様々な課題が浮上する中、賃貸不動産管理のプロフェッショナルの需要は増加しています。

今後、ますます多様化する賃貸ニーズに対応するため、賃貸不動産経営管理士の知識とスキルは不可欠になります。

近年、規制緩和の流れが続いているため、新たな独占業務が付与される可能性は少ないかもしれませんが、一方で賃貸物件の管理におけるトラブル防止や品質向上の観点から、賃貸不動産経営管理士の役割が強化される動きも期待されています。

特に、管理業務の専門性が重視される中で、賃貸不動産経営管理士にしかできない業務が増える可能性があります。

また、現在は賃貸不動産経営管理士資格を持たない宅建士でも指定講習を受けることで業務管理者の要件を満たすことができますが、この制度を見直そうとする動きもあります。

以上のことから、賃貸不動産経営管理士は今後ますます重要な資格になっていくのではないでしょうか。

<令和6年度賃貸不動産経営管理士試験>

試験日:令和6年11月17日(日)13:00 ~ 15:00(120分間)

受験申込期間:令和6年8月1日(木)~令和6年9月26日(木)

※願書請求は令和6年9月19日まで

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