賃貸不動産経営管理士・業務管理者の違いとなり方2つ!「移行講習」はもうない?
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賃貸不動産経営管理士の資格を取得すると、賃貸住宅管理業務を行う際に設置が義務付けられている「業務管理者」の要件を満たすことができます。
これから不動産系の勉強を始める方は、賃貸不動産経営管理士と業務管理者はどう違うのか?なり方は?など、理解が難しいこともあるでしょう。
このコラムでは、賃貸不動産経営管理士と業務管理者の違いやなり方、どんな人に向いているかなどについて、解説していきます。
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「賃貸不動産経営管理士」と「業務管理者」の違い
賃貸不動産経営管理士と業務管理者にはそれぞれどんな違いがあるのでしょうか。両者の役割から解説していきます。
賃貸不動産経営管理士とは
賃貸不動産経営管理士は、賃貸住宅管理が適切かつ健全に行われることを目的とした国家資格です。
賃貸不動産経営管理士は、「賃貸不動産経営管理士試験」に合格し、資格登録を行った後に名乗ることができます。賃貸不動産経営管理士であることは、業務管理者になるための要件のひとつです。
また、試験内容も実務に直結する内容なので、賃貸管理業等で働くにはとっておいて損はない資格です。
賃貸不動産経営管理士の資格登録を行うためには下記2ついずれかの要件を満たす必要があります。
①管理業務に関し2年以上の実務※の経験を有する者
②その実務の経験※を有する者と同等以上の能力を有する者
試験に合格しても実務経験がない人は資格登録が行えません。
※登録要件となる実務経験が無い方に関しては別途「賃貸住宅管理業務に関する実務講習」の修了をもって、実務経験者と同等の能力があると証明することができます。
業務管理者とは
業務管理者とは、事業規模が200戸以上の賃貸管理業者の営業所又は事務所ごとに1名以上配置しなければならない人員のことです。
業務管理者は特定の資格等の名称ではなく、あくまで賃貸管理業者内で任命される役割のようなものです。
その業務管理者となる為の要件は下記のとおりです。
①管理業務に関する2年以上の実務経験※+登録試験に合格した者
②管理業務に関する2年以上の実務経験※+宅建士+指定講習を修了した者
※①、②の2年以上の実務経験に関しては経験の無い人でも別途「賃貸住宅管理業務に関する実務講習」を受講する事で代用可能です。
①の「登録試験」は令和3年度以降の賃貸不動産経営管理士試験を指します。
令和3年度以降の試験に合格した人は、資格登録を行った時点で業務管理者となる事が出来ます(資格登録時に実務経験もしくは実務経験に代わる講習の受講が必須の為)。
また、宅建士の場合も指定講習を受けることで業務管理者となれる資格を得ます。
実務経験が無い場合は実務講習+指定講習の2つの講習の受講が必要になります。詳しくはこの後解説します。
「賃貸不動産経営管理士」と「業務管理者」の違いまとめ
賃貸不動産経営管理士は資格名であり、業務管理者は役割の名称です。
- 業務管理者は賃貸住宅管理業務等の適正化に関する法律の制定によって賃貸管理業者が必ず設置しなければいけない人員
- 賃貸不動産経営管理士はその業務管理者を満たす要件になる資格
業務管理者を置いていない営業所は営業が出来なくなる可能性がありますので、賃貸管理業者としては可能な限り業務管理者の要件を満たす人員を確保しておきたいという思惑があります。
ただし、業務管理者はあくまで従事している賃貸管理業者内での役割ですので、会社を辞めた場合や賃貸管理とは別の部署に異動した場合など、業務管理者から外れることもあるでしょう。
業務管理者になる方法2つ
業務管理者になるルートは、現時点では下記2つです。
- 賃貸不動産経営管理士ルート
- 宅地建物取引士ルート
それぞれ解説します。
1.賃貸不動産経営管理士ルート
宅建資格を持っておらず、賃貸経営管理士資格をこれから取得する人は、下記のように試験に合格し、登録まで行えば業務管理者の要件を満たすことができます。
①賃貸不動産経営管理士試験に合格する |
↓
②実務経験がない人は賃貸住宅管理業務に関する実務講習を受講する (実務経験がある人はスキップ) |
↓
③賃貸不動産経営管理士の資格登録を行う |
↓
④業務管理者の要件クリア |
②の賃貸住宅管理業務に関する実務講習は、オンラインで受講し、所要時間は約7時間程です。
2.宅地建物取引士ルート
宅建士でも業務管理者の要件を満たすことができます。ただし、宅建試験に合格しているだけではなく、登録を受け、有効な宅建士証を持つ現役の宅地建物取引士である必要があります。
この場合は、賃貸不動産経営管理士試験への合格は必要ありません。
①賃貸住宅管理業務に関する実務講習を受講する (実務経験がある人はスキップ) |
↓
②指定講習を受講する (受講はオンラインで行い、所要時間は10時間程度) |
↓
③業務管理者の要件クリア |
①の賃貸住宅管理業務に関する実務講習は、賃貸不動産経営管理士ルートと同じです。
宅建士ルートは、講習にかかる時間が多いです。指定講習を修了しても、賃貸不動産経営管理士資格を取得することにはなりません。
また、宅建士資格による業務管理者要件の代用は暫定処置としての可能性が高く、将来的には見直されるであろうと言われています。
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旧ルート(現在はなし)
賃貸不動産経営管理士は、令和2年度までの民間資格でした。
その頃に賃貸不動産経営管理士試験に合格している人は、下記のようなルートになっていました。
① 実務経験がない人は賃貸住宅管理業務に関する実務講習を受講する 仮に宅建士資格を持っていた場合は、実務講習の受講の必要なし |
↓
①民間資格賃貸不動産経営管理士の資格登録を行う |
↓
③業務管理者移行講習を受講する (受講はオンラインで行い、所要時間は約2時間程) |
↓
④業務管理者の要件クリア |
民間資格の賃貸不動産経営管理士としての登録を行った後に業務管理者移行講習を受講することで、業務管理者になれました。
移行講習とは
(業務管理者)移行講習とは令和2年度までに賃貸不動産経営管理士試験に合格・登録した人を対象に行われる講習です。
民間資格として賃貸不動産経営管理士を取得していても、移行期間内に移行講習を修了することで国家資格業務管理者としての賃貸不動産経営管理士を取得できるのです。
令和4年6月までにこれを修了していなければ、民間資格としての賃貸不動産経営管理士の効力は失われます。
賃貸不動産経営管理士はどんな人におすすめ?
賃貸不動産経営管理士は、これから賃貸管理業者へ就職しようとしている人、または未取得だが宅建業者、賃貸管理業者で働いている人におすすめの資格です。
理由は下記の通りになります。
これから賃貸管理業者へ就職しようとしている人
上述の通り、賃貸管理業者は各営業所に必ず業務管理者を1人以上配置する事が義務付けられています。
「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律 の解釈・運用の考え方」によれば、
賃貸住宅管理業に係る賃貸住宅の戸数、賃貸住宅管理業を遂行する従業員の数は営業所又は 事務所ごとに異なるため、賃貸住宅管理業者は、入居者の居住の安定の確保等の観点から、当該営業所又は事務所においてその従業員が行う管理業務等の質を担保するために必要な指導、 管理、及び監督をし得るだけの数の業務管理者を配置することが望ましい。
と、されており、業務管理者の要件を満たせる賃貸不動産経営管理士は、今後、社内に1人でも多く欲しい人材となる事が予想されますので、賃貸管理業者への就職の際に有利に働くことが予想されるからです。
未取得だが宅建業者、賃貸管理業者で働いている人
宅地建物取引業がメインで、賃貸管理はそこそこといった会社でも業務を行う為には業務管理者の配置が必須です。限られた人員の中で、業務管理者となれる要件を持つことは社内評価の上昇に繋がることが予想されます。
また、元々賃貸管理業務に従事する上で必要な資格というのは存在しませんでした。
しかし、新たに賃貸不動産経営管理士が国家資格化した事により、有資格者は賃貸管理業に関する国家資格保持者というブランディングを行う事が出来るようになりました。
賃貸経営に関するプロと名乗れるのは賃貸管理業に従事する上で、この上ないプラスになるでしょう。
賃貸不動産経営管理士は早めに取得しておくのがオススメ
貸不動産経営管理士は国家資格化しましたが、現時点で独占業務はありません。業務管理者の要件となることが重要となっています。だからこそ、早い段階で取得した方が良い資格ともいえます。国家資格化された以上、将来的には業務管理者要件の独占や、独占業務が追加されると考えられるからです。
そうなった場合は、現在よりも受験者数は増え、合格率も低くなることは容易に想像がつきます。
そもそも現段階で、賃貸不動産経営管理士試験の合格率は年々下がってきており、2023年度(令和5年)は27.9%でした。恐らく、今後は一層の難化が見込まれます。
将来的に価値が上がる可能性が非常に高い資格の為、本記事を読んで興味を持った方は難易度が上がりきらない内に早期取得を目指した方が良いでしょう。
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不動産会社への入社をきっかけに、不動産関連資格の学習を開始。
何事も諦めないをモットーに、不動産会社での実務やモデル業と学習を両立させ、マンション管理士試験、管理業務主任者試験、宅建試験、賃貸不動産経営管理士試験全てにストレートで合格。
学習の継続のしやすさに重きを置き、要点の分かりやすいコンパクトな講義、受講生目線に立った使いやすいテキストの制作に心血を注いでいる。
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