賃貸不動産経営管理士は、不動産に関する国家資格のひとつ。

賃貸不動産経営管理士に興味をお持ちの方は、資格の取得によって得られるメリットを知りたいと考えているのではないでしょうか。

本コラムでは、賃貸不動産経営管理士資格を取得するメリットや、資格を活かせる場面について詳しく解説します。

賃貸不動産経営管理士の資格を活かせる業界や業種についても触れるため、ぜひ参考にしてください。

賃貸不動産経営管理士資格取得のメリット

賃貸不動産経営管理士協議会の公式書類には、賃貸不動産経営管理士資格を取得するメリットがいくつか記載されています。

しかし、賃貸不動産経営管理士資格を取得すれば、公式書類に記載されている以外にもさまざまなメリットを得られると考えられます。

ここでは、賃貸不動産経営管理士資格を取得する主なメリットを5つ紹介します。

• 就職・転職に有利になる場合がある
• 資格手当を得られる場合がある
• 業務管理者・住宅宿泊管理業者の要件を満たすことができる
• 実務に役立つ書式や賃貸住宅管理業界の最新情報などを入手できる
• 自身の不動産賃貸・不動産取引などに知識を役立てられる

就職・転職に有利になる場合がある

賃貸不動産経営管理士資格を取得すれば、就職・転職におけるメリットが期待できます。

主に不動産業界の求人の中には、賃貸不動産経営管理士有資格者であることが要件となっているものが見受けられます。

また、賃貸不動産経営管理士資格は、業務管理者や住宅宿泊管理業者になるための要件のひとつです。

そのため、賃貸不動産経営管理士資格は、業務管理者や住宅宿泊管理業者を対象とした求人においても有利に働く可能性があります。

賃貸不動産経営管理士資格があれば、不動産関連企業をはじめとする幅広い企業に対して、有資格者であることをアピールできるでしょう。

資格手当を得られる場合がある

資格手当を得られる場合があることも、賃貸不動産経営管理士資格を取得するメリットのひとつです。

資格手当制度が設けられている企業では、賃貸不動産経営管理士の有資格者に対して資格手当が支給される場合があります。

資格手当の支給要件や金額などは企業によって異なりますが、賃貸不動産経営管理士資格の取得によって、収入アップが期待できるでしょう。

業務管理者・住宅宿泊管理業者の要件を満たすことができる

現状賃貸不動産経営管理士資格それ自体としての独占業務は存在しませんが、賃貸不動産経営管理士資格を取得すれば、業務管理者および住宅宿泊管理業者の要件のひとつを満たせるというメリットも得られます。

業務管理者となるための要件は、以下の通り。

1. 管理業務に関する2年以上の実務経験＋登録試験に合格した者
2. 管理業務に関する2年以上の実務経験＋宅建士＋指定講習を修了した者

業務管理者の要件における「登録試験」とは、令和3年度以降の賃貸不動産経営管理士試験を指します。

つまり、賃貸不動産経営管理士は、業務管理者の要件を満たせる資格のひとつであるといえます。

また、賃貸不動産経営管理士は、住宅宿泊管理業者となるための要件を満たす資格のひとつでもあります。

賃貸不動産経営管理士資格を取得すれば、携われる業務の幅が広がるでしょう。

参考：住宅宿泊管理業者の登録 | 民泊制度ポータルサイト「minpaku」

実務に役立つ書式や賃貸住宅管理業界の最新情報などを入手できる

実務に役立つ書式や賃貸住宅管理業界の最新情報などを入手できることも、賃貸不動産経営管理士資格を取得する大きなメリットのひとつ。

賃貸不動産経営管理士の資格登録者は、公式サイトの有資格者専用メニューより、各種書式のひな型をダウンロードできます。

また、有資格者を対象としたフォローアップや、法令改正に関する最新情報などが記載されたWEBマガジンの配信など、実務に役立つさまざまなサポートを受けられます。

加えて、行政動向に関するメールマガジンなども配信されるため、賃貸不動産経営管理士として働くうえで必要な情報をスムーズに取得できるでしょう。

自身の不動産賃貸・不動産取引などに知識を役立てられる

賃貸不動産経営管理士資格は、自身の生活にも役立ちます。

賃貸不動産経営管理士資格を取得すれば、賃貸住宅の管理に関する幅広い知識が身に付きます。

そのため、自身が所有している不動産を賃貸物件として貸し出す際などに、賃貸不動産経営管理士としての知識を活用できるでしょう。

また、空室対策や契約業務に関する知識を活かせば、不動産取引におけるリスクを回避しやすくなるといったメリットも期待できます。

賃貸不動産経営管理士の資格を活かせる業界・業種

賃貸不動産経営管理士の取得の大きなメリットは、不動産業界中心に就職や昇格、昇給などの際に有利になること。

賃貸住宅の管理・経営に関する知識や技能を有することをアピールし、不動産業界でのキャリアアップにぜひ役立ててください。

不動産業界

「賃貸不動産経営管理士」という資格は、やはり不動産業界で最も活かせるといえます。不動産業は大きく分けて「建築・開発業」「流通業」「賃貸管理業」の３つに分けられますが、賃貸不動産経営管理士はこの「賃貸管理業」の専門家としての知識を活かし、賃貸オーナーの経営をサポートして利益をもたらすという役割が求められます。

賃貸不動産経営管理士は、アパートやマンションなど不動産管理のプロです。そのため、不動産経営で貸主と管理会社の関係、貸主と借主の関係を良好に維持し、信頼関係を築くことができます。

また、貸主との関係で重要事項の説明といったサポートにより、トラブル回避につながります。

また、資格試験の学習・合格を通じ、賃貸不動産の経営・管理に必要な知識や技能を体系的に習得することにより、業務の幅を広げるだけでなく、これまでの業務の効率化や顧客（賃貸住宅の大家さんや居住者）の満足度の向上にも役立つでしょう。

関連コラム：賃貸不動産経営管理士資格を取ると転職は有利になる？資格を活かせる就職先とは

建築・ハウスメーカー

賃貸不動産経営管理士は、不動産に関するさまざまな情報を持っています。

地域のニーズに合った建築の提案やハウスメイキングのアドバイスなどを行うことも可能です。

金融

賃貸不動産経営管理士は、不動産の価値や空室状況についても把握しており担保額の見積もりができます。

また、不動産をもとにした資産を形成・運用するうえで、賃貸不動産経営管理士の知識が役立つのではないでしょうか。

賃貸不動産経営管理士の活躍のイメージ

例えば、賃貸アパートやマンションの大家さんがご高齢の場合、その管理・経営をご自身ですべて担うとなると負担があまりにも大きく、適切な管理を行えず、せっかくの資産を活かすことができなくなる可能性があります。

法令上大家さんに義務付けられた点検作業（法定点検）を大家さん自身が専門知識がない中ですべて行うというのは、あまりに負担が大きいでしょう。

また、入居者募集の時だけでなく、その賃貸住宅の管理業務も引き受けることで適切な管理・経営状態を維持することにより、中長期的な売上げの確保・上昇を期待することができるでしょう。

近年は人口減少に由来する「空き家問題」が社会問題となっており、賃貸アパート・マンションの入居者減少の可能性を示唆しているといえます。

適切な賃貸住宅の管理・経営が行われているかどうかという点は、入居者から「選ばれる」賃貸住宅を実現するうえで今後のカギを握っているといえるでしょう。

また、建設業界でも「創る」だけでなくそこに住まう人々を「支える」という視点が求められてきています。
従来は賃貸住宅を建設して終わりだったものが、これからは建設した後もトータルでサポートしていこうという試みです。

そのため、不動産業界だけでなく建設業界を志望する方にとっても、賃貸不動産経営管理士の持つ知識・技能・倫理観は、これからの業務を担っていくうえで求められていくことでしょう。

賃貸不動産経営管理士とは？

賃貸不動産経営管理士は、アパートからマンションまで賃貸住宅の管理に関する知識を持った賃貸住宅管理に関する国家資格です。

一般社団法人賃貸不動産経営管理士協議会 受付センターでは、以下のように記載されています。

賃貸不動産経営管理士は、入居者が入居してから退去するまで長期に及ぶ期間、家主だけではなく入居者のトラブル対応や建物の管理について専門的な知識を習得し、みなさんの生活をサポートする知識・能力を兼ね備えています。

賃貸不動産経営管理士協議会ホームページにて賃貸不動産経営管理士が国家資格となったことが発表されました。宅建やマンション管理士といった不動産関連資格のなかでも、特に注目を浴びています。

ちなみに、賃貸不動産経営管理士になるまでの流れや具体的な仕事内容について、下記のコラムで詳しく解説しています。気になる方は、ぜひチェックしてみてください。

関連コラム：賃貸不動産経営管理士とは？なり方・仕事内容・意味ない資格なのかも解説

まとめ

本コラムでは、賃貸不動産経営管理士資格を取得するメリットや、資格の活かし方について解説しました。

賃貸不動産経営管理士は、不動産業界や建築・ハウスメーカー、金融業界などで役立つ資格です。

また、賃貸不動産経営管理士資格を取得すれば、以下のようなメリットが期待できます。

• 就職・転職に有利になる場合がある
• 資格手当を得られる場合がある
• 業務管理者・住宅宿泊管理業者の要件を満たすことができる
• 実務に役立つ書式や賃貸住宅管理業界の最新情報などを入手できる
• 自身の不動産賃貸・不動産取引などに知識を役立てられる

資格取得によるキャリアアップをお考えの方は、賃貸不動産経営管理士を目指してみてはいかがでしょうか。