看護師として働いていると、職場からケアマネ資格の取得を勧められることもあるかと思います。

しかしケアマネと看護師の年収の違いや、ダブルライセンスにはどのようなメリットがあるのか気になるところですよね。

この記事ではケアマネと看護師の違いや、ダブルライセンスのメリット・デメリットなどについて解説しています。ケアマネ資格の取得を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

ケアマネと看護師はどっちが上?年収や合格率で比較!

前提として、ケアマネも看護師も社会にとってはどちらも欠かせない職業である中、どちらの「格が上か」について軽々に論じることはできません。

その一方で、平均年収や合格率といった「定量的な値」それ自体を比較することは可能でしょう。

以下ではそのような定量的な値それ自体を比較していきます。

あくまで値それ自体での比較であって「どちらの格が上か」を論じているわけではありません。

平均年収はどっちが上?

厚生労働省のサイトであるjobtagによると、平均年収はケアマネ407.9万円に対し、看護師は498.6万円となっています。

よって、平均年収の値をしては看護師の方が上であるといえるでしょう。

合格率はどっちが上(高い)?

最新年度の合格率は、ケアマネ試験は令和4年(2022年)に19,0%看護師試験は令和5年(2023年)に90.8%という結果でした。

例年ケアマネ試験の合格率は10〜20%程度、看護師試験については90%前後で推移しており、合格率は看護師の方が上となっています。

ただし、看護師の方が合格率が高いからといって、容易に資格取得ができるというわけではありません。

高校卒業後、看護大学・看護短期大学・看護師養成所(看護専門学校など)で4年あるいは3年の専門教育を修めたのち、国家試験に合格する必要があります。

看護師とケアマネ資格のダブルライセンスのメリットは?

それでは、看護師がケアマネ(介護支援専門員)資格を取得する「ダブルライセンス」のメリットについて見ていきましょう。

メリットは、

  1. 相談支援能力の向上
  2. 医療的な知識を活かすことができる
  3. 医療関係職との調整・相談がスムーズに行うことができる
  4. 転職するときのポイントアップになる

の4つが考えられます。

ではひとつずつ見ていきましょう。

1.相談支援能力の向上

ケアマネの資格を取得するためには介護支援専門員実務研修に参加する必要があります。

介護支援専門員実務研修ではさまざまな視点からアセスメントすることを身に着けることができます。

看護師も身体や精神面だけでなく、患者さんの性格や生活、社会的な問題なども含めてアセスメントしなくてはいけません。

その後、そのアセスメントを活用して、ケアプランの作成、モニタリングなどのマネジメント業務を行います。

マネジメント業務を繰り返すことによって、さまざまなケースに携わることができ、結果として相談支援能力の向上に繋がることができます。

2.医療的な知識を活かすことができる

ケアマネとして医療的ニーズが高い利用者と関わることが増えてきています。

退院支援から関わることになると、必然的に入院先での医師・看護師・理学療法士等の医療関係職との関わりが増えてきます。

そのなかで、看護師としての医療的な知識を存分に発揮することができるようになります。

また、在宅支援においても要介護が重度が増えてきているなかで、医療的ニーズが高い方も多くなっています。

医療的視点からのケアマネとしての関わりも十分に想定される為に、医療的知識の必要性は求められるでしょう。

3..医療関係職との調整・相談がスムーズに行うことができる

ケアマネはいろんな職種との架け橋になる職種でもあります。

看護師でも他の職種や病棟内の看護師同士で連携を取らなければなりません。

上手く連携できる看護師とできない看護師では仕事の進み方や上司からの評価も違ってきます。

特に、医療的ニーズの高い方への連絡調整においては、医療関係職とのやり取りも多くなる為に、看護師としての知識を活かすことができるでしょう。

4.転職するときのポイントアップになる

ケアマネは福祉資格の中でも難関の資格です。

難関資格を取得していれば転職時にアピールポイントとなります。

受け入れる側としては知識があって異動できる部署も増える人材となれば、ぜひ来てほしい、となります。

自分の大きなアピールポイントを増やせるというメリットになります。

「ケアマネを持つ看護師として働く」のと「ケアマネに転職する」のはどちらがよい?

では実際に取得した後はどのようにすればいいのでしょうか。

看護師として働き続けるメリット・デメリット、転職してケアマネとして働くメリットデメリットについて見ていきましょう。

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ケアマネ資格を取得して看護師として働き続けるメリット

ケアマネ試験と研修が終わっても登録のみ済ませ、そのまま看護師として働き続ける人も少なくありません。

メリット1 退院後の生活を想像してアセスメントできる

退院後に患者さんがどんな生活をするのかを考えて看護を行うことができます。

自宅の様子を聞いてみたり、これまでヘルパーなどのサービスを使っていたか、これから使う気があるのかなど情報を取ることができます。

どんな生活をしたいかで、入院中にどんな服薬指導をしないといけないのか生活指導をしていく必要があるのか判断できるようになります。

メリット2 患者さんの相談にすぐ答えらえる

退院後の生活に不安を抱えている患者さんやその家族は多いです。

実際に、退院後にきちんとできるのか、家族の負担がどのぐらい増えるのかなど質問されることは多くあります。

どんなことに気を付けないといけないか、どんな介護サービスがあるのかなど説明することもできます。

特に介護保険制度に伴う質問も多々あるなかで、適切に答えることができます。

また、退院支援部署のスタッフにも具体的に伝えられるようになるので、連携もスムーズにいきます。

ケアマネ資格を取得して看護師として働き続けるデメリット

デメリット1 看護師の仕事だけでは終わらないこともある

病院では介護療養型医療施設、介護施設では特養やグループホームなど看護師と兼任でケアマネ業務を依頼されることもあります。

在宅でのケアマネよりサービス調整などややこしい業務はないものの、ケアプラン作成や家族とのやり取り、スタッフへの情報共有など看護業務以外のことも増えることがあります。

ただでさえ忙しいのにケアマネ業務までとなると負担は大きくなってきます。

デメリット2 病棟以外の部署へ異動になる

看護師として懸命にケアをしていたのに、退院調整部署や病院が委託されている地域包括支援センターなどに異動となることもあります。

看護師キャリアを積みたいのに看護ができない環境になる場合もあるので、あらかじめ上司と話しておくのも手です。

看護師からケアマネへ転職して働くメリット

せっかく取得した資格だからケアマネになりたい!と思う方は転職や異動をしてケアマネになることも可能です。

メリット1 医療分野に強い

介護職からケアマネになった方より医療知識はかなり多く持っています。

そのため自宅療養が必要な方や病的な課題が多い利用者のケアプランを作成するときには、看護師の知識が光ります。

どうしても医療分野の知識は覚えるのも難しいため苦手に思われるケアマネも多くいます。

もしものときの対応も看護の知識があれば安心です。

メリット2 医師との連携が上手い

看護師をしていたときには毎日のように医師と連携を取っていました。

介護職の方は医師と話す機会はかなり少ないので、医師と話すときには緊張してしまいます。

そのため看護師からケアマネになった人のほうがスムーズに相談しやすいメリットがあります。

医師の意見はかなり影響力のあるものなので、上手に活用できるとケアプランもいいものになります。

看護師からケアマネへ転職して働くデリット

デメリット1 給与が下がる

看護師は夜勤があったり、基本給や資格手当などが高い場合が多いです。しかし、ケアマネになると夜勤は基本的にありません。

前述の通り、jobtagによると看護師と比べてケアマネの方が平均年収が低くなっています。

同じ法人内などであれば基本給は変わらない可能性もありますが、総支給額は下がる場合が多いでしょう。

夜勤がないぶん生活リズムは規則的になりますが、これまでより収入が減ってしまうので生活費のやりくりを変える必要が出てくる方もいるかもしれません。

デメリット2 急な呼び出しがある

事業所によりますが、ケアマネになると仕事の時間外でも電話を持っていないといけない場合があります。

事業所の体制、自分の働き方、担当利用者への説明などをしていくことで、プライベートの確保を意識していくことが重要となります。


忙しい看護師がケアマネ資格取得を目指すには通信講座がおすすめ!

看護師とケアマネ資格のダブルライセンスには、アセスメント能力が上がったり転職するときのポイントアップになるなど数々のメリットがあります。

ただし、看護師からケアマネに転職すると給与が下がってしまう可能性もあるため、条件面については事業所に入る前にしっかりと確認をしておきましょう。

なお、アガルートではオンラインでのケアマネジャー試験講座を開講中です。

アガルートの講座では無料で回数無制限の質問制度を利用できるなど、フォロー体制も充実しています。難関のケアマネ資格に向けて、アガルートの講座を利用してみてはいかがでしょうか。

この記事の監修者 稲垣 貴久講師

稲垣 貴久 講師

介護の現場6年(認知症対応型共同生活介護2年、特別養護老人ホーム4年)、その後介護支援専門員として7年の経験を経て、現在は高齢者・障害者施設を大阪府内に8施設運営している会社に部長職として勤務。

介護支援専門員としても、実際に担当を持ちながら、個別課題及び地域課題の解決に向けて日々福祉現場の最前線で仕事をしている。

初任者研修・実務者研修・介護福祉士受験対策講座・介護支援専門員受験対策講座の通学講座の講師として、年間1000人以上の資格者養成に携わる。

介護福祉士受験対策講座では、オリジナルテキスト作成に携わり、養成校や専門学校にて使用されている。

日々、福祉の最前線で働きながら、制度の変革・社会情勢の推移・福祉現場の課題や将来性にも目を向け、今後福祉現場に求められる人材育成に対して、資格者養成も含めて多岐にわたり尽力している。

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