【これが真実】ケアマネの資格は廃止になる?今後どうなる?将来性や需要について
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ケアマネ(介護支援専門員・ケアマネ・ケアマネージャー)の資格が廃止されるかもしれないという話を聞いたことがあるかもしれません。
このコラムでは、ケアマネが実際に廃止されるのか?今後どうなるか?将来性や需要は?などの疑問に答えていきます。
ぜひぜひ参考にしてみて下さい。
目次
ケアマネの資格は廃止になる?廃止論の真相
ケアマネは、2000年4月に「介護保険制度」が導入されるとともにできた資格です。
介護保険の基本理念である「自立支援」を達成するために、介護サービス計画であるケアプランを立案します。
ケアマネは、介護保険制度におけるケアマネジメントになるため、介護保険制度の根幹が覆らない限り、ケアマネは不要にはならず資格が廃止されることはありません。
しかし、下記の理由により、ケアマネ廃止論が一部の噂で出ています。
【きっかけ】受験資格が厳しくなり合格者が激減したから
ケアマネ廃止論ができたのは受験資格が厳しくなり、合格者数が激減したからです。
ケアマネの資格は、第20回である2017年まで無資格者でも実務経験があれば受験資格がありました。
しかし、第21回の2018年からは、国家資格所有者・相談援助業務についている人が要件となるだけでなく、実務経験が5年以上と変更され受験資格が厳しくなりました。
その結果、合格者数も激減しており、第20回の合格者が28,233人だったのに対して、第21回は4,990人と、合格者が20,000人以上も減ったのです。
第22回の合格者は8,018人と前回より上回ったものの、第23回も8,200人と以前に比べて合格者が激減しています。
国家資格取得者の試験免除科目が廃止になって合格者が激減した
第21回に受験資格が厳しくなる以前に、第18回の2015年度に試験免除科目が廃止になって試験が厳格化されたのも合格者が減った一つの原因です。
第17回の2014年度までは保有資格による解答免除があり、保有資格によっては、全60問のうち35問が免除になる場合もありました。
受験者数 | 合格者数 | 合格率 | |
第17回(平成26年度) | 174,974 人 | 33,539 人 | 19.2 % |
第18回(平成27年度) | 134,539 人 | 20,924 人 | 15.6 % |
しかし、年々高齢化が進み、要介護者の増加が予想されることによるケアマネの質・専門性の向上を図る必要が出てきたなどの理由により、試験免除科目は廃止となりました。
その結果、合格者数が試験免除科目が廃止される前年度に比べて6割程度に減ることになりました。
法改正で事業所管理者は主任ケアマネジャーに限定されることになった
2018年度に行われた介護報酬改定により、居宅の運営基準が厳格化され、ケアマネジメントの質の向上につなげるための施策の一環として、事業所管理者は主任ケアマネジャーに限定されることになりました。
厚生労働省は当初、2018年からの3年間における経過措置を設けて2021年度から一律に実行する予定でした。
しかし、2016年に厚生労働者が発表した「居宅介護支援の管理者要件に係る経過措置について」によると、管理者で主任ケアマネジャーの資格を保有している割合は44.9%と半数以上は資格を持っていないことが明らかになったのです。
このような状況から、管理者が主任ケアマネジャーでなくても継続して管理者を続けられる期間が2026年まで延長されました。
それ以降は、事業所管理者は主任ケアマネジャーでないといけません。そのため、ケアマネではなく主任ケアマネがより必要とされることになり、ケアマネが廃止されないか気にする人が出てきたのでしょう。
実情としてケアマネはいらない資格なのか?
ケアマネは決していらない資格ではありません。
なぜなら今後、日本の高齢化率は年々高くなると予想されているからです。
2042年には3,935万人になるともいわれています。
また、介護保険受給者数の割合は、年齢とともに高くなり90歳以上になると半数が介護の必要な状態となります。
また、2026年から管理者は主任ケアマネジャーに限定されますが、主任ケアマネジャーになるためには、ケアマネの資格を取得する必要があります。
つまり、上記の理由からもケアマネの重要性は今まで以上に高くなるのです。
ケアマネは今後どうなる?将来性や需要について分析!
ここまでの解説から、ケアマネの資格廃止の可能性はないことを理解できました。
しかし、ケアマネの今後はどのように変化していくのか気になるはずです。
ここでは、ケアマネの今後として予測される内容について解説します。
介護現場にAI導入でケアマネの仕事はなくなるのか?
近年、人工知能であるAIを導入してケアプランを作成する試みが民間企業などによって行われています。
利用者のデータを学習したAIにケアプランを作成させるというもので、厚生労働省もAIによるケアプラン作成負担の軽減に期待しています。
AIをうまく活用できれば、ケアプラン作成時間が大きく減少し、ケアマネが利用者と向き合う時間が確保できるなど利点があるのです。
一部では、AIが導入されることによって、ケアマネの仕事がなくなるという不安が出ていますが、そのような心配は必要ありません。
その理由として、厚生労働省が想定しているAI活用はあくまで「ケアプランの作成支援」のためだからです。AIの役割はあくまでもケアマネをサポートする役割なのです。
介護保険のデータは、ケアプランを作成するのには重要な情報ですが、それ以上に本人・家族の気持ちを反映して作成しなければなりません。
そのため、ケアプラン作成のすべてをAIが行うことはできないのです。
ケアマネジメントの主役はあくまで「人」になるため、AIによってケアマネの仕事が乗っ取られる心配はありません。
2021年の改正で処遇改善へ期待
2021年度介護報酬改定では、1.7〜1.8%居宅介護支援の基本報酬の引き上げが行われ、ケアマネの処遇改善が期待されています。
ケアマネの日常業務は激務で、平均20〜30名の利用者を担当し、毎月のケアプランの作成・利用者面談など多くの仕事があります。
しかし、現在のケアマネにおける平均基本給では、後期高齢者の増加により利用者の需要が増え、年々業務が肥大化しているにもかかわらず、介護職員などとの給与格差が生まれており、報酬が見合っていないという意識を持つケアマネが増加していました。
そのため厚生労働省は「このままではケアマネのなり手がいなくなってしまうかもしれない」という危機的状況を打破するために、処遇改善させるための議論を行ったのです。
すでに受験数と合格率が上がってきている
第18回の2015年度による試験免除科目が廃止・第21回の2018年による受験資格の厳格化などの理由により、一時期ケアマネの受験数と合格率は下がっていました。
しかし、2021年度に第24回のケアマネの試験が行われ、厚生労働省の発表によると、受験者数は54,290名で、そのうちの合格者数は12,662名で合格率は23.3%でした。
合格率の推移も、受験要件が変更される前の第20回の試験以来、初めて20%を超え、過去10年で最も高い合格率となっています。
今回の受験数・合格率はケアマネの重要性を改めて示した結果と言えるでしょう。
ケアマネは今後も介護業界で必要な資格
今後の、日本全体の高齢化率だけでなく、ケアマネ試験の結果などから考えても、ケアマネは今後も介護業界で必要な資格であると考えられます。
合格率から考えても決して簡単な試験ではありませんが、今後は今まで以上に重要性が高まるため、取得するのにおすすめの資格です。
まとめ
以上見てきた通り、介護保険制度の根幹が覆らない限り、ケアマネは不要にはならず資格が廃止されることはないと考えられます。
一方、受験資格が厳しくなったことや国家資格取得者の試験免除科目が廃止になったことなどにより合格者が激減したが激減したこと等を根拠にケアマネは廃止されるという論も出ています。
とはいえ、そのような中でも受験数や合格率は上がってきており、今後も介護業界で重要な資格であると考えられるため、廃止になるとは考えにくいでしょう。