弁理士は理系最高峰の資格と言われており、理系出身者が多いとされています。

しかし、なぜ弁理士が理系最高峰の資格と言われているのか、ご存じの方は意外と少ないのではないでしょうか。

このコラムでは、なぜ弁理士が理系最高峰の資格と言われているのか、なぜ理系が多いのかについて解説していきたいと思います。

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理系最高峰?なぜ弁理士には理系が多いのか

合格者・志願者共に理系が7割以上である

令和6年度弁理士試験の結果によると、弁理士試験の最終合格者における理系出身者の割合は81.7%、志願者における理系出身者の割合は70.0%となっています。

一方で、同じく文系出身者の割合は14.1%、志願者における文系出身者の割合は22.1%となっています。

この結果から、弁理士試験においては合格者・志願者ともに理系出身者が圧倒的に多く、弁理士は理系出身者が多い資格であることが分かります。

特許出願には理工系の知識が必要となる

弁理士の主要業務である特許出願書類の作成時には、クライアントの発明内容を的確な文章に落とし込むことが求められます。

その際にまず必要なのが、発明の内容を理解することです。

特許として出願する発明の多くは最先端の科学技術を駆使したものとなっています。

発明の内容はクライアントが教えてくれますが、それを素早く理解するためには理系としてのある程度の知識が必要です。

このような理由から、弁理士業界では理系出身者は常に求められている人材であると言えます。

その影響から弁理士志願者においても理系出身者が多くなっていると考えられます。

弁理士試験の難易度は非常に高い【理系最高峰】

令和6年度の弁理士試験の合格率は6.0%と非常に低い結果となっています。

年によって難易度に多少の変動はあるものの、過去9年間の合格率は常に10%未満となっています。

非常に難易度の高い試験であることが分かります。

この難易度の高さが、弁理士が理系最高峰の資格と言われる理由の一つとなっています。

理系と文系での弁理士の仕事の違いについて

理系出身の弁理士(理系弁理士)と文系出身の弁理士(文系弁理士)とでは主な業務内容が異なっています。

以下では理系文系の違いによる弁理士業務の内容について説明します。

理系弁理士は特許関係が多い

弁理士の主要業務の一つとして特許出願等の、特許に関する権利化業務があります。

特許の権利化業務においては、権利化したい発明を正確に理解できないと弁理士として良い仕事ができません。

発明の内容には様々なものがありますが、その多くは理系出身の研究者が発明した最先端の科学技術に関するものです。

そのため、同じ理系出身の弁理士だからこそ理解できるものが少なくありません。

そのため、特許に関する権利化業務は理系弁理士が得意な業務であると言えます。

文系弁理士は意匠や商標関係が多い

特許に関する権利化業務と同じく弁理士の主要業務としては、意匠又は商標の権利化業務を挙げることができます。

意匠とは商品等のデザインであり、商標とは商品名やブランド名等のことです。

これら意匠や商標に関する権利化業務においては、一般に理系の高度な知識はほとんど求められないとされます。

一方で、高度な法律の知識は求められることもあり、文系弁理士が活躍する業務となっています。

※参考:文系の弁理士に需要はある?年収や就職・転職の求人例、難易度を解説

理系弁理士の方が年収は高くなりやすい?

以上理系弁理士と文系弁理士で得意とする業務に違いがあることを説明してきました。

その中で、理系弁理士と文系弁理士とでは年収に違いがあるのか気になる人も多いでしょう。

結論としては、理系か文系かの違いは年収に大きな影響を及ぼすことはないと考えられます。

そもそも弁理士は理系の資格であると思われていることから、理系弁理士の方が年収が高いと誤解されているのかもしれません。

しかし、先ほど述べたように文系弁理士が活躍できる場も十分にあります。

また、弁理士の年収はその雇用形態によるところが大きいと考えられます。

理系であっても文系であっても、弁理士としての経験やスキルを活かして、よりよい職場に転職したり独立したりできるかどうかが年収に大きな影響を与えていると考えられます。

※参考:弁理士の年収・給料はどれくらい?高収入を目指す方法も

弁理士試験の内容は?理系知識は役に立つ?

弁理士になるために受験する弁理士試験は、短答式試験、論文式試験、口述試験という3つの試験から構成されています。

短答式試験はマークシート式の試験であり、特許法、実用新案法、意匠法、商標法、著作権法、不正競争防止法、条約についての問題が出題されます。

論文式試験はその名の通り記述式の試験であり、必須試験と選択試験の2種類があります。

必須試験は特許法・実用新案法、意匠法、商標法について出題されます。

選択試験は理工I(機械・応用力学)、理工II(数学・物理)、理工III(化学)、理工IV(生物)、理工V(情報)、法律(弁理士の業務に関する法律)の中から1科目を受験します。

口述試験は面接試験であり、この試験でも特許法・実用新案法、意匠法、商標法について出題されます。

短答式試験、論文式試験(必須)、口述試験では法律知識のみが問われる試験であるために、理系出身の受験者に有利な内容であるとは言えません。

しかし、論文式試験(選択)においては、法律だけでなく理系科目が用意されています

これらの選択科目の中から1つを選べばよいので、理系出身者の多くにとっては大学等で勉強した内容を活かして受験できる試験内容となっています。

まとめと講座紹介

このコラムでは以下の内容を解説してきました。

  • 弁理士が理系最高峰の資格と言われる理由
  • 文系理系の違いによる弁理士の年収への影響
  • 弁理士試験の内容と理系出身者に有利な点

弁理士は理系出身者が多い資格であり、理系出身者にとっては十分に目指す価値のある資格であると言えます。

一方で、弁理士試験の内容を知って、法律の知識がメインの試験であることに少し戸惑いを感じておられる理系の方も多いのではないでしょうか。

大学等で法律の勉強をする機会が少ない理系の方は、一から法律を勉強する必要があります。

そのため、できるだけ効率的な勉強方法を取り入れることが弁理士試験に短期合格するための鍵になります。

効率的に法律を勉強する方法としては予備校を利用するという方法があります。

アガルートでは、弁理士試験対策のための講座提供はもちろんのこと、弁理士試験を目指してみようか迷っておられる方のための無料相談もしております。

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この記事の執筆者

Naoko


京都大学大学院農学研究科修了。


研究者を目指し大学に残ったものの、結婚出産を経てより子育てのしやすい環境を求めて知財業界へ。


特許事務所で特許事務(国内・海外)を3年程経験した後、第3子の出産を機にパラリーガルに転身。弁理士試験に挑戦し、一発合格。


現在、特許事務所で弁理士として活躍。

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