【決定版】弁理士試験のおすすめ参考書・テキスト・教材13冊
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理系最高峰の資格であるとも言われ、難関国家資格の一つである弁理士資格。
この資格を得るための弁理士試験は、難易度は非常に高いものの、正しく努力をすれば独学で合格を目指すことも十分に可能な試験です。
独学で勉強を始めるときにどの参考書・テキストを選べば良いかという問題は、弁理士試験合格までの道のりの長短を決める最も大事な問題であると思います。
そこで、独学で弁理士試験対策をする際におススメの参考書(テキスト)を、フルタイムで働きながら&乳児を育てながらH30年度弁理士試験に一発合格し、現在弁理士として活躍中の筆者が徹底解説します!
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弁理士試験における参考書(テキスト)の選び方
弁理士試験では、知的財産に関する法律についての知識だけではなく、法目的や趣旨を正しく理解できているかどうかが問われます。
そこで、参考書をうまく使って法律に対する理解を深める努力が必要です。
以下では勉強のステージ別で揃えるべき参考書の種類や選び方のポイントを解説します。
①まず入門テキストを揃える
これまでに法律の勉強をしたことがない場合には、本格的な勉強を始める前に、法律の目的をざっくりと理解し、これから勉強する法律の全体像を掴んでおくことが大事です。
何度か読み返すことを考えて、読みやすく、全体の長さができるだけ短くコンパクトにまとめられている入門テキストを選びましょう。
②短答式筆記試験の対策には基本書と法文集を
基本書は、いろいろなものがあり目移りしてしまいがちですが、自分が読みやすいと感じるものを各法域でとりあえず1つずつ準備すれば大丈夫です。
また、短答式試験を初めとする弁理士試験の勉強には法文集が欠かせません。
法文集としては、できれば青本と短答式試験の全範囲の条文を記載した法文集との2冊を用意することをお勧めします。
③論述式筆記試験の対策には文章のブロックを提示してくれる参考書を
論文試験の回答を作成するには、お決まりの文章のブロックをいくつか記憶しておく必要があります。
そこで、役に立つのが論文試験で過去に出題された内容等から、暗記しておくべき内容をまとめて提示してくれている参考書です。
もちろん短答式試験の勉強で使用した法文集も引き続き使用します。
④口述試験の対策には入門テキストと貸出用法文集を
口述試験では、的確で短い表現が求められます。
この的確で短い表現のヒントとなるのが、実は初めに挙げた入門テキストです。
また、口述試験では、論文試験時に貸し出してもらえる法文集と同じものを使用しますので、論文試験の時に必ず貸出用法文集を持ち帰りましょう。
弁理士試験初心者が最初に読むべきおすすめの入門書
初めに弁理士試験にこれから挑戦しようと考えている初学者の方におススメの入門テキストを4冊ご紹介します。
読みやすさや分かりやすさ等、ご自分との相性に合わせて選んでみて下さい。
なるほど図解 特許法のしくみ
弁理士試験の根幹となる四法(特許法、実用新案法、意匠法、商標法)の中でも、最も重要な特許法について、初学者にも分かりやすく解説しています。
図表が多めなので、いきなり難しい本はとっつきにくいという方におススメです。
発行年以降、現在までに法改正がされている部分がたくさんありますので、細部まで読み込むのではなく、あくまで全体像をざっとつかむための本として利用してくださいね。
なるほど図解シリーズには、「なるほど図解 商標法のしくみ」と「なるほど図解 著作権法のしくみ」もあります。
特許法入門
実例を使った解説で、初学者が特許法のイメージをつかみやすいように工夫されています。
読みやすく丁寧な解説で、特許法の入門書としては非常におススメです。
全体像を掴むだけのために使用するのはもったいない!と思える充実の内容です。
弁理士試験の勉強は初めてだけど、普段から本を読みなれていて、図表ばかりで内容が薄い本は苦手という方には、こちらの本が合っているかもしれません。
知的財産権制度入門テキスト
特許庁が提供している無料テキストです。
インターネットから誰でも入手できます。
弁理士試験で出題される法律のほぼすべての範囲について、図表等を用いながら分かりやすく解説してくれています。
省庁が発行する文章なので、とっつきにくいと感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、苦にならず読める方なら、無料でこんなに良い教材はないと思います。
定期的に更新される可能性があるので最新版をチェックしてくださいね。
参考:特許庁
働きながら2年で!弁理士最短合格の時間術・勉強術
この本は、法律について解説する本ではありません。
しかし、弁理士試験についてや、弁理士試験に合格した後の弁理士のお仕事について、忙しくても弁理士試験を乗り越えるためのヒント等、弁理士試験の初学者が求めている内容が詰まった本です。
この本は、初学者の方だけでなく、勉強に疲れた中上級者のモチベーションアップにもおススメの本です。
あきらめそうになった時にもう一度読み返せば、きっと初心を思い出すことができると思います。
短答試験対策におすすめの参考書
弁理士試験の中で、最初に立ちはだかる壁が短答式筆記試験(以下、短答試験とします。)です。
短答試験の対策には、入門テキストよりも詳しい内容を解説してくれている基本書と法文集が必要です。
それぞれについて、以下の通り筆者のおススメをご紹介します。
おすすめの基本書
特許法第2版
特許法の基本書はたくさんありますが、私が実際に使用していたのはこの茶園先生の本でした。
とっつきにくさを感じさせない読みやすい文章と、基本書としての充実の内容とを両立させた良書です。
複雑な手続きについてはフローチャートを付す等の工夫がされていたり、重要度別の条文や判例のリストがあったり等、初心者にも親切な構成となっています。
シリーズで「意匠法」、「商標法」、「著作権法」、「不正競争防止法」もあり、どれも基本書としておススメです。
標準特許法第8版
こちらも読みやすく、コンパクトな基本書として人気の良書です。
知的財産に関する訴訟を担当する裁判官として長年経験を積んだ著者が、特許法の解釈や判例について、分かりやすく網羅的にまとめてくれています。
初学者にはとっつきにくい専門用語についてもわかりやすく解説してくれています。
また、理解しやすく興味深い具体例を挙げることで、より興味をもって勉強を進められるように工夫されています。
最新の第8版は、令和5年までの改正や知財高裁大合議部判決などに対応しています。
図解パリ条約
短答試験では、国内法だけでなく条約も試験範囲に含まれます。
パリ条約については優れた基本書がありますが、分厚くて初学者にはとっつきにくいと感じてしまうこともあるかもしれません。
そこで、とにかくコンパクトな基本書を探しているならこれ!筆者ももちろん使用していました。
弁理士試験で問われるであろう重要な部分について、必要最小限の情報を詰め込んでくれているので、もうパリ条約の勉強で迷うことはありません。
同じく荒木先生の「図解特許協力条約」、「図解TRIPS協定」、「図解マドリッドプロトコル」もあります。
おすすめの法文集
工業所有権法(産業財産権法)逐条解説|経済産業省 特許庁
”青本”と呼ばれる、弁理士試験受験生の必須アイテムです。
この本は条文集であるとともに、各条文の解説が記載された基本書でもあります。
この本の内容をすらすらと読めるようになれば、弁理士試験の合格は近いです。
初めは難解で読む気にもならないかもしれませんが、法文集として毎日使えばだんだん馴染みがでてきます。
とても分厚い本なので持ち運びが不便と感じられるかもしれません。そんな場合には法律ごとに分冊するのがおススメです。
特許庁のホームページから無料で最新版をダウンロード可能です。
※関連コラム:弁理士試験に必須?の青本!特許庁の解説書の使い方を弁理士が解説
知的財産法文集
過去問と条文を見比べながら勉強する際に、青本は分厚すぎて使いにくいという方には、この法文集がコンパクトでおススメです。
特許法・実用新案法、意匠法、商標法だけでなく、短答試験の範囲に含まれるすべての法律の条文が収録されています。
ただし、文字が小さく余白スペースもほとんどないために、書き込みは青本にして、条約などの条文はこの法文集を使用するなど、青本と併用することをお勧めします。
毎年改訂版が発行されますので法改正にもばっちり対応!
この本は実務にも役立つので、筆者は今でも毎年購入しています。
論述試験対策におすすめの参考書・法文集
論文式筆記試験(以下では論文試験とします。)は、その名の通り長文の解答を記述する試験です。
論文試験の解答は、問題文の誘導に従って、記載すべき文章のブロックを組み立てることによって作られます。
そのため、論文試験を解くには、解答を構成する文章のブロックを予め記憶しておくことが必要です。
この文章のブロックは、青本や基本書の記載をもとに自分で準備してもよいのですが、正確な記載などを追及していると時間がかかってしまいます。
そこで、この文章のブロックを分かりやすい形でまとめてくれている参考書があればとても便利です。
以下に、このような参考書でおススメのものを挙げます。
おすすめの参考書
弁理士試験論文マニュアル(1)特許法/実用新案法
模範解答の中で文章ブロックとして記憶しておくべき箇所を暗記ポイントとして挙げてくれていますので、この部分についての記載を文章のブロックとして記憶しておくことで、論文試験への対応力が付くはずです。
また答案において重要なポイントを明確にしてくれていますので、どのような問題に対してどのような答案を作成すればよいのかが理解しやすい構成となっています。
この本は、論文試験の答案の作り方についても基礎から解説をしてくれていますので、特に論文試験の勉強を始めたばかりの初学者の方には心強い本なのではないでしょうか。
シリーズで意匠法、商標法についての論文マニュアル(2)があります。
弁理士試験論文マスターノート 特許法・実用新案法
論文試験で必要な知識をとにかく厚くすることを目指す一冊です。
文章のブロックを重要度順で多数掲載してくれていますので、この本を一冊勉強すれば論文試験に必要な知識はほとんどインプットできたと考えてよいでしょう。
ただし、この本に記載されているすべてを覚えようとすると大変かもしれません。
重要度順に記載してくれているので、重要な部分のみ勉強して途中で切り上げてもよいと思います。ご自分の勉強時間と相談して使い方を工夫してみてください。
シリーズで意匠法、商標法もあります。
おすすめの法文集
短答試験のおススメ参考書として記載した基本書や法文集は、知識の確認のために引き続き使用してください。
特に、過去問でカバーされていない法改正の部分については、要確認です。
口述試験対策におすすめの参考書・法文集
口述試験は、試験官と対面して、試験官から出される問題に口頭で解答する試験です。
各科目10分という制限時間内に、全ての問題に解答することが求められます。
そのため、的確な内容の回答をできるだけ素早く導き出すスキルが求められます。
この口述試験の対策におススメの参考書を以下に解説します。
おすすめの参考書
口述試験で求められる能力は、これまでに勉強してきた難しい法律の内容を、的確かつ簡潔な言葉で表現することです。
短答試験及び論文試験に合格したということは法律の理解はばっちりできているはずですので、あとは試験官の問いに対して簡潔な言葉で理解を示すだけです。
そんな時に大きなヒントになるのが、実は初学者の方におススメした以下の入門テキストだと考えています。
「なるほど図解 特許法のしくみ」
「特許法入門」
これらの入門テキストは、たとえば特許法の内容を非常にコンパクトな文章で説明しているために、その表現は見習うべきところが多いはずです。
また、著者は弁理士であるために、内容の的確さも失われていないことは保障済みです。
おすすめの法文集
論文試験時に配られる試験用法文集
論文試験を受験すると、商標法の試験終了後に試験用の法文集を持ち帰ることができます。
この法文集は口述試験時に貸与される法文集と同じものなので、是非持ち帰って下さい。
口述試験では、回答時に法文集を参照することができます。
そこで、不安な条文については、法文集をいつでもすぐに開けるように普段から練習しておくことも忘れずに!
その他(口述試験練習会)
参考書ではありませんが、口述試験の練習会はもしお近くで開催されているものがありましたら是非参加しておくことをお勧めします。
先輩弁理士さん達が、服装や立ち居振る舞いから、口述試験までに復習しておいた方が良い内容等を、とても親切に指導してくれますので、独学者にとっては非常に大きな安心感を得ることができます!
各予備校でも口述試験の練習会をやっていますが、弁理士の有志グループが無料や非常に安い料金で開催してくれている場合もあります。
まとめ
今回は弁理士試験の受験を考えておられる方におススメの参考書を紹介してきました。
参考書の選び方や各参考書の特徴を参考にして、ご自分の勉強スタイルに合った参考書を見つけて頂けたら幸いです。
ご自分に合った勉強スタイルを確立して、弁理士試験合格を目指してくださいね。
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Naoko
京都大学大学院農学研究科修了。
研究者を目指し大学に残ったものの、結婚出産を経てより子育てのしやすい環境を求めて知財業界へ。
特許事務所で特許事務(国内・海外)を3年程経験した後、第3子の出産を機にパラリーガルに転身。弁理士試験に挑戦し、一発合格。
現在、特許事務所で弁理士として活躍。