弁理士取得後の実務修習って何?概要と実際の研修内容
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弁理士取得後の実務修習は、どのようなものなのでしょうか?
弁理士について情報を集めている方にとって気になるのではないでしょうか。
弁理士の場合、試験に合格した後すぐに仕事を始めることはできません。実務修習を行い、登録を済ませる必要があります。そのため、実務修習でどのようなことを行うのかは関心を寄せられるでしょう。
そこで、弁理士の実務修習について解説します!
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弁理士の実務修習って何?
弁理士の実務修習とは、弁理士試験合格後、登録を行うために実践的なことを学ぶ研修です。平成20年10月の弁理士法改正により、登録のためには実務修習の受講が義務となりました。そのため、弁理士として登録を行う前には、実務修習を必ず受講しなければなりません。
※関連コラム:弁理士になるには?試験の受験資格や最短ルート、なり方も考察
※関連コラム:弁理士の登録・再登録やその費用について!抹消が激増って本当?
弁理士は、登録後すぐに知的財産のエキスパートとして仕事を行うことが期待される人材です。しかし、試験で勉強しないことも弁理士の仕事の中には存在します。
そこで、弁理士となるのに必要な技能及び高等の専門的応用能力を修得させることを目的として、実務修習を行います。
弁理士の実務修習は、例年11月上旬から中旬にかけて申込が行われ、12月上旬から3月末の間に実施されます。約4か月間で実務に必要な様々な知識を学ぶため、なかなか忙しい研修となります。
実務修習を受講する際には受講料が必要で、118,000円の費用が掛かります。多額の費用ですが、登録のために避けることができない研修であり、また得られるものも多いため決して無駄になる費用ではありません。
実際に実務修習ってどんなことやるの?
実務修習では、インターネット配信によるeラーニング研修と、会場に赴く座学(集合研修)の2つの方式で実施されます。この両方を受講します。
実務修習で学習するのは、
①弁理士法及び弁理士の職業倫理
②特許及び実用新案に関する理論及び実務
③意匠に関する理論及び実務
④商標に関する理論及び実務
⑤工業所有権に関する条約その他の弁理士の業務に関する理論及び実務
の5つの課程で、合計36科目となっています。各科目には単位が設定されており、全ての単位の修得により実務修習修了となります。ある開講年度で単位を修得できない場合、翌年度の実務修習で単位を持ち越すことはできません。1つの実務修習期間で実務修習で終わらせるようにしましょう。
eラーニング
eラーニングでは、テキスト教材を手元においてインターネットで配信される講義の映像コンテンツを視聴します。コンテンツの途中に設けられた効果確認問題に解答しつつ、コンテンツを最後まで視聴していきます。各コンテンツの効果確認問題に8割以上正解しなければ、続きを視聴することができないため、集中して視聴する必要があります。
eラーニングは配信期間が決まっており、例年12月上旬から2月末となっています。この期間を経過すると単位の修得ができなくなるため注意が必要です。
また、後述するように年末年始にかけて座学のために必要な事前課題の提出があります。そのため、年末年始はeラーニングと事前課題を並行して行う必要があり、忙しいです。試験後の年末年始もゆっくり過ごす暇はないと理解しておく必要があります。
座学(集合研修)
座学では、講師と修習生が直接対面して主に演習を中心とした講義を行います。各課目の講義日より前に、修習生に予め課題に対する起案を提出してもらい、提出された起案の講評を交えた講義となります。
座学では曜日や時間帯を選択できるコース制となっており、5日~9日かけて合計約27時間を受講します。東京では、金曜・土曜・集中・夜間といった各コースがあるため、自分に合ったスタイルを選択でき余すが、名古屋・大阪では土曜コースのみとなっているためコースに合わせて予定を立てる必要があります。
座学では出願手続や審査対応の演習など、より実務に即した課目の学習が中心となっています。
座学では、仕事などやむを得ない理由を除いて欠席が認められておらず、また15分以上の遅刻は出席扱いとなりません。そのため、健康や遅刻に気を付けて受講することが必要です。
実務修習で大変なこと
実務修習で大変なことは、座学のための事前課題に対する起案の作成が容易ではないことと、年末年始に休むことができないことです。
まず、集合研修の講義に出席するためには、課目毎に定められた期限までに課題に対する起案を提出しなければなりません。この課題ですが、簡単に起案を作成できるな内容ではなく、各課目で要求される基準に満たないと判断された場合、再提出を求められることがあります。特許事務所など実務経験を積んでいる方などは再提出は少ないものの、企業の知財部に勤務している方でも再提出を求められることもあります。起案は腰を据えて行う必要があります。
次に、実務修習の期間には年末年始も含まれています。そのため、年末年始位はゆっくり過ごしたいと思うかもしれません。しかし、この時期は事前課題の作成とeラーニングを並行して行う期間であり、休む時間は多くありません。試験合格以前でも年末年始は休めない方が多かったでしょうが、試験合格後の実務修習でも年末年始は忙しいという点に留意しておかなければなりません。
このように実務修習は大変なこともありますが、実務修習を通して得られることもあります。
それは、試験では習わなかった弁理士の仕事に関する実践的な知識を学ぶことができ、また同期とのつながりを持つ機会でもあります。
座学ではグループ討議といったものもあり、研修後に飲みに行くこともあります。そのため、グループ討議や飲み会を通して同期とのつながりが増え、転職情報の収集や仕事上での相談などができるようになります。
このように実務修習は大変ですが、得られることや価値のあることも多いです。
免除制度もある
特定の条件を満たす方については、実務修習を構成する課程の一部の免除を申請することができます。
特許事務所などで特許関係書類の作成に専ら3年以上従事している方など一定の実務経験がある方を対象としており、このような方は申請書と証明書を提出することによって一部が免除となります。
免除制度はあくまで任意なので、免除の対象となる方でも研鑽のため全ての課程を受講することができます。自身の能力等を考えたうえで、免除を行うか否かを決めましょう。
弁理士の実務修習に関するよくある質問
弁理士の実務修習の日程・期間はどこで確認できる?
実務修習の期間は、約4か月間で、eラーニングを用いて学習していきます。
集合研修は5日間~9日間です。(コースによって異なる)
日程については、日本弁理士会のホームページで公開されます。
弁理士の実務修習は働きながらでも参加可能?
弁理士の実務修習は、働きながらでも受けることが可能です。
実際、合格者の多くが働きながら参加しています。
集合研修の日程は複数用意されており、金曜コース、土曜コース、夜間(木・金)コース、集中コースがあります。
ただし、課題提出などもあるため、多忙になることを想定し、職場や家族の理解を求めておくのが良いでしょう。
弁理士の実務修習を受けないことは可能?
弁理士試験に合格しても、実務修習を受けないという選択肢はあります。
ただし、これは、本業や留学など、事情があって実務修習の受講を延期したいという場合や資格取得を目的としており、実際に弁理士になる予定がない場合などです。
弁理士として働きたい場合は、必ず受ける必要があります。
弁理士の実務修習に不合格の場合は?再提出は可能?
集合研修の前には、課題に対する起案を提出する必要があります。
起案を講師が採点し、内容が不適切な場合は、再提出が求められます。
2~3割ほどの方が再提出となると言われており、難易度が高い内容になっています。
提出は、3回まで受け付けられますが、3回のうちに合格しなければ、科目修了できません。
不合格になった場合、翌年の実務修習に申し込みをし、合格を目指す必要があります。
まとめ
以上で弁理士の実務修習についての解説を終わります。
このコラムをまとめると、以下の点が重要です。
・弁理士の実務修習は合格後に行われる研修で、登録の前に必ず受講しなければならない
・修習は例年12月~3月にかけて行われるもので、費用は118,000円となっている
・修習の内容は①eラーニングと②座学(集合研修)の2つから成り、弁理士の仕事に必要な知識の合計36科目を受講する
・事前課題の作成が簡単ではないことや年末年始が休めないといった点はあるが、同期とのつながりや新たな知識を取り入れる機会となっている
・実務経験を積んでいる人には免除制度もある
実務修習は、弁理士になる最後の関門といえるでしょう。試験に合格して実務修習を受講し、弁理士を目指してはどうでしょうか。
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