弁理士と薬剤師のダブルライセンスについて!免除制度を活用しよう!
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保有している弁理士又は薬剤師の資格を、今よりももっと仕事に活かせないかと考えておられる方もおられるのではないでしょうか。
そこで、今回は弁理士と薬剤師とのダブルライセンスについて解説していきます。
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弁理士とは?
弁理士とは発明やデザイン、ブランド等の知的財産を保護したり活用したりするお手伝いをする法律の専門家です。
法律の専門家と聞いて文系出身者に向いている職業なのではないかと思われる方もおられるかもしれません。
ですが、最先端の科学技術を駆使した発明を保護する特許出願が弁理士の主要業務の一つとなっていることから、科学技術に明るい理系出身者に向いている仕事であると言えます。
薬剤師も理系の職業ですから、薬剤師資格を有している方にとって弁理士は実は相性の良い職業であると言えます。
※関連コラム:【弁理士×◯◯】市場価値を高めるダブルライセンスとは?
薬剤師とは?
薬剤師は、医薬品全般についての幅広い知識を持つ薬の専門家です。
病院や薬局などでの調剤業務を通して直接的に私たちの健康を見守ってくれます。
それだけではなく、
- 企業で医薬品の研究開発に携わったり医薬品に関する情報を医師や看護師に提供することを通じて医薬品のスムーズな供給を助ける仕事
- 公的機関における医薬品や食品などに関する試験研究や違法薬物の取り締まり等の公衆衛生に関する仕事
など、幅広い活動を通じて私たちの健康を守ってくれる重要な職業です。
薬剤師は弁理士試験の科目免除を受けられる!
薬剤師の資格保有者は、弁理士試験の一部を免除されることをご存じでしょうか。
弁理士試験は法律に関する難関資格であり、短答式試験、論文式試験及び口述試験という3種類の試験に全て合格する必要があります。
弁理士には前述したように理系の知識が求められる場面も多いことから、2次試験にあたる論文式試験において、選択科目として理系科目についての試験が用意されています。
そして、この理系の選択科目については、指定された理系の資格を持っていることにより免除を受けることができるという制度が。
薬剤師の資格も免除を受けるための資格の一つとなっていますので、薬剤師の資格保有者は論文式試験の選択科目について免除を受けることができます。
論文式試験の選択科目は、過去問が少ない科目がある、専用の対策講座が少ない等、試験対策が難しい試験であるため、免除資格を有している薬剤師の方は実は他の弁理士試験受験生よりもかなり有利な立場にあると言えます。
なお、弁理士試験の免除制度について詳しくは以下の関連コラムもご覧ください。
関連コラム:弁理士の受験資格と免除制度について徹底解説
薬剤師と弁理士のダブルライセンスのメリットは?
薬剤師の資格保有者は弁理士試験において有利なだけではなく、弁理士業務においても強みを持っていると言えます。
前述したように弁理士の業務のうち特許に関する業務においては理系の知識が求められ、特にバイオ・医薬分野に関する発明を適切に取り扱うには高度な専門知識が必要となります。
この点、薬剤師資格を保有している方であれば、十分な専門知識を有していることから弁理士として非常に重宝される人材であることは間違いありません。
最近では、新型コロナワクチンの特許に関するニュースが話題になっていたことをご存じの方もおられるかと思います。
参考:新型コロナワクチンの特許、米欧印などが一時放棄案 WTOで協議
このニュースは新型コロナワクチンの普及を目指して、新型コロナワクチンに関する特許を保有する企業等がその特許を一時的に放棄することについてWTOを中心に世界中の国々が協議をすることとなったというものです。
このことからも分かるようにワクチンなどの医薬品についても特許権を設定登録することが可能であり、このような権利の取得や活用には薬剤師の専門知識が活かせることでしょう。
実際にいろいろな特許事務所のホームページなどを見ていると、バイオ・医薬分野を専門分野として弁理士業務を行なっている薬剤師資格保有者を見つけることができます。
薬剤師と弁理士の年収は?
薬剤師と弁理士のダブルライセンスを取得した場合の収入がどうなるのか気になるところだと思います。
以下では、厚生労働省が公表しているデータを基に、それぞれの年収を見ていきます。
薬剤師の年収:約580万円
まず薬剤師の令和4年賃金構造基本統計調による年収は583.4万円となっており、その他の基本情報は以下のようなものとなっています。
(厚生労働省が公開している職業情報提供サイトjobtagより)
平均年齢: 41.1歳
労働時間/月:164時間/月
求人賃金(月額):353,000円
就業者数:243,650人
有効求人倍率:3.29
平均年収:583.4万円
弁理士の年収:約970万円
同じくjobtagの情報によれば、弁理士の令和4年賃金構造基本統計調による年収は971.4万円となっており、基本情報は以下のようなものとなっています。
平均年齢: 47.2歳
労働時間/月:155時間/月
就業者数:25,560人
有効求人倍率:1.88
平均年収:971.4万円
弁理士の年収は雇用形態によって大きく変わってくるため、努力次第で平均年収よりも高い年収を得るチャンスも十分にあると言えます。
詳しくは以下の関連コラムもご覧下さい。
関連コラム:弁理士の年収・給料はどれくらい?現実を現役弁理士が解説!
これらのデータから、薬剤師の資格だけを持っている場合に比べ、薬剤師と弁理士とのダブルライセンスで薬剤師としての専門知識を弁理士業務に活かすことにより、年収アップも夢ではないと言えるでしょう。
まとめ
今回は薬剤師と弁理士とのダブルライセンスについて解説してきましたがいかがだったでしょうか。
薬剤師と弁理士のダブルライセンスに興味はあるが、薬剤師として働きながら難関資格である弁理士試験の勉強をすることについてはハードルが高すぎると感じている方もいるかもしれません。
しかし、弁理士試験は効率的に勉強を進めることができればフルタイムで働いている社会人でも十分に合格を目指せる試験であると言えます。
実際に筆者は特許事務所で正社員として働きながら、さらに幼児の子育てをしながらでも合格することができました。
働きながらでも無理なく効率よく勉強を進める方法の一つとして、予備校の弁理士試験対策講座を利用することも是非ご検討頂ければと思います。
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Naoko
京都大学大学院農学研究科修了。
研究者を目指し大学に残ったものの、結婚出産を経てより子育てのしやすい環境を求めて知財業界へ。
特許事務所で特許事務(国内・海外)を3年程経験した後、第3子の出産を機にパラリーガルに転身。弁理士試験に挑戦し、一発合格。
現在、特許事務所で弁理士として活躍。