どちらも法律の専門家である「弁理士」と「弁護士」は、仕事内容は微妙に異なります。

弁理士と弁護士は親和性が高いことから、ダブルライセンスを取得する弁理士は一定数いるようです。

当コラムでは、弁理士と弁護士の違いやダブルライセンスのメリットについて詳しく解説します。

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弁理士と弁護士の仕事内容の違い

弁護士は、あらゆる法律問題を扱うことができるオールマイティな資格。

これに対して弁理士は、知的財産法という法律についてのみ扱うことがでます。

いずれの資格も法律に関わる業務を行いますが、法律の範囲は弁護士のほうが広く、弁護士は知的財産法も扱うというのが大きな違いです。

そうなると、「弁理士は必要ないのでは?」と思うかもしれません。

しかし、弁護士は、民法や会社法といった法律には強いものの、知的財産法に強い弁護士は少ないのです。

また、知的財産法は最新の技術を扱う問題も多く、理系の知識が必要になる場合があります。

こうした理由から、知的財産法に強い弁理士の存在が必要になってくるのです。

弁護士は知的財産法に関する訴訟など、権利活用の場面での仕事が多いです。

その一方、弁理士は特許出願や商標登録出願など、権利形成の場面での仕事が多い傾向にあります。

弁理士試験と司法試験はどっちが難しい?試験難易度を解説

弁理士試験と司法試験の難易度を比較すると、一般的には司法試験のほうが難しいです。

弁護士資格を持っていると、弁理士試験が免除されることから、司法試験合格の方が難易度が高いと言われています。

弁理士試験の合格に必要な勉強時間は約3,000時間、司法試験は約3,000~8,000時間です。

司法試験のほうが多くの勉強時間を要すことからも、難易度の高さがうかがえるでしょう。

また、弁理士試験には受験資格はありません。

対して司法試験を受けるためには、法科大学院を卒業するか、予備試験に合格する必要があります。

司法試験は受験資格を得るために多くの学習期間が必要です。そのため、合格までに必要な学習期間を比較しても、司法試験のほうが長くなる傾向にあります。

弁理士と弁護士の年収の違いは?

弁理士と弁護士の年収を比較すると、弁護士のほうが年収が高い傾向にあります。

近年の弁護士の活動実態について – 日本弁護士連合会」によると、弁護士の平均年収は1119万円、中央値は700万円です。

対して「厚生労働省の令和5年度賃金構造基本統計調査」によると、弁理士の平均年収は997万円ほどとなっています。

日本人の平均年収が458万円ほどであることを考えると、どちらも非常に年収が高いといえます。

※参考:令和4年分民間給与実態統計調査 – 国税庁

弁護士資格があると弁理士試験が免除!試験なしで登録できる

弁護士資格を持っていれば、弁理士試験が免除となり、無試験で弁理士登録できます。

ただし、弁理士登録するためには日本弁理士会の研修を受ける必要があります。

※参考:弁理士取得後の実務修習って何?概要と実際の研修内容

弁護士になれば弁理士も登録できるため、先に司法試験に合格した場合、弁理士試験を受験する弁護士はほとんどいません。

知的財産法を専門としたい弁護士が弁理士試験を受験することはありますが、例年数人程度にとどまっています。

弁護士が弁理士試験を受験する場合、選択科目(民法)が免除になります。

一方、弁理士試験に合格しても、弁護士資格を取得するための司法試験の科目が免除されることはありません。

ただし、司法試験には選択科目として知的財産法があり、弁理士資格があれば知的財産法はかなりのアドバンテージになります。

弁理士×弁護士のメリットは?ダブルライセンスは仕事でどう活きる?

弁理士試験と司法試験はともに難関資格であるため、「弁理士×弁護士」のダブルライセンスを取得するためには相当な時間と労力が必要です。

では、弁理士と弁護士の両方の資格を取得するとどのようなメリットがあるのでしょうか。

※関連コラム:弁理士とのダブルライセンスで市場価値アップ!おすすめ資格を紹介!

知的財産法に強い弁護士になれる

先ほども説明した通り、知的財産法に詳しい弁護士はそれほど多くありません。

弁理士資格を持っていれば知的財産法に強い弁護士になれるため、他者と差別化でき市場価値が高くなります

弁理士と弁護士の両方の仕事ができる

弁理士資格と弁護士資格の両方を有していれば、弁理士と弁護士の両方の仕事ができます。

通常であれば弁理士と弁護士の二人に相談しなければならない案件を、自分一人で対応することが可能です。

クライアントからすると、法律事務所と特許事務所へ別々に相談する必要がなくなり、ワンストップで対応できるようになります。

弁理士業務が弁護士業務に活きる

弁理士は、主に特許出願や商標登録出願など、権利形成に関する仕事が多い一方、弁護士は訴訟などの権利活用に関する業務が中心です。

特許権や商標権に関する訴訟では、権利形成段階の知識が必要になってくることがよくあります。

その際に、弁理士資格を有していれば権利形成段階の知識が豊富であれば、スムーズに訴訟に対応できるようになります。

弁理士から弁護士になる人はいる?

弁理士として働きながら、弁護士を目指す人もいます。
そのような方は、予備試験を受験して、司法試験の受験資格を得て、弁護士になるというルートが一般的です。

まとめ

以上の通り、弁理士資格と弁護士資格のダブルライセンスはシナジー効果が高く、おすすめできる組み合せの資格です。

弁理士試験と司法試験の両方に合格することは非常に厳しい道のりですが、合格した暁には、知的財産法に強い弁護士として活躍できるのではないでしょうか。

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