2023年4月から、日本テレビ系では新水曜ドラマ「それってパクリじゃないですか?」が始まります。

このドラマは「知的財産エンタメドラマ」であることが告知されているため、どんな内容のドラマなのか、そもそも「知的財産」とは何か気になっている方もおられると思います。

そこでこのコラムでは、上記ドラマ視聴者含め「知的財産とは何か?」といった疑問をもつ人に対して、「知的財産」について分かりやすく解説していきたいと思います。

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知的財産権(知財)とは?分かりやすく言うと…

「知的財産」と「知的財産権」は、法律で以下のように定義されています。

特許庁|知的財産権についてより引用

この定義を分かりやすく言い換えると、「知的財産」とは大まかに以下の3つからなるものであると言えます。

  1. 人間の創造的活動により生み出されるアイデア、デザイン、芸術作品など
  2. 商品名やブランド名など商品やサービスの提供元を等を表示するもの
  3. 事業活動において有用な情報

そして「知的財産権」とは、先ほど説明した知的財産について法律上定められた権利のことです。

知的財産権の種類について解説

知的財産に関する権利(知的財産権)は、その性質から知的創作物に関する権利と営業上の標識に関する権利との2つのグループに分けることができます。

この章では、これら2つのグループについて、それぞれ具体的に説明します。

知的創作物に関する権利

知的創作物に関する権利の主な物としては、特許権、実用新案権、意匠権、著作権、営業秘密などを挙げることができます。これらについて以下にそれぞれ説明します。

特許権とは

特許権とは技術的なアイデア(発明)を保護するための権利です。 

 特許権が成立すると、その発明の実施を特許権者のみが独占でき、第三者が無断でその発明を実施していればそれを排除することができます。

有名な例としては、ロッテの「雪見大福」が挙げられます。

雪見大福は大福餅にヒントを得て、中身のあんの代わりにアイスクリームを入れた雪見大福の開発価値で、冷たくても硬くならない餅の成分について工夫し、この工夫点を特許権として権利化しました。

特許権の効力は出願から20年間有効です。医薬品に関する特許権は最長25年間の保護を受けられる場合があります。

実用新案権とは

実用新案権もアイデアに関するものですが、特許権で保護される発明よりも簡単なアイデア(考案)を保護するものです。

この実用新案権は無審査で権利が発生するため、特許権に比べて権利行使が難しいというデメリットはありますが、すぐに権利化ができるため、寿命の短い製品について他社へのけん制という意味では大きな効果を発揮する場合があります。

具体例としては、スタンプ台や朱肉を別途用意しなくてもすぐにハンコが押せるというシヤチハタ株式会社の「Xスタンパー」等を挙げることができます。

実用新案権の保護期間は出願から10年間となっています。

意匠権とは

物、建築物、画像のデザイン(意匠)であって、工業上利用可能なデザインを保護する権利です。

意匠権を取得することで、第三者によるデザインの模倣品や類似品の販売等を排除することができます。

具体例としてはユニ・チャームの「超立体マスク」を挙げることができます。

現在では当たり前のように使われていますが、出願当時は従来平面的なデザインだったマスクを立体的なデザインとした画期的なものとして注目されました。

意匠権の権利期間は出願日から25年間です。

ただし、2020年3月31日以前の出願の場合は登録から20年間となっています。

著作権とは

著作権は著作物を他人が勝手に使用することを防ぐ権利です。

ここで著作物とは、思想又は感情を創作的に表現したものであり、文芸、学術、美術又は音楽などが著作物にあたります。

例えばあなたが書いた日記や読書感想文なども著作物ですし、論文等として公開された文章、絵画や彫刻などの芸術作品、鼻歌として出てきた自作のメロディーなども著作物です。

著作権は特許権等とは異なり登録手続きが不要であり、その著作物が創作された時点で自動的に権利が発生します。

権利期間は著作者の死後70年間又は公表後70年間となっています。

営業秘密とは

営業秘密とは、不正競争防止法という法律によって保護されるものであり、企業などが秘密の情報として管理し一般のひとがアクセスできない情報であって、事業活動に有利な情報のことです。

例えば、企業が保有している自社サービス利用者の個人情報などが営業秘密にあたります。

営業秘密を不正に開示したり取得したりする行為は不法行為となり、差止請求や損害賠償の対象となります。また刑事罰も近年の改正によってさらに厳罰化されています。

営業秘密自体に保護期間などはありませんが、前述したような不法行為については、被害者が不法行為及び加害者を知った時から3年間、または不法行為時から20年間で時効となることが定められています。

営業上の標識に関する権利

営業上の標識に関する権利としては、商標権や商号などを挙げることができます。

これらについて以下にそれぞれ説明します。

商標権とは

商標権は、商品又はサービスについて使用する商標(商品名やブランド名等)について、お客様からの信頼が蓄積した商標を他人がまねしたり、紛らわしい商標を使用して事業を行なうことを防ぐための権利です。

文字、図形、記号の他、立体的形状や音等も商標として保護することが可能です。

普段あまり気にしておられないかもしれませんが、「マジックテープ」や「ボンド」、「テフロン」「宅急便」なども商標として登録されています。

また、近年では薬局の名称である「マツモトキヨシ」に音階をつけて発声した音の商標が登録されたことが話題になりました。

商標権の存続期間は登録から10年となっていますが、登録料を支払うことで10年ごとに権利を更新することができます。そのため、手続きさえすれば商標権を半永久的に存続させることが可能です。

商号とは

商標が商品やサービスについて使用する物であったのに対して、商号は会社の名称であり、より厳密には登記によって法律で定められた会社等の正式名称です。

しかしながら、商号の登記により商標権のような強力な排除効力は生じないため、他人が同じ又はよく似た商号を使用している場合には、不正競争防止法による差止請求や損害賠償請求などをすることになります。

そこで社名について商号の登記だけでなく、重ねて商標登録をしておく方がよい場合もあります。

なお、商号の登記には保護期間が定められていません。

知的財産関連の国家資格と言えば弁理士!

ここまでは知的財産や知的財産権について解説してきましたが、ドラマの登場人物が携わっている知的財産に関する仕事について興味を持たれる方もおられるのではないと思います。

そこで、以下では知的財産に関するお仕事についてご紹介しようと思います。

知的財産に関する仕事には知的財産に関する専門知識が求められます。

知的財産に関する専門知識を有することを証明する資格としては弁理士、知的財産管理技能検定、ビジネス著作検定など様々なものが存在しています。

ドラマにも登場する弁理士は国家資格であり、また弁理士資格を保有する者しかできない独占業務を有しているため、資格の保有による収入へのインパクトは前述した知財に関する他の資格とは比べものになりません。

弁理士の仕事は簡単にいうと、知的財産の専門家として、大切な知的財産を勝手に他人に利用されないように守ったり、知的財産権を事業活動に適切に活用することです。

情報網が発達した現代社会においては知的財産の流出がますます大きな問題となっており、弁理士の仕事は産業や科学技術の健全な発展のためにますます重要なものとなっています。

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弁理士試験は一年に一度しか受験の機会がなく、また前述したような知的財産の全域に亘って広く深い知識が問われる難関試験であるため、短期合格するためには効率的な勉強方法が欠かせません。

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この記事の執筆者

Naoko


京都大学大学院農学研究科修了。


研究者を目指し大学に残ったものの、結婚出産を経てより子育てのしやすい環境を求めて知財業界へ。


特許事務所で特許事務(国内・海外)を3年程経験した後、第3子の出産を機にパラリーガルに転身。弁理士試験に挑戦し、一発合格。


現在、特許事務所で弁理士として活躍。

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