弁理士は、合格率10%未満の難関資格です。

しかし、これから合格を目指して勉強を始める方にとっては、弁理士試験の難易度についてイメージしにくいかもしれません。

この記事では弁理士試験の合格率やその推移、他の国家資格と比較したランキングなどをご紹介しています。

ダブルライセンスに関する質問にも答えていますので、興味のある方はぜひ最後までご一読ください。

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弁理士試験の難易度

令和5年度(2023年)弁理士試験は志願者数3417人、受験者数3065人の中で、合格者数が188人で、最終合格率は6.1%でした。
合格率6.1%は他の国家資格・士業資格と比較してもかなり難易度の高い部類に位置します。

弁理士試験は「短答」「論文」「口述」の3つに分けられており、これらを順番に合格していく必要があるという点も難しいと言えるでしょう。

そうしたこともあり、合格者の平均受験回数が3.7回、必要な勉強時間の目安が3,000時間と、合格までには相当な受験回数、勉強時間が必要と考えられるでしょう。

短答式試験の難易度

短答式は、弁理士試験の最初に受けるテストです。
論文・口述に比べても合格率が低く、特に難易度が高いといえます。
短答式試験は、5肢択一のマークシート式の試験です。
問題数は60問で、試験時間は3.5時間と長いため、集中力も試されます。
出題科目は、「特許、実用新案に関する法令」「意匠に関する法令」「商標に関する法令」「工業所有権に関する条約」「著作権法、不正競争防止法」で、得点率40%を下回る科目が1つもないことが通過の条件となります。
幅広い分野の学習を均等にしなければ突破できないという点も短答式の難しいポイントの一つと言えるでしょう。

論文式試験の難易度

論文式試験は、短答式に比べると合格率が高いものの、合格率は25%前後なので、油断は禁物です。
必須科目は「特許・実用新案に関する法令」「意匠に関する法令」「商標に関する法令」であり、それに加え、選択科目の試験もあります。
必須科目は、47点未満の得点の科目が一つもないことが条件となるため、まんべんなく学んでおく必要があるという難しさがあります。
また、必須科目は相対的な評価となるため、他の受験生が記載するような基本的な論点の部分で減点されないよう、しっかり基礎を理解しておくべきであることも、意識しておいた方がいいでしょう。

口述式試験の難易度

口述式試験は、3つの試験の中で、最も合格率が高く、例年9割以上の方が合格されている試験です。
ただし、ここまでの試験を突破している受験生向けの試験ということもあり、決して簡単な内容というわけではありません。
試験科目は、「特許・実用新案に関する法令」「意匠に関する法令」「商標に関する法令」の3科目。
各10分の制限時間があり、口頭で解答する面接形式となっており、筆記とは違った緊張感と難しさがあります。

弁理士試験2023年度の最終合格率は6.1%

令和5年度(2023年)弁理士試験の最終合格率は6.1%。

令和4年度は志願者3,558人、受験者数3,177人の中で合格者は193人でした。
合格率も6.1%であったため、合格率は昨年と同程度という結果になりました。

弁理士試験の合格率とその推移【最終・短答・論文・口述】

弁理士試験は、短答式試験、論文式試験、口述試験という3種類の試験からなります。

短答→論文→口述と順に合格していくことで、口述合格後に「弁理士試験最終合格」となります。

今回は合格を
・最終合格
・短答式試験合格
・論文式試験合格
・口述試験合格

にわけて、それぞれの合格率・合格者数とその推移を見ていきます。

弁理士試験最終合格率:例年6~10%

過去7年の合格率を見ると、最大で9.7%、最低で6.1%と、例年の合格率はおおよそ6~10%であることが伺えます。

年度合格率(合格者数/必須科目受験者数)
令和5年6.1%
令和4年6.1%
令和3年6.1%
令和2年9.7%
令和元年8.1%
平成30年7.2%
平成29年6.5%
平成28年7.0%

なお、令和3年については、その前年の合格率がここ数年で最大の9.7%であった為、その揺り戻しで低く出た可能性があります。

短答式試験合格率:例年9~20%

特許庁によると、令和5年度弁理士試験短答式筆記試験合格短答式試験の合格率は12.4%でした。

また、直近の合格率を見ると、最大で20.1%、最低で8.9%と、例年の合格率はおおよそ9~20%であることが伺えます。

年度合格率(合格者数/短答式試験受験者数)
令和5年12.4%
令和4年10.3%
令和3年11.3%
令和2年18.2%
令和元年18.3%
平成30年20.1%
平成29年8.9%
平成28年15.5%

論文式試験合格率:例年25%前後

特許庁によると、令和5年度弁理士試験論文式筆記試験合格短答式試験の合格率は28%でした。

また、直近の合格率を見ると、最大で28%、最低で24.2%と、例年の合格率は25%前後であることが伺えます。

年度合格率(合格者数/必須科目受験者数)
令和5年28.0%
令和4年26.3%
令和3年25.1%
令和2年25.0%
令和元年25.5%
平成30年23.9%
平成29年24.2%
平成28年25.3%

一見短答式試験より合格率が高く思えますが、これは受験資格による影響もあると考えられます。

論文式試験は、短答式試験合格者のみが受験可能です。

短答合格レベルの知識を保有する人が受験する為、受験者の母集団の知識量は相当なものであると考えられます。

そのため、数字以上に体感としての合格率は低いものと考えた方が良いでしょう。

口述式試験合格率:例年90%以上

特許庁によると、令和4年度弁理士試験口述式筆記試験合格短答式試験の合格率は96.4%でした。

また、直近の合格率を見ると、最大で98.6%、最低で90.2%となっています。

年度合格率(合格者数/必須科目受験者数)
令和4年96.4%
令和3年90.2%
令和2年98.6%
令和元年95.6%
平成30年94.0%
平成29年98.4%


弁理士試験に限らず、多くの資格試験において、最終試験が面接形式の試験である場合、その合格率は高く出る傾向があります。

しかし、合格率が100%でないという事は、受験者の内わずかながら不合格者が出るという事。

合格率が高いからと油断せず、最後まで勉強・対策を怠らない事が重要となってくるでしょう。

合格率で見る弁理士の国家資格難易度ランキング

弁理士は受験資格がない(誰でも受験できる)試験の中では司法書士の次に難しい試験です。

順位資格名合格率(例年)受験資格
1司法書士3~4%なし
2社会保険労務士4~6%あり
3弁理士6~10%なし
4土地家屋調査士7~9%なし
5行政書士8~15%なし
6税理士12~15%あり
7弁護士22~39%
あり
8海事代理士48%~54%なし

弁理士の試験に合格するには、精度の高い解答が試験において必要です。

そのためには、出題傾向を把握した効率的な試験対策が重要だと言えるでしょう。

弁理士試験は難化している?

弁理士試験は難しくなっていると言えるでしょう。

例年、最終合格率は6~8%で推移していますが、令和3年、令和4年は直近5年間で一番低い合格率となっています。

特に、令和4年の短答式試験の合格率が10.3%と直近5年間の平均15.36%と比較して低くなっており、難化していると言えるでしょう。

弁理士試験の受験者数は年々減っているだけでなく、それ以上に合格者数も減っているため、弁理士になることは難しくなっていると言えるでしょう。

最終合格率受験者数最終合格者数
平成30年度7.2%3587人260人
令和元年度8.1%3488人284人
令和2年度9.7%2947人287人
令和3年度6.1%3248人199人
令和4年度6.1%3177人193人
令和5年度6.1%3065人188人
https://www.jpo.go.jp/news/benrishi/shiken-kekka/index.htmlより

勉強時間で見る弁理士の難易度ランキング

初めて資格取得の勉強にチャレンジする人が、弁理士試験に合格するために必要な勉強時間の目安は3,000時間といわれています。

弁理士は8士業の中でも弁護士の次に勉強時間が必要です。

弁理士試験は勉強量が多く、難易度の高い試験だと言えるでしょう。

司法書士や税理士を含む8士業それぞれの勉強時間は、以下のようになっています。

順位資格名勉強時間(約)
1弁護士3,000~8,000時間
2弁理士3,000時間
2司法書士3,000時間
3税理士2,000~2,500時間
4土地家屋調査士1,000時間
5行政書士800~1,000時間
6社会保険労務士800時間
7海事代理士500時間

1年間で資格取得を目指すとしたら1日に8時間、1年半であれば少なくとも5〜6時間前後の勉強が必要です。

弁理士試験は、長期間にわたり継続して勉強時間を確保しなければならず、資格取得を途中で断念してしまう人も少なくありません。

弁理士の難易度に関するよくある質問

弁理士と弁護士どっちが難しい?

勉強時間・合格率で比較すると弁護士になる方が難しいと言えるでしょう。

弁理士の最終合格率は例年6~8%前後となっています。資格取得に必要とされている時間は、3000時間程度です。

司法試験の合格率は近年上がっており、令和4年度の合格率は45.5%となっています。

しかし、司法試験には受験資格が必要で誰でも受験できるわけではありません。

司法試験を受験するために必要な、予備試験の合格率は1~3%程度です。

受験資格を得るための予備試験は弁理士試験よりも合格率は低くなっています。

司法試験合格に必要な時間は3000~8000時間といわれています。

なお、弁護士資格を有している場合には弁理士試験が免除されるため、弁理士試験よりも弁護士の試験の方が難しいと言えるでしょう。

弁理士と司法書士はどっちが難しい?

1~2年の短期間で合格を目指す場合には司法書士試験の方が難しいと言えるでしょう。

理由は司法書士試験の方が出題の範囲が広いからです。

司法書士は範囲が広い分科目で合格点に達していた場合、免除制度があります。

弁理士試験は各科目で合格点に達していても次回免除にならないため、再受験の際も全ての科目を受験し直さなければなりません。

なので、短期間で合格を目指す場合には司法書士の方が難しいと言えるでしょう。

司法書士試験の合格率は3.5%と弁理士試験よりも合格率は低くなっています。

弁理士と税理士どっちが難しい?

税理士の合格率は12~17%と弁理士よりも高いです。

税理士は11科目と弁理士よりも科目が多いですが、科目合格制度という全部で11科目のうち5科目に合格すれば科目単位での合格として認められるという制度があります。

なので、税理士は科目合格制度を利用することで数年かけて資格を取得できるという意味では弁理士のほうが難しいと言えるでしょう。

弁理士試験の合格基準は?

弁理士試験は、短答・論文・口述の3つの試験に分かれています。

短答式試験の合格基準は「工業所有権審議会が相当と認めた点数以上であって、かつ、各科目の点数が合格基準点(40%程度)を下回らないこと」となっています。

論文式試験には、必須科目と選択科目の2種類があります。必須科目の合格基準は「54点を基準として、47点未満の得点の科目が一つもないこと」選択科目の合格基準は「得点が満点の60%以上であること」です。

口述試験は、面接方式で試験が行われます。試験科目は①特許法・実用新案法、②意匠法、③商標法の3種類です。試験時間は各科目とも10分程度となっており、合格基準は「各科目A、B、Cの3段階評価で、C評価が2つ以上ないこと」です。

弁理士試験は理系が有利?

弁理士試験は理系が有利ともいわれますが、結論から述べると単純に有利不利があるとは断言できません。

ただし、単純に志願者・合格者ともに理系の人材が多くなっていることは事実です。

令和4年度の弁理士試験統計によると、弁理士試験の最終合格者における理系出身者の割合は76.7%。志願者における理系出身者の割合は69.8%となっています。

考えられる理由として、弁理士の主要業務である特許出願には理工系の知識が必要となる点が挙げられます。

特許として出願する発明の多くが、最先端の科学技術を駆使したものです。このような理由から、弁理士業界では常に理系出身者が求められているといえます。

弁理士になるには何年かかる?

弁理士試験の合格に必要な勉強時間は、3000時間程度だといわれています。

3000時間というと、毎日3時間勉強して約1000日。1日10時間勉強しても300日かかる計算です。

その上、一人前の弁理士として生計を立てられるようになるためには、これに加えて2〜3年の下積み期間も要します。想像以上に道のりは遠いと感じる方もいるのではないでしょうか。

さらに独学で資格取得を目指すと、特に時間がかかってしまいます。

そのため、難関資格に挑む際は予備校を活用して効率的に学ぶことで勉強時間を短縮することをおすすめします。

詳細は以下で説明しますので、ぜひ最後までチェックしてください。

弁理士試験合格者の傾向

男女別の傾向

男女別の傾向としては男性が63.3%、女性が36.7%でした。

例えば司法試験では女性の合格者割合が2023年度29.4%で例年30%を超えないことからも分かる通り、女性の合格割合36.7%というのは、資格試験という枠内で考えれば多い方であると言えるでしょう。

※関連コラム:弁理士は女性も活躍できる仕事?割合や女性の続けやすさを解説

出身系統(理系か文系か)別の傾向

出身系統別で見ると、理工系がおよそ8割と、方文系の約2割に比べかなり多くなっています。

弊社コラム弁理士は理系の多い資格?それはなぜ?理系最高峰の資格についてでも述べている通り、特許出願など、最先端の科学技術への理解が必要となることから理工系出身者が多くなっていると思われます。

一方で、弊社コラム文系の弁理士に需要はある?年収や就職・転職の求人例、難易度を解説でも述べている通り、文系出身者であっても意匠や商標といった知的財産分野では活躍の余地が大いにあると言えます。

受験(免除)種別の傾向

弁理士試験は短答式、論文式、口述式という3段階の試験にて選考されますが、短答式と論文式には免除制度があります。

短答受験者がおよそ37%であるのに対し、免除者が約53%と、短答式試験は免除制度を活用する人が多くなっています。

なお、弁理士試験の免除制度に関する詳細は以下のコラムを参考にしてみてください。

※関連コラム:弁理士の受験資格と免除制度について徹底解説

独学が難しいと感じたら予備校の活用も!

以上見てきた通り、弁理士試験は非常に難易度が高いです。

独学での合格が難しいと感じた場合、予備校を活用するというのも一つの手です。

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この記事の執筆者

Naoko


京都大学大学院農学研究科修了。


研究者を目指し大学に残ったものの、結婚出産を経てより子育てのしやすい環境を求めて知財業界へ。


特許事務所で特許事務(国内・海外)を3年程経験した後、第3子の出産を機にパラリーガルに転身。弁理士試験に挑戦し、一発合格。


現在、特許事務所で弁理士として活躍。

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