主に金融機関で活躍している数理計算の専門家であるアクチュアリーは、その認知度の低さからあまり実情が知られていない資格・職業です。

そのため、資格取得後のキャリアパスをイメージしづらい方も多いのではないでしょうか。

本コラムでは、アクチュアリーの転職事情について筆者の実体験を踏まえながら解説します。

アクチュアリーは転職する人が多い

アクチュアリー正会員から試験に挑戦中の研究会員まで、転職する人が多い傾向です。アクチュアリー専門の転職コンサル会社も存在することからも、流動性の高さが伺えます。

アクチュアリーは、合格率が低い難関資格のひとつ。試験の難易度が高い分、資格を取れば大手金融機関で仕事ができて将来も安泰というイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。

誰でもなれるわけではないからこそ市場価値が高く安定して働ける可能性は高いといえます。

※関連コラム:アクチュアリーのやりがいとは?どんな人が向いている?

資格の有無による転職事情

研究会員

20代の若手研究会員でも、転職の機会は十分にあります。

最近は、大学在学中にアクチュアリー資格の取得に取り組む若手人材が増えており、研究会員が転職する際は実務経験があると面接時に有利になるかもしれません。

実務経験のない研究会員が社会人になって間もない時期に転職活動を行った場合、転職先の候補が限られてしまう可能性もあります。機会が限られるかもしれません。

準会員

準会員になれば、研究会員に比べると転職先の選択肢は一気に広がります。実務経験がなくても、転職の機会が増えてくるのが準会員からではないでしょうか。

異業種からアクチュアリーへの転職を考えるのであれば、少なくとも準会員は目指したいところです。

正会員

一般的に40歳を超えると転職は難しくなるといわれますが、アクチュアリー業界に限ってはそうとも限らないでしょう。

正会員になれば、定年を過ぎてもアクチュアリーとして働ける可能性が高くなります。極端な話ですが、60歳を超えても現役で活躍するアクチュアリーがいるのも事実です。

業種ごとの業務内容と転職事情

国内金融機関(生損保、信託銀行)

新卒アクチュアリー候補のキャリアは、国内金融機関(生損保、信託銀行)からスタートするケースが大半です。

生損保、信託銀行の間で業務が重複しているところといえば、生保と信託銀行がともに年金関連の業務を行っている点が挙げられます。

外資金融機関

外資金融機関の業務内容は、国内金融機関と同じですが、外資系は新卒採用よりも中途採用を積極的に行っている印象です。

採用では実務経験の有無を重視し、即戦力として活躍できる人材を採用するケースが多く見受けられます。

大手監査法人

直接アクチュアリーと関連性のある監査やコンサルティングだけでなく、数理への強みを活かした領域の業務まで幅広い活躍の場があります。

筆者としては、優秀な人が転職している印象が強く人気の転職先であるといえます。

独立アクチュアリー会社

日本には、アクチュアリーが独立して活動している会社がいくつか存在します。

業務内容としては、退職金関係の業務を行っているところがほとんど。詳細は不明ですが、実務経験の有無を問わず未経験者から正会員まで幅広く採用している会社もあるようです。

まとめ

アクチュアリーは、人材の流動性は非常に高い業界といえます。

分野(生保、損保、年金)を越えた転職はほとんど見られませんが、若手であれば資格を持っていなくても転職の機会に恵まれやすく、キャリア選択の幅が広がるのではないでしょうか。