アクチュアリーの出身大学・学歴は?数学科多い?大学院必須?など
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「アクチュアリーは院卒が多い」や「アクチュアリー採用ではいい大学を出ていないと採用されない」という話を耳にしたことはありませんか?
このコラムでは実際に保険会社でアクチュアリーとして働いてきた筆者の経験をもとにその実態について迫ります。
目次
アクチュアリーの出身大学や学歴について現役アクチュアリーが解説します
本題に入る前に、筆者の簡単な経歴とどのくらいのサンプル数を知っているかについて紹介いたします。
筆者は学部卒で保険会社にアクチュアリーとして採用され、保険収支の分析をしたりリスクを計算する業務に携わってきました。
社内のアクチュアリー(研究会員・準会員・正会員の合計)がおおよそ100人~200人程度、加えてグループ会社のアクチュアリーもいるため、グループ全体で数百人の規模でした。
もちろん全員の出身大学・学歴を把握しているわけではありません。
また、このコラム全体を通じて筆者の経験談(主観)に基づいておりますので、内容を保証しているわけでない点にはご注意ください。
アクチュアリー試験の受験要件、合格者の学歴・出身大学は?
アクチュアリー試験は第1次試験(5科目)と第2次試験(2科目)があります。
第2次試験の受験要件は第1次試験の全科目合格が要件となっているため、まずは第1次試験の受験要件をチェックする必要があります。
アクチュアリー試験の受験要件
アクチュアリー試験は執筆時点(2022年8月)下記のような受験要件が定められています。
(日本アクチュアリー会HPより抜粋)
アクチュアリーを目指すのであればまずは大学に進学するのが得策でしょう。
また、保険会社にアクチュアリーとして採用される観点からも大学を卒業しておくのがよいでしょう。
学校教育法による大学(短期大学を含む)を卒業した方が受験できます。
このほか、次の要件等を満たす方で、所定の書類を提出(※)し、試験委員会が大学を卒業した方と同等の資格試験受験に必要な基礎的学力を有すると判断した方も受験できます。
- 大学3年生以上の者(4年制大学において、休学期間を除き2年以上在学し、かつ62単位以上の単位を修得した者)
- 高等専門学校卒業者
- 学士資格を有しない大学院生
- 外国の大学を卒業した者、または、外国において上記①~③に相当する学校教育における課程を修了した者
- 生保数理、損保数理、年金数理等の日本アクチュアリー会資格試験の受験科目に関連する知識を必要とする、保険・年金などの業務に3年以上携わった者
※提出書類は該当要件によって異なります。 また、状況によっては、所定の提出書類の一部または全部を省略することがあります。
アクチュアリー試験合格者と学歴に関する公式なデータはある?
アクチュアリー試験合格者の学歴や出身大学との関係はとても気になりますよね。
そこで日本アクチュアリー会に問い合わせてみたところ、残念ながら「試験合格者の出身大学・学歴については把握していない」旨のお答えをいただきました。
やはりアクチュアリーの人に経験談などを聞くしかなさそうです。
筆者の実感としては…
学歴(学部・修士・博士)と合格率の相関はあまり無いように思います。
推測に過ぎませんが、大学院はあくまで研究する場であるため、筆記試験との相関がそこまで強く無いのかもしれません。
ただし、就職活動時点では院卒の方が取得している科目数が多い印象です。
それは単に学部卒に較べ受験できる回数(年数)が多いため院卒の方が科目数が多くなっているものと推察されます。
一方、出身大学(の偏差値)については一定の相関があると感じています。
アクチュアリー試験は数学の筆記試験ということもあり、大学受験で数学や物理が得意だった人は比較的スムーズに第1次試験を突破している印象です。
同じ出身大学でも個人差はありますが、筆者の周りでは東京大学・京都大学・東京工業大学出身の方は比較的早く合格している方が多いです。
とはいえアクチュアリー試験合格に必要な一番大きな要素は「アクチュアリーの勉強をすること」。
「難関大学を出ていないと合格できない」ということでは決してありません。
アクチュアリー採用での出身大学・学歴は?
アクチュアリー試験に合格していたとしてもアクチュアリーとして働けることが保証されているわけではありません。
基本的には就職活動を行ってアクチュアリー(候補)として採用されなければなりません。
その採用基準と学歴・出身大学の関係について個人的な体験談をベースに解説します。
冒頭でも述べたとおり、筆者があくまでアクチュアリーとして社会人生活を送ってきた中で感じた個人的な感覚になりますので、内容を保証するものではありません。
学歴・出身大学は?大学院修士が多い?
学歴に関しては8割程度は修士、2割程度が学士と博士といった印象です。
採用されている人は修士がマジョリティですが、これはそもそもアクチュアリー志望の就活生が修士の人の割合が高いことに起因しているものと思います。
アクチュアリー志望の就活生は難関大学の理系学生が多く、基本的に修士に進む人が多い傾向にあります。
また、前述のとおり就活時点で取得している科目数も修士の方が多くなる傾向があるため、志望する会社に「試験に合格できる素質」をアピールしやすい点も関係しているかもしれません。
出身大学に関しては、東京大学・京都大学・東京工業大学・早稲田大学・慶応義塾大学の出身者が多い印象です。
アクチュアリー試験が難関資格であることを考えると自然と難関大学の受験を突破した人が挑戦するのかもしれません。
また、近年アクチュアリー採用の倍率も高まっており、より難関大出身者が集まりやすくなっているようです。
学部学科は数学科が多い?経済学部は?その他の学部は?
筆者が就活生の時にも「アクチュアリーは数学科出身者ばかり」という噂がありました。
実際に社会人として働いてみて、たしかに数学科出身の方は多いと感じています。
ただ、情報系の学科や経営システム工学のような学科出身の方も多く、数学科出身に限らず多様な理系人材が集まっている印象です。
また最近では文系出身のアクチュアリーの方も数多く活躍されています。
割合的にはまだ理系が8~9割、文系が1~2割といった感覚ではありますが、特に経済学部で計量経済学や金融工学を学んだ人にとってはアクチュアリーは選択肢になりやすいのではないでしょうか。
新卒採用と中途採用で採用傾向は異なる?
アクチュアリー採用における新卒採用と中途採用の採用傾向は異なると考えています。
新卒採用ではアクチュアリー試験合格のポテンシャルを重視した採用となるため、筆記試験を突破する学力や出身大学などが重視される傾向にあります。
中途採用は前職での経験の有無によって大きく異なりますが、共通している点は「出身大学よりも年齢とそれに応じた合格科目数」が重要視されるケースが多いということです。
中途採用の求人票などを見てみると分かりますが、応募要件に3科目合格、準会員、正会員のいずれかが記載される傾向にあります。
アクチュアリーとして中途採用されるには20代であれば3科目合格、30代前半であれば準会員、30代中盤以降であれば正会員がひとつの目安になるでしょう。
アクチュアリーを目指すならまず科目合格を目指そう!
新卒採用にしても中途採用にしてもアクチュアリー試験の合格は重要な要素です。
前述のとおり、新卒であれば合格できるポテンシャルを示す根拠になりますし、中途であってもひとつの実績として採用の合否を分ける要素になります。
ただ簡単に合格できない難関資格だからこそ、その価値が高くなっています。
「アクチュアリーには興味があるけど独学で勉強していけるか不安」という人は講座を受講するのもおすすめです。
例えばアガルートであれば生保数理の基礎講座と過去問解説講座があります。(アガルートHP)
特に学生の受験生にとっては少し高額に感じるかもしれませんが、アクチュアリーの平均年収が1,000万円を超えていることを考えれば十分にリターンが見込める投資ではないでしょうか。ぜひ検討してみてください。
この記事の執筆者 sat
仕事の傍らアクチュアリー試験の勉強に励み、自身が苦しんだ経験をもとに社内のアクチュアリー候補生に対して勉強法を伝えてきた。
※執筆時点では数学、生保数理、年金数理において科目合格済み
その後、専門職としてキャリアの幅を広げるべく、大手金融機関にデータサイエンティストとして転職。
アクチュアリー試験で培った数学的基礎力を活かし業務を行っている。