企業の社費留学が減少する中、日本人の海外MBAの人数も減ってきており、日本の転職市場において海外MBAの価値は今後増していくでしょう

しかしながら、海外MBA留学にかかるコストはトータルで2000万円と言われており、海外MBAに興味はあるが、留学費用の工面が難しいと考える方も多いのではないでしょうか。

そこで、各段に費用が安く抑えられるオンライン海外MBAの概要について説明していきます

このコラムでは、海外オンラインMBAに関心がある方向けに、特徴、ランキング、費用と学習期間などについて詳しく解説します。

オンライン海外MBAが自分に向いているか、また自分に合う学校選びの参考にしてください。

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海外オンラインMBAランキングTOP10

海外オンラインMBAの費用と卒業までの学習期間を中心に詳しく解説します。

Financial TimesのオンラインMBAのトップ10(2024年度版)の費用と最短学習期間について下記の表にまとめました。

オンラインMBAではヨーロッパMBAが優勢なのが特徴です。

ランク大学場所総学費学費/円換算修了期間
1IE Business Schoolスペイン€60,000980万円17か月/24か月/30か月
2Imperial College Business Schoolイギリス£50,500963万円21~32か月
3Warwick Business Schoolイギリス€39,450644万円24か月
4University of Southern California: Marshallアメリカ$126,7871,920万円21か月前後
5Carnegie Mellon: Tepperアメリカ$146,9162,224万円32か月
6Durham University Business Schoolイギリス£30,000572万円24か月
7AGSM at UNSW Business SchoolオーストラリアA$62,280612万円42か月
8Politecnico di Milano School of Managementイタリア€37,000604万円24か月
9Birmingham Business Schoolイギリス£24,284463万円30か月
10University of Bradford School of Managementイギリス£19,222366万円36か月
※2024年3月時点でのレートで計算

海外のオンラインMBAの費用は最安で約300万円、最高は約2,000万円

上掲の表の通り、トップ10校の中でも、オンラインMBAの費用は最安で約300万円、最高で約2,000万円と幅があります。中央値は628万円です。

これが高いのか安いのか、フルタイムの海外MBAの費用と比較してみましょう。

フルタイムのアメリカMBAにかかる費用の相場は、ランキングのトップ〜中堅では、トップ校だと2,000万円前後、中堅で1700万円が大体の目安と言えます。

ヨーロッパでは、800万円〜1800万円が相場となっています。

アメリカのMBAは2年間に対し、ヨーロッパのMBAプログラムの特徴は期間が短く、通常1年間ですので、中央値は970万円程度です。

オンラインMBAの費用は、大学によって大きな差がありますが、中央値で比較すると、フルタイムに比べ費用が安い傾向があると言えるでしょう。

卒業後の給与・給与上昇率は参考程度に

海外オンラインMBAで毎年上位を取得している、Warwick卒業生の給与は、卒業後3年間で平均194,864ドル(約2500万円)であり、36%の給与上昇という調査結果がでています。

Warwickは、卒業後の給与が最も多い点が、オンラインMBAランキング1位を獲得した大きな理由の一つです。

しかし、この例は、あくまで海外の場合なので参考程度にしてください。

卒業後も日本で仕事を続ける場合は、昇給は会社のMBAに対する評価に依存するということにご留意ください。

ファイナンシャルタイムズの調査によれば、多くのオンラインMBAの卒業生が、卒業後に給与が上昇したと回答しています。

しかし、フルタイムMBAと大きく異なる点は、オンラインMBAを選択した学生にとって、転職はそれほど重要ではないと考えている結果が出たことです。

これは、オンラインMBAを目指す人は自己の成長を目的としており、卒業後の転職は主たる目標ではないという事情を示しています。

働きながらオンラインMBAに参加した人が多いことも一因でしょう。

こうした調査結果を踏まえて、卒業後現在の会社に残るのか、給与上昇を求めて外資コンサル等に転職するのかで、そもそもMBAを取得すべきか、またMBAのコースの中でも、フルタイム留学か、オンラインのほうが自分に合うかの判断の材料にしてみてください。

卒業までの期間は平均3年

卒業までの期間については、上掲の表においては最短を挙げましたが、基本は働きながら受講する(=パートタイム)でプログラムを進めていくため長期化する傾向があります。

オンラインMBAでは、修了期間を2年〜6年としている学校も多く、平均して卒業まで3年程度かかると考えると良いでしょう。

海外オンラインMBAに関するよくある質問

海外オンラインMBAに関してよくある質問について回答していきます。

Q. 国内フルタイム/オンラインMBA、海外オンラインMBAとの違いは?

海外オンラインMBAと国内フルタイム/オンラインMBAの違いは大きく、「コスト」「英語」「期間」「評価」の4つのポイントがあります

次に詳しくご説明します。

  • コスト

国内の主なオンラインMBAにはビジネス・ブレークスルー大学大学院(BBT大学大学院)、グロービス経営大学院 、SBI大学院大学等がありますが、2年で卒業する場合の費用は300万円程度が相場です。

海外のオンラインMBAトップにランキングされているWarwickやIEなどと比較すれば、国内のオンラインMBAの方が費用は安く、挑戦しやすいと言えます。

費用面については、国内においてもオンラインのほうがフルタイムより安く設定されているのが一般的です。

従って最も安くMBAを取得したい場合は、国内オンラインMBAの検討がおすすめです。

  • 英語

国内MBAにも英語のコースはありますが、全て英語で授業が行われる海外MBAに比べて英語を使う機会が少ないのは否めません。

ビジネスで使える英語力を向上させたい方には国内よりも海外MBAの方が期待に合うでしょう。

  • 期間

日本国内MBAの場合、オンライン・通学を問わず2年で卒業するのを前提にプログラムが組まれており、実際に2年で卒業する人がほとんどです。

これに対して、海外のオンラインMBAは卒業までに平均3年かかるといわれますので、日本国内のMBAの方が学習期間は短くなるようです。

  • 評価

国内MBAは、残念ながら海外MBAと比べて国際的評価は高くありません。

もしMBAを検討する理由が「経営を学問として体系的に学びたい」、「MBAで箔をつけたい」、「自分のプロジェクトを集中して研究したい」といったような理由でしたら、海外MBAに多額投資するよりも、国内MBAの方がローリスクの投資となります。

Q. オンラインMBAのメリット・デメリットは?

オンラインMBAの第一のメリットは、コストが安くすむことです。

トップレベルの学校でも、オンラインで学ぶ場合は、実際に留学する場合の約半分の費用となっています。

加えて、日本にいながらにして受講できるので、現地での生活費を節約することができることや、ほとんどの場合退職せずに参加できるので、期間中の給料を失わずにすむため、費用捻出が課題の方には、オンラインMBAのコストメリットは大きなものがあります。

デメリットとしては、講師や他の学生と実体験で学んだり、直接的な交流から得られる深い人脈を形成するという、MBA留学で得られるアドバンテージが失われることが挙げられます。

Q. フルタイムMBAと同等認識される?

コロナの影響により、オンラインMBAの評価は上昇しています。しかしながら、大学院のレベルにより差はありますが、一般的にフルタイムMBAに比べるとオンラインMBAは同等に認識されない場合も多いのが実情です。

とくにコミュニケーションの面でフルタイムMBAと比べると低めに認識されることがあり、転職時の採用にも影響が出るケースもあります。

Q. 準備はどのくらい必要?(とくに英語力)

入学条件は学校によりますが、フルタイムMBAより条件が緩和されていることも多いようです。

準備する書類やGMATやTOEFL®などの要件はフルタイムと大きく変わりがありませんが、オンラインであればフルタイムMBAほどのスコアは求められません。

例えば、アメリカのフルタイムMBA入学に必要なGMATのスコアは730点程度ですが、オンラインMBA入学者の平均は550点程度と言われています。

さらにGMATを求めないオンラインMBAもあります。例えばWarwickやDurhamではTOEFL®など英語テストのスコアのみでGMATは要求していません。

GMATのスコアメークには複数回受験など労力、時間がかかりますので、この点GMATの要求が無いオンラインMBAの準備はかなり時間の節約ができます。

とはいえ、海外オンラインMBAの講義やグループワークは英語なので、入学には相当の英語力が求められますし、総合的な学力も求められます。

そのため、予備校に通う人も少なくありませんし、入学準備に多くの時間と費用がかかるのはフルタイムMBAと大きな差は無いと思ってください。

フルタイムMBAと同様に最低1年程度は準備期間を見積もった方が安全でしょう

ただビザ取得や現地の居住場所の調査といった作業は必要ないので、フルタイムMBAよりは準備は楽になると言えます。

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この記事の執筆者

斉藤りか

慶応義塾大学経済学部卒業。外資IT企業に就職後、ボストン大学経営大学院修了(MBA取得)。

帰国後、ITベンチャーや米系ハイテク企業でマーケティング・ビジネス開発に従事。

その後、アメリカ大使館等各国大使館の商務官に転じ、海外企業向けのビジネスコンサルティングに携わる。