MBA留学では、欧米のビジネススクールに注目されがちですが、アジアにも優秀なMBAプログラムが存在します。

中でも、シンガポール国立大学(NUS)MBAはアジアのトップ校であり、グローバルランキングでも20位台とアメリカの中堅校レベルと肩を並べる位置にランクインしています。

学生の90%以上が留学生という多様性のある学校であり、日本からも地理的に近いこと、また学費も欧米のMBAと比較して安いことから注目すべきビジネススクールであることは間違いありません。

そのようなNUSのMBAについて、特徴や入試内容、費用などについて解説していきます。

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NUS MBAの特徴

NUSのMBAのクラスは、欧米のビジネススクールに比較すると少数精鋭のクラス編成となっており、きめ細かい授業とサポートが期待できます。

主な特徴は以下の通りです。

アジアビジネスに強い

NUS MBAでは、伝統的なMBA教育が基本となっていることに加え、アジアのビジネスについての学習にも注力しています。

例えば、日本を含むアジア地域のビジネスケースが授業でも多く使われています。

教師もアジアビジネス研究に実績のある教授陣をそろえています

国際色豊か・多様性

NUS MBAにおいては約90%の学生が留学生です。

このため留学生でも発言内容にバリューがあれば認めてもらえるという文化が根付いています。

こうした多様性の高さは英語が得意でなくてもポジティブに働きます。

英語ネィティブではない、様々なバックグラウンドを持つ学生が活発に議論をする環境の中、完璧な英語を話さなければならないのではないかというプレッシャーから解放され、英語で堂々と発言できるようになるでしょう

学内施設が充実

NUS MBAでは、教室の定員が50名以内と小さく抑えられており、学生と教師の密接なコミュニケーションを重視した設計がされています。

校舎に図書館とMBA学生専用のラウンジが隣接しており、グループワークや自習の際にも効率よく移動できます。

試験前は一部の勉強室が24時間使用できるほか、図書館も開館時間を延長し、勉強に集中できるなど学内施設の環境が充実しています。

NUS MBAで学ぶことでどのくらいキャリアアップに貢献してくれるのか

卒業直後の給与は、入学前の1.8倍になります。

給与上昇率は、他の海外トップMBA校と比べても高くなっています。

公式ページによると、卒業後の平均給与は、$77109(2024年3月レートで約1170万円)とハーバードなどの$200,000(約2700万円)のトップ校と比べるとやや見劣りしますが、十分高給が狙うことが可能です。

実際NUS卒業後の進路は多岐に渡りますが、金融、コンサルティング、ITと平均して高給与なセクターが大きな割合を占めています。

さらに1905年のNUS設立以来、NUS全体で約22万人、MBAだけでも約3万人以上の卒業生をアジア中心に世界各地に輩出しており、グローバルなネットワーキングの構築も可能となります。

アジアでのビジネスを卒業後に検討されている方には、NUS MBAでは優位性を得ることができるでしょう。

NUS MBAのクラスプロフィール

NUS MBAのクラスプロフィールの特徴としては、まず多様性があげられます

地元シンガポールの学生比率が8%であり、国外からの学生が多いです。

NUSのサイトによれば、24ヶ国から学生がプログラムに参加している国際色が豊かなクラスです

年度2024
受験者数約900人※
入学者数120
合格率13%前後※
女性比率37%
留学生比率92%
平均GPA
平均年齢29
平均勤続年数6
GMAT平均スコア(又は中間値)670
GRE平均スコア(又は中間値)155/165(Verbal/Quantitative)
TOEFL iBT®/IELTS スコア最低要件TOEFL® 100IELTS   7.0

※推定

NUSのランキング

シンガポール国立大学(NUS)MBAは、シンガポールではもちろんのこと、アジア全体におけるトップ校であり、グローバルランキングでも20位台とアメリカの上位の中堅校と肩を並べるポジションにランクインしています。

評価機関Global順位Asia順NN
FT
QS241
Forbes
EDUNIVERSAL1(シンガポールのみの順位)
Bloomberg

NUS MBAの入試内容

NUSの出願要件をまとめました。

  • TOEFL®100点 or IELTS7.0
  • GMAT (GRE)
  • 大学の成績
  • エッセイ
  • 推薦状2通
  • 職歴書 (最低2年以上のフルタイムの職歴が必要)
  • アプリケーションフォーム(願書)
  • インタビュー(面接)

上記の出願要件は、他のトップMBA校とほぼ同じ内容です。

NUSではオンライン出願も可能となっています。

NUS MBAの学費

NUS MBAの学費はS$94,830(2024年3月レートで約1060万円)で、アメリカ等のトップ校の約半分とかなり抑えられています。

内訳はこのようになっています。

Acceptance fee (入学金)セメスター 1セメスター 2
S$10,900S$41,965S$41,965

シンガポールは物価が比較的高い国ですので、卒業にかかる17ヵ月の食費と住居費は約S$28,000(約310万円)という試算があります。参考にしてみてください。

学費と併せてトータルすると概算でS$122,830(約1370万円)が目安となります。

生活費の試算は個人のライフスタイルによるところが大きいので、シンガポール在住の知人がおられる方は情報を確認したり、NUSの日本人学生のサイトを参照するとよいでしょう。

それでは、NUSにかかる費用は他国のMBA留学と比べるとどうなのでしょうか?

例えば、アメリカMBA学費の相場は、ランキングのトップ〜中堅で学費に幅がありますが、トップ校だと15万ドル前後、中堅で13万ドルが大体の目安です。

日本円に換算すると、アメリカMBAの相場は1300〜2000万円となり、加えて生活費がかかってきますので、これに比較すると、NUS MBAにかかるコストは低いことがわかります。

NUS MBAの難易度は? 

NUSのハードルはトップ校に比べるとやや低く、中堅上位レベルの難度といえるでしょう。

  • 英語スコア

英語スコアについてですが、TOEFL®100点またはIELTS7.0のいずれかが最低要件です。これはグローバルのMBAの中では平均的な数字です。

  • GPA

GPAは基本欧米の学校中心に使用されている指標のため、NUSについては期待されているGPAについて特に必要な情報が残念ながら見当たりませんでした。

同レベルと推定されるUniversity of Virginia (Darden校)の合格レベルのGPAが3.52ですので参考にされてください。

GPAの計算方式はこちらで解説していますのでご参照ください。

  • GMAT

NUS在校生卒業生の調査によると、Class of 2022のNUS日本人合格者の9割がGMAT受験でした。平均点は約630点で、600点台が全体の8割となっています。

一般的にトップビジネススクールに入学するには最低650点は必要とされており、スタンフォードやハーバード等トップクラスのMBAをめざす人は最低690点はないと厳しいと言われています。

日本でNUS MBAについてもっと詳しく知りたいなら?

MBA海外留学の準備を始めるにあたって重要になるのが、日本での情報収集です。

NUS MBAについてまずチェックいただきたいのは、NUSの公式サイトです。

海外の大学サイトは求める情報がわかりにくい場合もありますが、NUSでは、アドミッションのスケジュールや受験資格、学生のプロフィール等がわかりやすく整理されています。

シンガポール国立大学のMBAに関する情報を日本人在校生卒業生がお届けします(非公式)

https://nusmbajapan.wordpress.com/

NUS MBAの情報を手早く日本語で読めるサイトとして、おススメなのがNUSの日本人在校生/卒業生によるこちらのサイトです。

合格体験記や渡航準備を含むシンガポール生活についての情報があり、実務的に役立つ情報が多く投稿されています。

さらに、NUS MBA Virtual Open Dayといったオンラインで参加できるイベントの案内もあり、このイベントでは、現役生からのMBAライフ紹介やアドミッションプロセス説明等最新の情報を得ることができます。

まとめ

MBA留学といえばアメリカ中心のイメージですが、TOEFL®やGMATのハードルが高く、競争率が高いのが実情です。

そこで比較的競争率の低いアジアのMBAも日本人留学生に人気が高まっています。

NUSも例外ではなく、期間も17ヵ月と若干短く、コストを低く抑えられるのが魅力といえるでしょう。

また、NUSはアジア研究に力を入れており、地理的にも十分検討に値するビジネススクールです。

周辺の多くの国へ飛行機で3時間程度で移動でき、週末にこれらの国々を訪れアジアの成長を実感できます。

卒業後にアジアビジネスに関わるキャリアに興味がある方には最適な選択肢の一つではないでしょうか。

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この記事の執筆者

斉藤りか

慶応義塾大学経済学部卒業。外資IT企業に就職後、ボストン大学経営大学院修了(MBA取得)。

帰国後、ITベンチャーや米系ハイテク企業でマーケティング・ビジネス開発に従事。

その後、アメリカ大使館等各国大使館の商務官に転じ、海外企業向けのビジネスコンサルティングに携わる。