ビジネススクール留学といえば、ハーバードやスタンフォードといったアメリカのトップ校をイメージする方が多いでしょう。

日本人MBA留学経験者においてもアメリカのMBA卒業生が多いのは事実です。

欧州にもトップクラスのMBAは存在します。

スペインのビジネススクールであるIESE(イエセ)は、1958年の創立以来、学業面だけでなく優れた人格を兼ね備えたビジネスリーダーの育成を目指しています

IESEの卒業生は、100ヶ国以上45,000人以上に及びます。

またIESEの拠点は5カ国6拠点(バルセロナ、マドリード、ミュンヘン、ニューヨーク、サンパウロ、上海)となっており国際派のビジネススクールとして認知されています。

グローバル化が進む最近では、国際性やコミュニケーションを重視したIESE独自の教育アプローチは世界中で高く評価されているのです。

このコラムでは、欧州MBAの代表校の一つであるIESE MBAについて解説していきます。

このコラムでIESEのMBAについてわかること

  • どのくらい難易度が高いのか
  • 特徴や学費
  • 卒業後のキャリア・年収レベル
  • 入試内容

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IESEの特徴

スペインのバルセロナで行われるIESEフルタイムMBAは、15ヶ月または19ヶ月のコースと幅広い選択科目があり、インターンシップ、海外授業、交換プログラムにも参加することができます

IESEは、1958年にスペインのナバラ大学(Universidad de Navarra)の大学院として設立された伝統あるビジネススクールです。

1964年に米ハーバードビジネススクール(HBS)との提携によって欧州初の2年制MBAプログラムを開始し、ハーバードで有名なケースメソッドを発展させた独自の教育方法を持つことでも知られています。

IESEのケースの開発本数はハーバードに次いで世界第2位です。

また、学問面だけでなく人格形成・リーダーシップ教育に力を入れたプログラムを開発していることに特徴があります。

さらに、IESEの強みの一つとしてその国際性があげられます

世界主要国に拠点(スペイン、ドイツ、アメリカ等)を持ち、ブラジルのISEや中国のCEIBSとも提携するなど、ここまで積極的にグローバルネットワークを形成し、活用しているビジネススク―ルはIESEだけと言えます。

またスペイン語の授業もあるので、スペイン語を得意とし、伸ばしたいと考えている方は履修を検討すると良いでしょう。

参考:カリキュラム – IESE Business School 日本人向けサイト

IESE MBAで学ぶことでどのくらいキャリアアップに貢献してくれるのか

IESEにおける就活は、Career Servicesの支援も受けられ、学校主催で開催されるキャリアフォーラムを含め就職に向けた各種の機会が提供されています

企業のリクルートイベントもキャンパスで開催されており、日本人にとっても海外ながら就活しやすい環境が整備されていると言えるでしょう

入学の翌年には、夏季休暇を利用したサマーインターンに参加できます。サマーインターンが卒業後の就職につながる場合もあります。

IESE卒業生の進路は、コンサルティング24%、金融サービス17%、テクノロジー&メディア13%、イーコマース12%、コンシュマーグッズ&リテール11%、ヘルスケア&ケミカル9%、その他製造業5%、その他サービス業5%、エネルギー4%となっています。

卒業生の平均給与額は$97,578(2023年2月のレートで約1300万円)です。卒業生の年齢がだいたい30代前半と推定すると日本の一般的転職状況と比較した場合、高い数字と言えるのではないでしょうか。

日本人学生のサマーインターンや就職先の実例としては、マッキンゼーやボストンコンサルティングといったコンサル、JPモルガン、メリルリンチのような金融からアマゾンといったリテールまで多岐に及んでいます。

IESEのクラスプロフィール

IESE MBAの受験者数はForbesの調査によると、入学者数は356人で合格率は26%です。

アメリカのトップ校のハーバードMBAの入学者数が約1000人といった数字に比べると、この合格者数は少なめであり少数精鋭と言えるでしょう。

学生の国籍分布は50ヶ国以上に及んでおり、海外学生比率も85%と国際的な学習環境と言えるでしょう。

日本人学生は近年15名前後が入学している傾向にあります。

年度2024
受験者数2,355
入学者数356
合格率15%
女性比率38%
留学生比率85%
平均GPA3.15
平均年齢29
平均勤続年数5.4年
GMAT平均スコア(又は中間値)686
GRE平均スコア(又は中間値)(Verbal)156/(Quant)161
TOEFL iBT®/IELTS スコア最低要件100/7.0

IESEのランキング

主な評価機関のIESE MBAのランキングです。どの評価機関においても高い評価を得ていることがわかります。

評価機関(Global)順位
FT5
QS9
Bloomberg(欧米ランキング)2

IESE MBAの入試内容

応募者は、以下の条件を満たしている必要があります

  • 4年制大学の学位またはそれに相当する学位
  • 3年~10年の就業経験

IESE MBA出願に必要な書類を提出し審査を受けた後、面接に進んでいきます

出願書類等の最新情報については、IESE公式ホームページ及びIESE東京オフィスのホームページをご確認ください。 

  • トランスクリプト(学業成績、GPA)
  • GMAT/GRE テスト結果
  • TOEFL®/IELTS テスト結果
  • エッセイ
  • 推薦状1通
  • アプリケーションフォーム

ここでは、日本の入試ではなじみが薄いトランスクリプト(GPA)、エッセイと推薦状について解説していきます。

テストスコアの難易度については後のセクションで詳しく説明しますので、そちらを参照してください。

トランスクリプト

大学での成績(GPA)を提出します。海外MBAでは日本と異なり偏差値方式はありません。

GPAの計算方式はこちらで解説していますのでご参照ください。

エッセイ

志望動機・自己アピールを記載するもので出願において主要な評価対象となっています

なぜMBAを志望するのか?に加え、なぜIESE MBAか? 自分のキャリアにどう紐付けるか? 等々、学校側は出願者が期待するレベルに見合うか、出願者がクラスで貢献できるかを判断します

 推薦状

上司など会社関係からの推薦状が望ましい。大学の指導教授など学校関係も可です。

英語で記入する必要があります(日本語不可)。

以上で提出された願書はアドミッションオフィスにより審査され、面接に進むかどうかが決定されます。

 MBAの応募書類や受験資格についてはこちらのコラムでも解説していますのでご参照ください。

関連コラム:MBA留学とは?費用や受験資格、適齢について解説|アガルートアカデミー

IESEの学費

IESEに合格すると下記の経費と学費が費用としてかかります。

コミットメント費用※1€3,000
入学費用※2€7,000
MBA1年目学費€42,500
MBA2年目学費€52,500
トータル€105,000(2024年3月レートで約1,715万円)

※1※2は学費から差し引くことができます。

上記に加え、食費や家賃を含む生活費の概算は、IESEの試算によれば、独身の方の1ヶ月の生活費が€2,180(2024年3月レートで約35万円)です。

卒業までの総費用は、

【学費】1,715万円+【生活費】35万円x19ヵ月(665万円)=約2,380万円と見積もれます。

これは米国トップ校の卒業までにかかる費用と同程度の額です。

奨学金制度も提供されており、様々な状況の学生の為に10以上の支援プログラムがあります。

才能ある学生、女性、発展途上国の学生、リーダーシップ経験のある学生、社会起業家プロジェクトに関連する経験のある学生、卒業生からの推薦による学生などが対象になっています。

奨学金希望の場合は、専用のエッセイも受験の際に書かなければなりませんので、希望年度の受験要項をよく確認するようにしてください。

IESEの難易度は? 

IESE MBAの入試の難易度について解説します。

GPA (学業成績)

IESE MBAの合格ラインの平均GPAは3.15です。日本の大学生の GPAの平均は、2.4〜2.8程度と言われていますので、IESEでは優秀な成績が求められています。

これに届かない場合でも、GMATなどのテストスコアやエッセイの内容でカバーできるケースもあるので、学業成績があまり良くない場合は他でカバーしていきましょう

GMAT/GRE

GMATかGREのスコア提出が必要です。いずれの試験にも優劣は無く、最低点数など足切りはありません。

合格者のGMATスコアレンジは580-750点程度です。合格者平均が686ですので、オックスフォードといった欧州のトップ校レベルと同等の数字です。

GREについてはVerbal/ Quant双方で143-170です。最低スコアは提示されていないので足切りはありませんが、このスコアより大幅に低いと合格は厳しくなるでしょう

IELTS / TOEFL®

TOEFL iBT®/IELTS スコア、105/7.5以上が推定合格ラインであり、難易度は高いです。TOEIC®で950点あっても簡単に取得できる点数とはいえないでしょう。

英語のコミュニケーションに不自由がない、ほぼネィティブレベルの英語力が求められていると言えます

英語要件は、ケンブリッジMBAやハーバードやスタンフォードといったアメリカのトップ校と同レベルの難度です。

日本でIESEについてもっと詳しく知りたいなら?

IESE MBAを受験するにあたり、自分に合っているか事前に研究することは合格のカギとなります。日本でIESE MBAについて情報収集できるサイトをまとめました。

IESE MBA公式サイト

https://www.iese.edu/

英語にはなりますが、在校生のIESE MBAの体験についての生の声、またキャンパスの画像が参照できます

入試要領等について最新の情報を得られる基本のリソースとなりますので必ずチェックするようにしてください。

IESE MBA 日本人向けサイト

Home – IESE Business School 日本人向けサイト (iesejapan.com)

IESE MBA在校生により運営されているサイトです。

日本人目線での受験情報や生活情報などを確認できます

また在校生により運営されている非公式twitterアカウント(@iese_jbc)やInstagramアカウント(@iese_jpn)もありますので、IESEでのリアルな生活に関心ある方は参照すると良いでしょう。

IESE東京オフィス公式サイト

– IESEビジネス・スクール 東京オフィス

プログラム、キャリア、入学審査、バルセロナ生活など、IESEについての公式情報が日本語で詳細にまとめられており、定期的に更新されています。IESE受験に興味のある方は一読をおすすめします。

学校主催のイベント情報の提供や日本人学生の問い合わせにも対応しています。

IESE東京オフィスは東京の六本木アカデミーヒルズ内にオフィスを構えています。お近くの方は訪問されてみても良いのではないでしょうか(予約制)。

まとめ

欧州MBAは、ハーバードやスタンフォードといったアメリカのトップ校と比較すると、日本での知名度が高くないことは否定できません

しかしながら、世界的に評価が高く、ランキングでも毎年上位に入っているIESEのグローバルで多様性のあるクラスで学ぶことは、キャリアを積む上でも、米国や日本のMBAでは得難い経験を得ることができるでしょう

IESE合格には、GMATやGREの結果はもちろん重要ですが、決定的なものではありません。受験者の性格、モチベーション、達成したい目標、リーダーシップ能力、コミュニケーション能力も考慮されます。

エッセイラィティング等を通じて、自分の価値観と将来の目標にしっかり向き合い、IESE MBAに挑戦してはいかがでしょうか。

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この記事の執筆者

斉藤りか

慶応義塾大学経済学部卒業。外資IT企業に就職後、ボストン大学経営大学院修了(MBA取得)。

帰国後、ITベンチャーや米系ハイテク企業でマーケティング・ビジネス開発に従事。

その後、アメリカ大使館等各国大使館の商務官に転じ、海外企業向けのビジネスコンサルティングに携わる。