ハーバード・ビジネス・スクール (HBS)は、ハーバード大学の経営大学院です。

世界で最も有名なビジネススクールのひとつであり、Forbesの2024年のMBAランキングでは第1位、QS World Rankingsでは第3位に選ばれています。

企業戦略論で著名なマイケル・ポーターのような有名教授を擁し、卒業生には楽天の三木谷浩史社長など、国内海外問わず各方面で活躍する著名な経営者を輩出しているハーバード大学。

ハーバード大学のMBAについて聞いたことがあるが、難易度や実際にどんなことが学べるのかはよくわからないという方のために、詳しく解説していきます

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ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)の特徴 

それでは、HBSの特徴について概観していきます。

HBSの特徴 

HBSの一番の特徴はケーススタディです。

HBSにおける授業は基本ケーススタディとなっています。毎日、英語のケースを読みこんで授業に参加するので、物理的にも精神的にも膨大な勉強量と言えます。

また、授業中も有意義な発言をして議論に参加することが成績につながるので、プレッシャーもあるでしょう。

ケースメソッドの基本的な流れは、ケースシナリオにおいてビジネスの特定の課題が提示され、状況を分析してどのような意思決定をすべきかクラスで議論していきます。

実際にあったビジネスケースを使用しているので、自分自身が経営者となった場合の課題解決への意思決定のプロセスをバーチャルに体験をすることができる授業と言えるでしょう。

教授陣もビジネスの第一線で活躍していることが多いのも特徴で、ケースディスカッションをリードする教授自身が実務家でもあるので、授業にも実際のビジネスの臨場感があります。

さらに、多様な職務経験を持つ優秀な人が世界各国から集まっていますので、クラスメートの発言からも学ぶことは非常に多いと思います。

HBSの知名度の高さや卒業生ネットワークは、他の学校に類を見ない特徴と言えるでしょう。

クラスプロフィール

HBSの最新クラスプロフィールについてまとめました。

年度2024
受験者数8264
入学者数1015
合格率12.3%
女性比率46%
留学生比率38%
平均GPA3.7
平均年齢非公開
平均勤続年数5
GMAT平均スコア(又は中間値)730
GRE平均スコア(又は中間値)163
TOEFL iBT®/IELTS スコア最低要件109 / 7.5

HBSのランキング

主な評価機関のHBSのランキングです。(2024年)

多くの評価機関においてもトップランクの評価を得ていることがわかります。

評価機関(Global)順位
QS3
Forbes1
EDUNIVERSAL2
Bloomberg6

HBSの入試内容

HBSへの入試内容をまとめました。

英語となりますが、youtube動画でも、HBS公式の入試内容について説明がありますので併せてご覧になると良いでしょう。

受験資格

応募者は、以下の条件を満たしている必要があります

  • 4年制大学の学位またはそれに相当する学位
  • 出願書類

HBS出願に必要な書類です。

応募書類を提出し、審査を受けた後、面接を行う場合があります。

  • トランスクリプト(学業成績、複数可)
  • GMAT/GRE テスト結果
  • TOEFL®/IELTS/Pearson Test of English (PTE)/Duolingo テスト結果
  • エッセイ
  • 推薦状(2通)
  • 履歴書
  • 受験料

MBAの応募書類や受験資格についてはこちらのコラムでも解説していますのでご参照ください。

HBSの学費

HBSの公式サイトによるコスト試算(2023-2024年度)は下記の通りです。

この年間費用は、9ヶ月の学期と適度な学生のライフスタイルを想定しています。これに加えコンピュータ購入費が必要になってくるでしょう。

  • 学費 $74910
  • 教材 $2600
  • 住居 $16200
  • 食事 $6030
  • 交通費 $2240
  • その他生活費 $8130
  • その他(保険等) $5528
  • 合計 $115638(2024年 3月レートで約1750万円)

卒業まで通常2年かかりますので、日本円で1750×2=3500万円かかる見込みとなります。

HBSの難易度は? 

HBSの難易度は、間違いなく最難関といえます。

英語力やGMATなどのテストスコアは高得点を求められる上、エッセイや推薦状も他の候補者より良いものが合格のためには必要となってきます。

あるHBS卒業生はその難易度について10点満点で11点と回答していました。

それでは、各テストの合格ラインについて見ていきましょう。

  • 英語スコア

上掲のプロフィール表にある通り、TOEFL iBT®/IELTS スコア、109/7.5以上が推奨されており、かなり難易度は高いといえます。

TOEIC®で950点あっても簡単に取得できる点数とはいえないでしょう。日本企業において、各社差はありますが、概ねTOEIC®800点が長期出張に行けるラインといわれていますので、英語には不自由ない、ほぼネィティブレベルの英語力が求められているといえます。

授業もケースディスカッションが中心となるので、ビジネスレベルの高いスピーキング能力も必要となるでしょう。

  • GPA

HBSのクラスプロフィール(Class of 2024)によると平均GPAは3.7と極めて高くなっています。

海外MBAでは日本と異なり偏差値方式はありません。GPAの計算方式はこちらで解説していますのでご参照ください。

  • GMAT

HBS合格者のGMATの平均は730です。GMATのスコアレンジは200点から800点で、平均点は530点前後ですので、HBSは難関Aクラスでしょう。

一般的にトップビジネススクールに入学するには最低650点は必要とされており、スタンフォードやハーバード等トップクラスのMBAをめざす人は最低690点はないと厳しいと言われています。

  • GRE

HBS合格者のGRE平均スコアは163となっています。スコアレンジは130~170点であり、HBSのような米国トップMBAや、世界ランキング10位以内の大学院に進学したい場合は166点を目指すことが必要です。

MBAといえば、GMATですがGREを受け付けている学校もあります。HBSはGREを受け付けていますが、実際の受験年度にも確認されるほうが安全でしょう。

GMATとGREではテスト形式が異なるため、難易度は、受験者のバックグラウンドや得意科目によってスコアに影響する可能性があります。

一般的に、読解や暗記が得意ならGRE、数学やロジカルシンキングが強い方はGMAT向きと言われています。GMATスコアに伸び悩んでいる方には、GRE受験も検討の余地があるかもしれません。

日本でHBSについてもっと詳しく知りたいなら?

HBSを受験するにあたり、自分にHBSが合っているか研究することは合格のキーともなりえます

日本でHBSについて情報収集できるサイトをまとめました。

日本リサーチセンター

六本木ヒルズにある、ハーバードビジネススクール日本リサーチ・センター(JRC)は、日本における研究とケース・スタディ作成支援を主たる目的として、2002年1月に開設されました。

JRCは開設後これまでに、日本に関する100以上のケース・スタディや研究プロジェクトを支援しています。HBSの授業の特徴であるケースの一部をこのサイトで参照することが可能です。

日本におけるHBSコミュニティともなっており、様々なセッションやセミナーが開催されています。

日本にいながらHBSの教室の熱気を感じることができる上、イベントに参加すると、HBSの卒業生とも知り合う機会があるかもしれませんね。

HBS YouTubeチャンネル

HBS YouTubeチャンネルでは、ハーバード大学のキャンパスの様子を見ることができます

MBAの動画もありますので、実際の雰囲気を知るのにおススメのサイトです。

HBS 公式サイト

英語にはなりますが、 HBS公式サイトではHBS卒業生や在校生のHBSの体験についての生の声、またキャンパスツアーの画像が参照できます。

HBS日本人在校生ウェブサイト

日本人在校生ウェブサイト HBSを目指している受験生向けのサイトです。

日本語で受験情報や学生生活についてまとめられているので、まずはこちらをチェックされるとHBSの概要が掴めるでしょう。

まとめ

HBSの一般的なイメージは非常に競争が激しく、ケースが厳しいというものですが、HBSの卒業生によると、HBSの学生は、実際は感じがよく協力的であり、ケーススタディも地に足のついたスキルを身に着けるのにとても役立つものだということです。

HBSは、世界トップランクのビジネススクールであり、ボストンのキャンパスも美しく勉強に打ち込める環境です。

その上、世界中の優秀な学生たちと卒業後も役立つネットワークが構築できる利点があり、ご自身の成長に大きく寄与することでしょう。

しかしながらMBAプログラムは、時間的にも金銭的にも大きな投資となります。出願を決定するまでには、数ヶ月から数年かかるかもしれません。

HBSでは、高いGPA、トップレベルのGMATテストスコア、それに見合った職務経験など、素晴らしい経歴を持った人でも不合格になることがあります。

HBSに合格するためには、成績と経歴のみならず、なぜHBSを志望するのか、またなぜHBSがあなたを合格させなければならないかを明確に説明できることが重要になるといえるでしょう。

出願前や出願中に、リサーチを行い、在学生や卒業生と話し、説明会やウェビナーに参加しましょう。

HBSで過ごす2年間だけでなく、その先のことも考え受験対策を十分準備して臨むことで勝利を掴んでください!

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この記事の執筆者

斉藤りか

慶応義塾大学経済学部卒業。外資IT企業に就職後、ボストン大学経営大学院修了(MBA取得)。

帰国後、ITベンチャーや米系ハイテク企業でマーケティング・ビジネス開発に従事。

その後、アメリカ大使館等各国大使館の商務官に転じ、海外企業向けのビジネスコンサルティングに携わる。